ローゼル(ハイビスカス・サバリッファ)は、アントシアニンを豊富に含む花や花のガクが煎じられるお茶です。血圧を下げるのに有効であることが示されています。炭水化物の吸収を軽度に阻害する可能性が示唆されていましたが、人でのエビデンスは体重の減少への効果を示していません。
コンテンツ
概要
重要な効果・情報
ローゼル(ハイビスカス・サバリッファ[Hibiscus sabdariffa])は茎から咲く花を支えるガクを集めたハーブでサプリメントとして利用されています。このガクは古くからに薬用目的でお茶として飲まれており、赤青色の色素を持つアントシアニンが含まれます。
様々な効果が主張されていますが、血圧の高い人の血圧を下げる効果が科学的に示されています。これは、血液に到達するアントシアニンが多いほど、ACEを阻害したり、酸化窒素に関連するメカニズムを介して血管内皮に効果をもたらす可能性があります。拡張期血圧と収縮期血圧の両方の低下が示されており、低下の度合いはそれぞれの研究によって異なりますが、処方薬と同等かそれ以上の効果を示唆する研究が存在します。
また、糖尿病と血糖値のコントロールについては、動物での実験では顕著な効果がありましたが、人間でのエビデンスはローゼルの効果を支持していないようです。ローゼルは、炭水化物吸収酵素を軽度に阻害し、このような作用に関してマグワ (ホワイトマルベリー)と相乗効果を持つ可能性が示唆されています。生体でのエビデンスは十分ではありませんが、ホワイトマルベリーとローゼルを組み合わせたお茶は、炭水化物の吸収を阻害できる可能性がありますが、人間での実験ではローゼルの補給による体重への影響は見られませんでした。ローゼルの毒性に関する研究では、高用量で毒性を持つ可能性があることが知られており、体重減少が起こった動物での研究では慢性的な毒性も報告されています。毒性がなく体重が減少したことを指摘する研究では、直接脂肪を燃焼するのではなく、ラットやマウスの摂食量の減少によるものと考えられています。食欲抑制効果はラットにおいてかなり高い確率で起こっていますが、このよな効果がヒトでも起こるかは不明です。ハイビスカス酸として知られている生理活性物質は、ガルシニアカンボジアのヒドロキシクエン酸と似た構造をしており、ラットでは食欲を減少させますが、ヒトでは効果が無いため、食欲を減少させる効果が無い可能性もあります。
また、毒性を起こす用量とどのような影響が出るかについては、研究ごとに異なりますが、血圧が下がることによって起こるようで、人でも起こりえます。現時点ではこのような毒性を起こす成分は正確には分かっていません。毒性が起こった一番低い用量は、ラットで200mg/kgで、68kgのヒトの場合乾燥したローリエの花ガク2.2gに相当します。しかし、ヒトの研究では、この用量以上を服用しても、明らかな副作用は見られていません。 ローゼルの毒性が生じる用量を検証する必要があります。このような毒性の中で、精巣への毒性があり、動物実験において200mg/kg以上で使用した場合に高い確率で起こるようですが、ヒトでは検証されていません。ローゼルはオスの不妊症や、精子の異常を誘導する可能性があります。また、メスでは、ローゼルが思春期の遅れや出生体重の異常な増大を引き起こす可能性を示唆する研究があるため、注意が必要です。
上記のようにローゼルの摂取による人での毒性は検証されておらず、人がローゼルを使用した研究では重大な副作用は報告されていませんが、安全のため、今後妊娠や出産をする可能性のある男女は、人での安全性が確認されるまでローゼルの摂取を控えるべきです。
適応・効果
適応情報
有効性の信頼度(中)
- 高血圧症: ほとんどの初期の研究では、2〜6週間のローゼルティーを飲むと、正常または軽度の高血圧の人の血圧が軽度に低下することが示されています。 いくつかの初期の研究では、ローゼルティーは、処方薬のカプトプリルと同程度の効果があり、高血圧の人の血圧を下げる薬のヒドロクロロチアジドよりも効果があることを示しています。
エビデンス不足
- 高コレステロール血症: いくつかの初期研究は、ローゼルティーを飲んだり、ローゼル抽出物を経口摂取すると、糖尿病などの代謝障害を持つ人のコレステロールや血中脂肪を低下させられることを示しています。 しかし、他の研究では、ローゼルは高コレステロールの人のコレステロール値を改善しないことを示しています。コレステロール抑制サプリ: 脂肪燃焼サプリ: 糖尿病:
- 尿管感染: 初期の研究では、長期看護施設に住む尿道カテーテルを持つ人は、ローゼルティーを飲む人が、そうでない人に比べて尿路感染症の確率が36%低いことが分かっています。
- 感冒:
- 便秘症:
- 体液貯留:
- 心疾患:
- 悪心:
- 食欲不振:
- 神経症:
効果まとめ
効果まとめ表
効果まとめ表は動物や試験管内の実験ではなく、経口服用による人体での反応を科学的に研究したデータを基にどのような効果がどの程度あるのかをまとめたものです。
レベル | 研究の質と量
?
