ラズベリーケトンは、脂肪燃焼作用のある成分として市販されている分子ですが、経口摂取は有効ではなさそうです。頭皮や肌に水溶性ジェルやクリームを塗ることで、育毛やスキンケア作用を持つ可能性があることが示唆されています。
コンテンツ
概要
重要な効果・情報
ラズベリーケトンは、赤ラズベリー、キウイフルーツ、モモ、ブドウ、リンゴ、その他の果実、大黄などの野菜、イチイ、カエデ、マツの樹皮から取れる化合物で、化粧品や加工食品の香味添加剤として使用されています。高用量で服用すると、脂肪細胞の領域で脂肪燃焼効果を発揮することが示唆されています。これらの効果は、エフェドリンやシネフリンの効果と類似しており、体が脂肪を燃焼させ、食欲を低下させられる可能性があることを示していますが、ラズベリーケトンに関するエビデンスは、試験管内のインビトロ試験で 観察されただけであることに注意が必要です。研究では単一細胞中のケトン濃度を上昇させていますが、これと同じ濃度を経口摂取によって人体で再現することは不可能とされており、ラズベリーケトンの経口摂取によって体重が減少したという科学的なエビデンスはありません。
適応・効果
適応情報
エビデンス不足
- 脱毛症(円形脱毛症): 初期の研究では、ラズベリーケトン溶液を頭皮に塗布すると脱毛した人の毛の成長が増えることが示されています。育毛サプリ:
- 男性型脱毛症(アンドロゲン性脱毛症): 初期の研究では、ラズベリーケトン溶液を頭皮に塗布すると、男性型脱毛症の人の毛の成長が増加する可能性があることが示されています。育毛サプリ:
- 肥満症: 初期の研究では、ラズベリーケトンとビタミンCを併用することで、健康な人の体重や体脂肪が減少する可能性が示唆されています。 他の研究では、ラズベリーケトン、カフェインなどを含む特定の製品を8週間1日2回服用し、運動プログラムと併用することで、体重2％、体脂肪率7.8％、バスト2％ 、ヒップ1.7％の減少が報告されました。 ラズベリーケトン単体での効果は明らかではありません。脂肪燃焼サプリ:体脂肪量 体脂肪 体重
効果まとめ
効果まとめ表
効果まとめ表は動物や試験管内の実験ではなく、経口服用による人体での反応を科学的に研究したデータを基にどのような効果がどの程度あるのかをまとめたものです。
| レベル | 研究の質と量 ? 信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります. |
|---|---|
| 二重盲検臨床試験が繰り返し行われ確実性の高い研究が実施されています。 | |
| 2つ以上のプラセボ効果を排除した二重盲検試験を含む複数の研究が実施されています。 | |
| 二重盲検試験が1件または複数コホート試験が実施されています。 | |
| 上記に満たない研究内容または観察研究のみが報告されています。 |
| 研究の質と量 ? 信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります. | 研究対象 | 効果の大きさ ? それぞれの研究対象に対する効果の方向性と大きさ. 対象項目を増加させるもの、低下させるもの、作用しないものを示しています. | 研究の整合性 ? 科学的な研究でも常に結果が一致するとは限りません. この評価が高いほど対象項目に関する科学的な研究結果が一致しており、整合性が取れています. | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 毛の再生 | – 研究結果を見る | 局所的に塗布することで髪の成長を誘発する可能性があります。 | ||
| 肌の弾力性 | – 研究結果を見る | 局所的に塗布することで肌質を改善できる可能性があります。 |
副作用
副作用と安全性
ラズベリーケトンは、短期間に他の成分も含有する製品の一部として適量を経口服用する場合は安全とされています。 ラズベリーケトンおよびカフェインなどを含む製品1000mgを8週間、1日2回服用して安全に関する問題は起こりませんでした。
ただし、ラズベリーケトンの安全性に関する信頼できる情報は十分ではありません。シネフリンという覚醒剤と化学的に共通する構造をもっているため、ラズベリーケトンは、イライラを感じたり、血圧や心拍を上昇させる可能性があります。 ラズベリーケトンを服用した人の動機も報告されているため、注意が必要です。
注意と警告
妊娠と授乳: 妊娠と授乳中の安全性に関する信頼できる情報は十分ではありません。 安全のため使用を控えましょう。
糖尿病: ラズベリーケトンは血糖値を下げる可能性があります。 糖尿病治療薬を使用している人は注意が必要です。
注意事項
その他の名称
- 4-（4-ヒドロキシフェニル）ブタン-2-オン、 p-ヒドロキシベンジルアセトン
注意点
- ラズベリーケトンは非刺激性とされていますが、十分な検証は行われていません。
- ラズベリーケトンはわずかにラズベリーの香りと味があります。
服用方法
推奨用量、有効量、その他の詳細
ラズベリーケトンの持つ効果を裏付ける人間のエビデンスはありません。ラットの研究では0.545-2.18g / kgで実験が行われ、人間で換算すると推定80-340mg/kgとなります。また、例えば68kgの人の場合は870-3,700mgとなります。この用量は他の脂肪燃焼物質と比較して非常に高いため、ヒトのラズベリーケトンの標準的に服用されているのは100-200mgとなっていますが、このような用量での効果を裏付けるエビデンスはありません。また、試験管内での実験と同じ水準まで細胞のラズベリーケトンの濃度を高めることはできません。