メラトニン は、体内時計として睡眠起床サイクルを維持している体内で分泌される天然ホルモンです。 人間の場合、夜間睡眠は平均8時間、昼間は平均16時間活動します。 メラトニンは化学合成も可能で、アメリカなどでは、栄養補助食品としての処方箋なしで入手することが可能です。
体内で作られるメラトニンは、暗闇に反応して放出され、午後11時からと午前3時の間にピークを迎え、約200ピコグラム(pg)/ mLでピークに達します。 夜間のメラトニンの濃度は、昼間の約10倍で、昼間には大幅に低下し、ほとんど検出されません。 体内でのメラトニンの増加と減少は睡眠と起床のサイクルと連動しています。
体内でのメラトニンの分泌は、アミノ酸のトリプトファンが中間体のセロトニンを経由して、脳、眼などのメラトニン受容体に放出されることで、睡眠覚醒を制御しています。 メラトニンの半減期は約20〜50分と短く、肝臓のCYP-450酵素系によって分解され、尿または糞便中に排泄されます。
夏にはメラトニンの分泌が短く、冬には長くなります。 スマートフォンやテレビなどの光を夜に見るとメラトニンの分泌を妨げ、睡眠障害を引き起こします。 また、加齢によって夜間のメラトニンの分泌量は減少し、不眠症や早朝覚醒などを起こす可能性があります。
メラトニンの摂取は、睡眠障害から癌治療まで、多くの効能を有することが示唆されていますが、そのうちの多くの用途での研究データが不足しているのが現状ですが、時差ぼけや睡眠障害の治療についてはかなりの研究データが蓄積されています。 また、メラトニンは、抗酸化活性、免疫反応の調整機能、および抗腫瘍活性を有することが示唆されており、このような分野での研究も進められています。
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メラトニンはホルモンか
メラトニンはビタミンではなく、体内で分泌される場合は天然の内因性ホルモンです。 海外で販売されているメラトニンのサプリメント(外因性ホルモン)は主に合成により製造されています。
一般的には以下のような症状のために服用されています。
時差ぼけの軽減
睡眠サイクルの調整
交替勤務の睡眠障害の治療
不眠症
メラトニンの働き
体内のメラトニンは、脳の松果腺で分泌される脂溶性のホルモンです。 アミノ酸のトリプトファンから合成され、血液脳関門を越えて血液および脳脊髄液に放出され、脳や体のメラトニン受容体にシグナルを送り、睡眠覚醒サイクルの制御に関与しています。
サプリメントとして服用した場合にも、メラトニンは体内で分泌されたときの作用と同様に働きます。 通常、メラトニンを服用してから30分以内に眠気を感じます。 睡眠障害の症状によって、服用するタイミングが変わってくる場合もありますので、必要に応じて医師に相談しましょう。
メラトニンは全ての人に効果があるわけではありません。
確認事項
メラトニンにアレルギーがある場合には使用しないでください。
以下に当てはまる場合は、メラトニンを使用する前に、医師に相談してください。
- 糖尿病
- うつ病
- 血友病または血液凝固障害
- ワルファリンを含む抗凝血薬の使用
- 高血圧または低血圧
- てんかんなどの発作障害
- 自己免疫疾患
- 鎮静剤または精神安定剤の使用
メラトニンが胎児に害を与えるかどうかはまだはっきりしていません。 妊娠している場合は、医師の助言なしの使用を控えましょう。
高用量の摂取は排卵に影響を与え、妊娠が困難になる場合があります。
メラトニンが母乳に流入して授乳中の乳児に危害を与える可能性があるかはまだはっきりしていません。 授乳中の場合は、医師に相談しましょう。
医師と相談せずに、子供に健康補助食品を与えないようにしましょう。
メラトニンの副作用
一般的な副作用は以下のものです。もしこのような症状がひどかったり、持続するような場合には、医師に相談しましょう。
- 睡眠パターンの変化
- 頭痛
その他、報告されている副作用は以下のようなものがあります。
- 日中の眠気、めまい、疲労、精神不安
- 明晰夢、悪夢
- うつ病、不安、過敏感
- 頭痛
- 下痢、下痢、吐き気、胃痛
- 血圧の変化
- 関節または背中の痛み
- 発作のリスク上昇
メラトニンを服用しているときに、以下のような症状が現れた場合には、直ちに医師に相談しましょう。
- アレルギー反応(発疹 蕁麻疹 呼吸困難 緊張状態 口、顔、唇、舌のはれ)
- 精神不安
- うつ
- 心拍の上昇
- 低体温
- 速い呼吸
- 震え
メラトニンは短期間の使用では比較的安全なサプリメントであり、メラトニンの副作用はまれです。 長期間にわたるメラトニンの服用の安全性は、現在のところ無作為化された、制御された研究において結論が出ていません。 一般的には、メラトニンは、1日1回3-5mgのような高用量でさえ、比較的無毒であると考えられています。
メラトニン の用法・用量
メラトニンは時差ぼけの解消に効果的で、普段は起きている時間帯に眠りにつく際に使用されます。
時差ボケの解消には、0.3-0.5mgの低用量から始めましょう。 1錠あたりの用量が多すぎる場合はピルカッターで割って利用しましょう。 低用量では効果がない場合は、少しずつ用量を増やして3-5mg程度まで用量を増やす必要があるかもしれませんが、頭痛や翌日の疲れまたは明晰夢などの副作用が起きる可能性がありますので、様子を見ながら調整しましょう。
Cochraneの調査によると、5mgを超えて服用しても、低用量と比べて効果が少ないと報告されています。 海外では高用量のサプリメントが販売されていますが、過剰にセロトニンを摂取してしまう危険性があることに注意しましょう。
