イボツヅラフジ、グドゥチ、アムリタなどとも呼ばれるティノスポラ・コーディフォリア[Tinospora cordifolia]は、花粉症などのアレルギー性鼻炎の症状を強力に軽減する免疫向上ハーブです。抗癌作用や糖尿病効果も示唆されていますが、人間でのエビデンスは不足しています。

概要

重要な効果・情報

ティノスポラ・コーディフォリア(Tinospora cordifolia)は、インド原産の低木で、根、茎、葉がアーユルヴェーダの薬として古くから使用されてきたハーブです。糖尿病、糖代謝、炎症、免疫系、神経への効果など、さまざまな健康への効果が研究されています。ティノスポラ・コーディフォリアの補給は、免疫を活性化するのではなく、体内の細菌などを食べる免疫細胞のマクロファージの活性を高めるようです。また、花粉症などのアレルギーを改善や疥癬などの皮膚病に対する効果が示されており、ティノスポラ・コーディフォリアは、抗アレルギー性サプリメントのスピルリナと同じくらい強力であることが示唆されています。予備的なエビデンスではティノスポラ・コーディフォリアが糖尿病患者に利益をもたらす可能性が示唆されています。ティノスポラ・コーディフォリア の補給は、砂糖由来の炭水化物の体内吸収を減少させることができ、糖尿病に関連する網膜症や腎症などの疾患を軽減する役割が示唆されていますが、現時点ではこのような症状に対する人間でのエビデンスはありません。
ティノスポラ・コーディフォリアはモノアミンオキシダーゼ(MAO)を阻害い、カテコールアミンの濃度を上昇させる可能性があります。ティノスポラ・コーディフォリアには植物性アンドロゲン(phytoandrogen)が含まれており、環境や放射線療法によるDNA損傷を防いだり、適応促進作用を持つ可能性も示唆されていますが、人間でのエビデンスはありません。

その他にも、関節リウマチ(RA)、肝炎、消化性潰瘍疾患(PUD)、発熱、淋病、梅毒、甲状腺機能低下症、抗癌作用などを持つ可能性がありますが、これらを裏付ける人間での科学的なエビデンスはありません。

適応・効果

適応情報

有効性の信頼度(中)

  • アレルギー花粉症):  ティノスポラ・コーディフォリア(Tinospora cordifolia)に含まれる特定の抽出物は、約2ヶ月の服用で、花粉症のくしゃみ、鼻のかゆみ、吐き気、鼻づまりを有意に減少させるようです。

エビデンス不足

More evidence is needed to rate the effectiveness of Tinospora cordifolia for these uses.

効果まとめ

効果まとめ表

 

効果まとめ表は動物や試験管内の実験ではなく、経口服用による人体での反応を科学的に研究したデータを基にどのような効果がどの程度あるのかをまとめたものです。

 

レベル 研究の質と量

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信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります.

二重盲検臨床試験が繰り返し行われ確実性の高い研究が実施されています。
2つ以上のプラセボ効果を排除した二重盲検試験を含む複数の研究が実施されています。
二重盲検試験が1件または複数コホート試験が実施されています。
上記に満たない研究内容または観察研究のみが報告されています。
研究の質と量

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信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります.

研究対象 効果の大きさ

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それぞれの研究対象に対する効果の方向性と大きさ. 対象項目を増加させるもの、低下させるもの、作用しないものを示しています.

研究の整合性

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科学的な研究でも常に結果が一致するとは限りません. この評価が高いほど対象項目に関する科学的な研究結果が一致しており、整合性が取れています.