信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります. |
---|---|
二重盲検臨床試験が繰り返し行われ確実性の高い研究が実施されています。 | |
2つ以上のプラセボ効果を排除した二重盲検試験を含む複数の研究が実施されています。 | |
二重盲検試験が1件または複数コホート試験が実施されています。 | |
上記に満たない研究内容または観察研究のみが報告されています。 |
研究の質と量
?
信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります. |
研究対象 | 効果の大きさ
?
それぞれの研究対象に対する効果の方向性と大きさ. 対象項目を増加させるもの、低下させるもの、作用しないものを示しています. |
研究の整合性
?
科学的な研究でも常に結果が一致するとは限りません. この評価が高いほど対象項目に関する科学的な研究結果が一致しており、整合性が取れています. |
摘要 |
---|---|---|---|---|
血圧 | 中程度 | 非常に高い 6件の研究結果を見る |
ロゼールティーやサプリメントの摂取で血圧が低下することが示されています。他のサプリメントよりも顕著で、医薬品に匹敵する効果が示唆されています。
|
|
トリグリセリド | 中程度 | 中程度 4件の研究結果を見る |
トリグリセリドに対する効果は相反していますが、プラバスタチンに匹敵する効力を示唆する研究もあります。再現性の検証が必要です。
|
|
血糖値 | – | 非常に高い 2件の研究結果を見る |
血中グルコースの有意な変化は認められませんでした。
|
|
HDL-C | – | 中程度3件の研究結果を見る |
最も信頼できる研究ではローゼルの補給によるHDLコレステロールへの影響は見られませんでした。
|
|
LDL-C | – | 高い 3件の研究結果を見る |
信頼できる研究ではローゼルの補給によるLDLコレステロールへの影響は見られませんでした。
|
|
総コレステロール | – | 高い 3件の研究結果を見る |
信頼できる研究では総コレステロールに有意な変化は見られませんでした。
|
|
重量 | – | 非常に高い 2件の研究結果を見る |
ローゼルの補給による体重への影響は見られませんでした。
|
|
一般酸化 | 小さい | – 研究結果を見る |
生体内の酸化的バイオマーカーが減少することが示唆されています。試験管内での研究では見られなかった作用で注目されています。
|
|
炎症 | 小さい | – 研究結果を見る |
MCP-1の減少が見られましたが、他の炎症性サイトカインには効果がないかもしれません。
|
|
脂質過酸化 | 小さい | – 研究結果を見る |
脂質過酸化を減少させることが指摘されています。
|
|
肝臓酵素 | 小さい | – 研究結果を見る |
肝臓酵素の減少が報告されています。
|
|
アポリポタンパク質A | – | – 研究結果を見る |
血清中のアポリポタンパク質Aレベルに有意な影響はありません。
|
|
アポリポタンパク質B | – | – 研究結果を見る |
血清中のアポリポタンパク質Bレベルに有意な影響はありません。
|
|
クレアチニン | – | – 研究結果を見る |
クレアチニンに有意な影響はありません。
|
|
尿素 | – | – 研究結果を見る |
尿素に有意な影響はありません。
|
|
尿酸 | – | – 研究結果を見る |
血清中の尿酸濃度に影響はありません。
|
副作用
副作用と安全性