・時差ぼけの際の服用
時差ぼけは、飛行機で長距離移動した際(特にタイムゾーンをまたぐ場合)に、睡眠、疲労、集中力の低下、便秘などの症状を引き起こします。 通常、時間が遅くなる西へ飛ぶよりも、時間が早くなる東へ飛ぶほうが調整が大変になります。
・東廻り
例えば日本からアメリカなどのように東へ移動した場合は、暗くなったあと、就寝の30分前に服用しましょう。 飛行機の中で眠っておきたい場合には、機内で服用しましょう。 四泊ほど就寝前に服用すれば、現地時間に適応してきます。 翌日眠い場合は、用量を少し減らして服用しましょう。
・西廻り
例えば日本からアジア、中東、ヨーロッパなど西へ移動した場合は、通常、初日には服用する必要は無く、その後4日間、暗くなった後、就寝の30分前に服用しましょう。 西廻りの場合は、メラトニンは必ずしも必要とは限りませんので、様子を見ながら服用しましょう。
インターネット上では例えば20mgの高用量のメラトニンを購入することができるが、そのような高用量の服用は通常は必要ありませんし、おすすめできません。
・不眠症
はじめはメラトニン0.1-0.5mgを就寝の30分前に服用してみましょう。 メラトニンの服用は、睡眠への導入を促進する効果はあるが、睡眠を維持する効果は少ないため、早朝覚醒してしまう可能性があることが研究から示唆されています。
・シフト勤務による睡眠障害
日中に眠りにつきたい30分前に1.8-3mgのメラトニンを服用します。 メラトニンを服用して睡眠を取ったからと言って、夜間シフトの間、眠気がなくなるとは限りませんが、日中の睡眠の導入を改善することができます。
・遅延睡眠相障害
遅延睡眠相障害(DSPD)は、思春期のメラトニン分泌の低下またはメラトニンの不足によって起こる可能性が高いです。 就寝が、通常の10-11時に対して、3-6時間遅れてしまいます。 遅延睡眠相障害は学業やスポーツ、日々の活動に悪影響を与え、眠気による交通事故の可能性を高めます。思春期の睡眠障害は、医師に相談してみましょう。
就寝時間の4-6時間前にメラトニン1mgを服用し、設定しに就寝時間が就寝できるようになったら、睡眠開始の2時間前に0.5mgのメラトニンを服用するようにします。 高照度光療法と行動管理が治療の助けになる可能性があります。 メラトニンを服用した後、眠気が生じることがあるので、運転などの危険が予測される活動は控えましょう。
・非24時間睡眠覚醒症候群
全盲の人の70%以上が非24時間睡眠覚醒症候群であり、日光を目から完治することができないため、体内時計をリセットすることができません。 全盲の人に多いこの症状ですが、目が見える人であっても生活習慣などが原因でこのような症状を発症する例があります。 この症状では入眠や起床の時間が毎日少しずつ前か後ろにずれてしまい、起床 – 睡眠パターンが乱れていきます。
このようなリズムのズレを調整して、体内時計を正常に維持するために、メラトニンを服用が役に立ちますが、この症状におけるメラトニン療法の大規模な臨床試験は現在のところ実施されていませんが、全盲の被験者を対象にした研究では、一日0.5mgのメラトニンの処方が効果的たったと示唆しています。 また、メラトニン作動薬のタシメルテオン(tasimelteon)もこの症状の治療に使用されることがあります。
子供のメラトニンの服用
睡眠に問題のある子供のためにメラトニンの使用を検討する場合には、小児科医や医学的な知見のある睡眠の専門家の指導の下、メラトニンを使用してください。子供の不眠症や睡眠障害は、必ず医療の専門家の指示の下経過を観察する必要があります。
メラトニンを服用は、日々の良好な睡眠状態や十分な睡眠時間の代わりとはなりませんが、 Yale大学の睡眠専門医Craig Canapari医者によると、メラトニンの使用によって寝付きを改善し、入眠時間を早めたり、夜間の睡眠障害を軽減できると報告しています。
子供のメラトニンの長期使用に関する研究は行われておらず、長期間の使用による副作用はまだはっきり分かっていません。自閉症スペクトラム障害または注意欠陥多動性障害(ADHD)の子供には、医師の指導の下、認知行動介入療法が必要です。
体内でのメラトニン分泌の変化によって、思春期には睡眠相後退障害が生じ、入眠が通常の就寝時間10-11時に対して3-6時間遅れます。就寝前に1時間以上、電子機器の使用を控えて就寝時間を一定に保つことは、子供の健全な成長のために特に重要です。
子供の副作用
子供のメラトニン服用の副作用で最も一般的なのは、寝起きの悪さです。
その他にも以下のような副作用が報告されています。
- おねしょ
- 頭痛
- めまい
- 吐き気
- 下痢
- 重度の神経障害を持つ小児の発作リスクが増加する可能性
メラトニンは、サプリメントですが、他の薬と相互作用を起こしたり、病気の症状や手術、その他の健康上の課題に影響を与える可能性がある可能性があります。
また、メラトニン服用時は下記の点に注意しましょう。
- メラトニンを服用した後、少なくとも4時間は運転しない
- 他の処方薬、市販薬、栄養補助食品と一緒に使用する場合には医師や薬剤師に相談しましょう
- メラトニンを服用している間はアルコールを控えましょう
- カフェインを含む、コーヒー、紅茶、コーラ、エネルギードリンクなどの飲料や食品は、メラトニンの効果を抑制したり、血中のメラトニンレベルを増加させるのでメラトニンの服用中には控えましょう