摘要
好中球数 高い 3件の研究結果を見る
鼻粘膜における好中球の減少が見られましたが、血清中の好中球を測定する研究では有意な変化は見られませんでした。
アレルギー 大きい 研究結果を見る
鼻詰まり、鼻水、かゆみ、くしゃみなどの症状を持つアレルギー性鼻炎の被験者の61-83%が、ティノスポラ・コーディフォリアの経口摂取で症状がなくなりました。
鼻詰まり 大きい 研究結果を見る
アレルギー性鼻炎を患っている人の約3分の2が鼻づまりが完全に解消されました。現時点では、アレルギーのない人の鼻詰まりに関する研究はありません。
好酸球数 中程度 非常に高い 2件の研究結果を見る
好酸球が30%以上という顕著な割合で減少しています。
リンパ球数  小さい 2件の研究結果を見る
リンパ球に対しては、増加と減少両方の作用が見られています。(アレルギー性鼻炎患者では増加・減少の両方が見られ、HIV感染者では影響は見られませんでした。)
マクロファージ活性 小さい 非常に高い 2件の研究結果を見る
マクロファージ活性(食作用および細胞内殺菌能力)は、通常外科手術で低下しますが、ティノスポラ・コーディフォリアを事前に服用した場合には低下しませんでした。
HIVの症状 小さい 研究結果を見る
ティノスポラ・コーディフォリアを補助療法として使用した場合、HIVの症状が顕著に減少するようです。
CD4リンパ球 研究結果を見る
CD4 +リンパ球を調べた研究では、有意な影響は見られませんでした。
糖尿病性足潰瘍 研究結果を見る
改善の傾向が見られるものの、統計的に有意ではなく、強い治療効果はないようです。
T細胞数 研究結果を見る
T細胞(CD4 +リンパ球を含む)の濃度に有意な影響は見られませんでした。
疥癬 中程度 非常に高い 3件の研究結果を見る
疥癬に感染した被験者にティノスポラ・コーディフォリア・ローションを外用塗布すると、参照医薬品の5%のペルメトリン・ローションやクロタミトンと同等の効力があるようです。
ビリルビン 研究結果を見る
ビリルビンの減少は、統計的有意には達しませんでした。

 

副作用

副作用と安全性

ティノスポラ・コーディフォリアの短期間の使用は安全とされています。 長期使用の安全性については、8週間までしか研究では行われていないため、それ以上は不明です。

注意と警告

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妊娠と授乳: 妊娠中および授乳中のティノスポラ・コーディフォリアの使用の安全性については十分には分かっていません。 安全のため使用を控えましょう。

糖尿病: ティノスポラ・コーディフォリアは血糖値を低下させる可能性があります。糖尿病の場合は慎重に使用し、血糖値に注意してください。 糖尿病治療薬の用量を調整する必要があるかもしれません。

多発性硬化症(MS)、狼瘡(全身性エリテマトーデス、SLE)、関節リウマチ(RA)、などの「自己免疫疾患」: ティノスポラ・コーディフォリアは、免疫系をより活性化させ、自己免疫疾患の症状を悪化させる可能性があります。 これらの症状がある場合は、ティノスポラ・コーディフォリアの使用を避けることをおすすめします。

手術: ティノスポラ・コーディフォリアは血糖値に影響を及ぼす可能性があるため、手術中や手術後に血糖コントロールを妨げる恐れがあります。 定期手術の少なくとも2週間前にティノスポラ・コーディフォリアの服用を中止してください。

注意事項

相互作用

中程度の相互作用

下記の組み合わせに注意してください。

  • 糖尿病治療薬ティノスポラ・コーディフォリアは血糖値を下げる可能性があります。  ティノスポラ・コーディフォリアと糖尿病薬を併用すると、血糖値が低下しすぎる可能性があります。 血糖値に注意してください。 糖尿病治療薬には、グリメピリド、グリブリド、インスリン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、クロルプロパミド、グリピジド、トルブタミドなどが含まれます。
  • 免疫抑制剤ティノスポラ・コーディフォリアは免疫系を増強する可能性があり、免疫抑制剤の効果を妨げる可能性があります。免疫系を低下させる薬には、アザチオプリン、バシリキシマブ、シクロスポリン、ミノフェノレート、タクロリムス、シロリムス、プレドニゾン、コルチコステロイドなどが含まれます。

その他の名称

  • イボツヅラフジ、グドゥチ(Guduchi)、マカブヘイ(makabuhay)、アムリタ(Amrita)、ギロヤ(Giloya)、ギロエ(Giloe)

注意点

  • 伝統的にインドのGheeというバターと一緒に使用され、脂肪への溶解性を持つため、食品と一緒に摂取した方が良いかもしれません。
  • 伝統的にこのハーブを妊娠中に使用することは避けられてきました。現時点では科学的な検証はされていませんが、十分な情報が得られるまで妊娠中の使用は避けるべきです。

分類カテゴリー

良い組み合わせ

確認事項

服用方法

推奨用量、有効量、その他の詳細

ティノスポラ・コーディフォリアの補給は、5%の茎の水抽出物1gを摂取します。標準用量は300mgで1日3回服用します。バター(Ghee)と生姜とティノスポラ・コーディフォリアを含むアムリタ・グリタ[Amrita Ghrita]という伝統的なアーユルヴェーダの薬は、1日に1回、10~15gの服用が標準的です 。ティノスポラ・コーディフォリアは食事と一緒に摂取したほうが良いようです。

下記の用量が科学的な研究で使用されました。

経口服用:

  • アレルギー性鼻炎(花粉症):300mgのティノスポラ・コーディフォリアの茎の水抽出物を1日3回8週間服用しています。

科学的根拠・参考文献