アムラ(ユカン、アンマロク、Phyllanthus emblica、Emblica officinalis)は、インドのアーユルヴェーダの薬として果実だけでなくそれ以外の部分も予防や治療の目的で使用されてきたハーブです。グルコース代謝や体内のコレステロールの調節に加えて、神経保護作用も示唆されています。
コンテンツ
概要
重要な効果・情報
アムラ(ユカン)は、インド医学(アーユルヴェーダ )で伝統的に活力や認知を向上させ、寿命を延ばす目的で使用されてきたハーブです。これらの効果は適応促進サプリメントの目的と一致しますが、アムラでのこれらの作用については科学的な研究が行われていません。
現代では、高コレステロール、動脈の硬化(アテローム動脈硬化症)、糖尿病、膵臓の痛みおよび腫れ(膵炎)、癌、胃の不調、眼の問題、関節痛、下痢、出血性の下痢(赤痢) 、変形性関節症、肥満、臓器修復、白斑の原因となる皮膚疾患の治療、感染症の痛みや腫れを軽減し、殺菌のためにも使用されることがありますが、大部分は科学的なエビデンスは十分ではありません。
現時点ではアムラに関する人間でのエビデンスは非常に限られていますが、比較のための参照薬グリベンクラミドと比較して、健康な人や糖尿病の人の血糖値をグリベンクラミドと同等に抑制できる作用が示唆されています。またプラセボは考慮されていませんが、アムラはトリグリセリドなどの脂肪酸を減らし、善玉コレステロールのHDLを増やしながら、総コレステロール値を下げるため、心臓および血管の健康に有益であることも示唆されています。これらの作用の大部分は、抗酸化特性に由来するもので、ビタミンC含有量が高いだけでなく、緑茶カテキンのような、ツバキやリュウガン など強力な抗酸化物質に見られる大量のタンニン化合物も含んでいるためと考えられています。
更に興味深いのは、予備的な研究によれば、他の薬との比較はありませんが、ミノキシジルを上回る育毛促進効果が示唆されていたり、ハエでの実験では、他のサプリメントより効果的な長寿作用が示唆されています。現時点では人間を対象にした十分なエビデンスがないですが、さらなる研究によって伝統的に使用されてきた目的が科学的に裏付けられたり、新たな効果が実証されたりする可能性があります。
適応・効果
適応情報
エビデンス不足
- 高コレステロール血症: いくつかの初期の研究では、アムラを4週間摂取すると、高コレステロールの人でLDL(悪玉)コレステロールが減少することが示されています。その他の研究でも、肥満の人がアムラエキスを12週間摂取すると、LDLコレステロールが減少することが示されています。
- 変形性関節症: 研究によると、アムラと他のいくつかの成分を含むアーユルヴェーダのカプセル2錠を2毎日3回服用することで、変形性膝関節症の人の痛みを軽減する上で硫酸グルコサミンまたはセレコキシブを服用するのと同等の有効性が示唆されました。
- 白斑を引き起こす皮膚障害: 初期の研究では、アムラと他の成分を含む錠剤を標準的な治療と共に6ヶ月間毎日3回服用することで、皮膚の色素を増加させられることが示唆されました。
- 出血性の下痢症(赤痢)。
- 癌
- 糖尿病
- 下痢症
- 眼病
- 動脈硬化(アテローム動脈硬化症)
- 消化不良症
- 関節痛
- 肥満症
- 膵炎
- その他
効果まとめ
効果まとめ表
効果まとめ表は動物や試験管内の実験ではなく、経口服用による人体での反応を科学的に研究したデータを基にどのような効果がどの程度あるのかをまとめたものです。
レベル | 研究の質と量 ? 信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります. |
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二重盲検臨床試験が繰り返し行われ確実性の高い研究が実施されています。 | |
2つ以上のプラセボ効果を排除した二重盲検試験を含む複数の研究が実施されています。 | |
二重盲検試験が1件または複数コホート試験が実施されています。 | |
上記に満たない研究内容または観察研究のみが報告されています。 |
研究の質と量 ? 信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります. | 研究対象 | 効果の大きさ ? それぞれの研究対象に対する効果の方向性と大きさ. 対象項目を増加させるもの、低下させるもの、作用しないものを示しています. | 研究の整合性 ? 科学的な研究でも常に結果が一致するとは限りません. この評価が高いほど対象項目に関する科学的な研究結果が一致しており、整合性が取れています. | 摘要 |
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血糖値 | – 研究結果を見る | 予備的なエビデンスですが、3gの果実を1日2回の服用で、5mgのグリベンクラミドと同等の有効性が見られました。 | ||
HDL-C | – 研究結果を見る | 3gの果実の服用で、健康な人および糖尿病患者においてHDLコレステロールの増加が見られました。 | ||
LDL-C | – 研究結果を見る | 21日間の果実の摂取で、健康な人および糖尿病患者においてLDL-Cの減少が見られました。 | ||
総コレステロール | – 研究結果を見る | 健康な人および糖尿病患者において総コレステロールの減少が見られました。 | ||
トリグリセリド | – 研究結果を見る | トリグリセリドを還元する作用が示唆されました。 |
副作用
アムラは、食品中に含まれる量の摂取はほとんどの人にとってはおそらく安全と考えられています。アムラを含むアーユルヴェーダの成分は、肝臓の損傷に関連する可能性がありますが、アムラを単独で服用することでこのような影響が出るかどうかは不明です。
特別な注意と警告:
妊娠と授乳:妊娠している場合や授乳中の場合、アムラを薬として摂取することの安全性に関する十分な信頼性の高い情報はありません。安全のため、摂取量に十分に注意してください。
出血障害:アムラは、一部の人の出血や挫傷のリスクを高める可能性があります。出血性障害がある場合は、アムラを慎重に使用してください。
糖尿病:アムラは血糖値を低下させる可能性があります。医師に相談して糖尿病薬の量を調整が必要な可能性があります。
肝臓病: 理論的には、生姜、ティノスポラ・コーディフォリア、インド乳香とアムラを摂取すると、肝臓病の人の肝機能が悪化する可能性があります。アムラのみの摂取でも同様のことが起こるかどうかは分かっていません。
手術:アムラは、手術中および手術後に出血のリスクを高める可能性があります。予定されている手術の少なくとも2週間前にアムラの服用を中止してください。
注意事項
その他の名称
- Emblica officinalis、 Phyllanthus emblica、Amla、Anwala、Indian gooseberry
服用方法
推奨用量、有効量、その他の詳細
基本的にはアムラに関連するほとんどの効能は、植物の果実に由来します。果実自体またはその粉末を、乾燥重量として1日1〜3gの用量の範囲で摂取されることが多く、この範囲内で用量が多いほど効果も高いと考えられています。