ローゼルは、大部分の人にとって食物に含まれる量を消費する場合には安全です。 また薬用の用量でも適切に経口服用された場合には安全とされています。 ハイビスカスの服用に関する副作用は現在のところ報告されていませんが、高用量での服用が毒性を持つ可能性が示唆されているため、用量に注意が必要です。
注意と警告
妊娠と授乳: ローゼルは、薬用の用量で経口摂取された場合、安全でない可能性があります。 動物の実験ではオスの生殖能力の異常やメスの思春期の遅発、出生体重の異常などを示唆する報告があります。ハイビスカスの副作用の頻度は低いですが、一時的な胃の不調や痛み、ガス、便秘、吐き気、排尿痛、頭痛、耳鳴り、震えなどが起こる可能性があります。
糖尿病: ハイビスカスは血糖値を下げる可能性があります。 糖尿病治療薬の用量を医師に相談して調整してもらう必要があるかもしれません。
低血圧: ハイビスカスは血圧を下げる可能性があります。 ハイビスカスを服用すると、低血圧の人の血圧が低くなりすぎる可能性があります。
手術: ハイビスカスは血糖値に影響を与え、手術中や手術後の血糖のコントロールを困難にする可能性があります。 予定された手術の少なくとも2週間前にハイビスカスの使用を中止してください。
注意事項
人間での検証は行われていませんが、動物の実験ではオスの生殖能力の異常やメスの思春期の遅発、出生体重の異常などを示唆する報告があるため、安全性が確認されるまで今後妊娠や出産する可能性のある男女は摂取を避けましょう。
相互作用
軽度の相互作用
下記の組み合わせに気をつけてください。
- アセトアミノフェン
アセトアミノフェンを服用する前にローゼルを摂取すると、アセトアミノフェンを分解する速度が増加する可能性があります。 しかし、この作用が重要かどうかは分かっていません。
その他の名称
- ハイビスカスティー、ハイビスカス・サバリッファ(Hibiscus sabdariffa)、イサクパ(Isakpa)、クラチアプ・デン(Krachiap daeng)、サワーティー(Sour Tea)
混同しやすいもの
- ハイビスカス・マクランタス (同じ属、異なる種)、 ロスマリン酸 、 ローズオイル、ハイビスカス・ロサ・シネンシス(沖縄などで見られ、一般的にハイビスカスと呼ばれる種)
注意点
- アントシアニンは熱に敏感なため、ローゼル茶を作る場合は、過度の熱や沸騰を避けてください。しかし、多少の沸騰では効果に大きな影響はないようです。
分類カテゴリー
良い組み合わせ
- マグワ(アルファ・アミラーゼを阻害)
- 野菊[chrysanthemum indicus](アルファ・アミラーゼを阻害)
- アエグレ・マルメロス[Aegle marmelos](アルファ・アミラーゼを阻害)
確認事項
- ローゼルの高用量での摂取は毒性を起こす可能性があるため、今後妊娠する可能性のある男女は使用を控え、そうでない人も用量に注意が必要です。
- 効果副作用.com 免責事項
服用方法
推奨用量、有効量、その他の詳細
ローゼルティーを使用する場合、約1グラムの乾燥した灰色の花がく(花弁ではなく 、その下にあるがく)をお茶に浸します。午前中に1回または8時間の間隔を開けて1日2回飲みます。ローゼルティーの補給は、アントシアニンの含有量を基準に計算するのが一般的です。
ローゼル由来のアントシアニン(1%抽出物1gまたは2%抽出物500mg)10mgが最も効果的と考えられています。高用量を使用したラットでは毒性が報告されているため、過剰な摂取は控えるべきです。
下記の用量が科学的な研究で使用されました。
成人
経口摂取:
- 高血圧: 熱いお湯150mL〜500mLにローゼル1.25〜10グラムまたは体重あたり150mg/kgを加えて、10〜30分間浸してハイビスカスティーを作っています。ハイビスカスティーを1日当たり1〜3回、2〜6週間服用しています。