主な薬効は、(1) 抗腫瘍効果 です。
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商品名
一般的名称 | 商品名 | 製造元 | 薬価 |
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ベバシズマブ(遺伝子組換え)注 | アバスチン点滴静注用100mg/4mL/アバスチン点滴静注用400mg/16mL | 中外製薬株式会社 | 178468円 (400mg16mL1瓶) |
禁忌
警告
- 1.
- 本剤を含む癌化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、癌化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。適応患者の選択にあたっては、本剤及び各併用薬剤の添付文書を参照して十分注意すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
- 2.
- 消化管穿孔があらわれ、死亡に至る例が報告されている。本剤の投与中に、消化管穿孔と診断された場合は、本剤の投与を中止し、適切な処置を行い、以降、本剤を再投与しないこと(「慎重投与」、「重大な副作用」の項参照)。
- 3.
- 創傷治癒遅延による合併症(創し開、術後出血等)があらわれることがある。
- (1)
- 手術後の患者に本剤を投与する場合は、術創の状態を確認し、投与の可否を検討すること。大きな手術の術創が治癒していない場合は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合を除き、本剤を投与しないこと(「慎重投与」の項参照)。
- (2)
- 本剤の投与中に創傷治癒遅延による合併症があらわれた場合は、創傷が治癒するまで本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと(「重大な副作用」の項参照)。
- (3)
- 本剤の投与終了後に手術を行う場合は、本剤の投与終了からその後の手術まで十分な期間をおくこと(「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照)。
- 4.
- 本剤の投与により腫瘍関連出血のリスクが高まる可能性がある。脳腫瘍(脳転移を含む)を有する患者に本剤を投与した場合、脳出血があらわれるおそれがある。本剤の投与中に重度の出血があらわれた場合は、本剤の投与を中止し、適切な処置を行い、以降、本剤を再投与しないこと(「慎重投与」、「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照)。
- 5.
- 本剤の投与により、肺出血(喀血)があらわれ、死亡に至る例が報告されている。観察を十分に行い、肺出血(喀血)があらわれた場合は、本剤の投与を中止し、適切な処置を行い、以降、本剤を再投与しないこと(【禁忌】、「重大な副作用」の項参照)。
- 6.
- 脳血管発作、一過性脳虚血発作、心筋梗塞、狭心症、脳虚血、脳梗塞等の動脈血栓塞栓症があらわれ、死亡に至る例が報告されている。観察を十分に行い異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。動脈血栓塞栓症があらわれた患者には、本剤を再投与しないこと(「慎重投与」、「重大な副作用」の項参照)。
- 7.
- 高血圧性脳症又は高血圧性クリーゼがあらわれ、死亡に至る例が報告されている。これらの事象があらわれた場合は、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。このような患者には、以降、本剤を再投与しないこと。また、本剤の投与期間中は血圧を定期的に測定すること(「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照)。
- 8.
- 可逆性後白質脳症候群があらわれることがある。可逆性後白質脳症候群が疑われた場合は、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと(「重大な副作用」の項参照)。
禁忌(次の患者には投与しないこと)
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効果・効能
一般的名称: ベバシズマブ(遺伝子組換え)注;
効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
- 治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
- 扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
- 卵巣癌
- *進行又は再発の子宮頚癌
- 手術不能又は再発乳癌
- 悪性神経膠腫
関連する疾病:
肺扁平上皮癌, 非小細胞肺癌, 悪性神経膠腫, 小細胞肺癌, 肺胞上皮癌, 子宮癌再発, 子宮頚癌, 乳癌再発, 神経膠腫, 結腸癌, 直腸癌, 卵巣癌, 子宮癌, 神経腫, 肺癌, 乳癌, 癌
効能又は効果に関連する使用上の注意
- 1. 治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌及び扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌の場合
- (1)
- 術後補助化学療法において、本剤の有効性及び安全性は確認されていない。
- (2)
- 【臨床成績】の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
- 2. 手術不能又は再発乳癌の場合
- (1)
- 術後補助化学療法において、本剤の有効性及び安全性は確認されていない。
- (2)
- 延命効果は示されていない( 【臨床成績】の項参照)。
- (3)
- 【臨床成績】の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、HER2及びホルモン受容体の発現状況等を踏まえて本剤投与の必要性を検討し、適応患者の選択を行うこと。
- 3. 悪性神経膠腫の場合
- 【臨床成績】の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、治療歴、病理組織型等を踏まえて適応患者の選択を行うこと。
- 4. 卵巣癌の場合
- (1)
- FIGO Stage III以上の卵巣癌患者に投与すること。
- (2)
- 【臨床成績】の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
- 5. *進行又は再発の子宮頚癌の場合
- 【臨床成績】の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
関連する疾病:
肺扁平上皮癌, 非小細胞肺癌, 悪性神経膠腫, 上行結腸癌, 小細胞肺癌, 肺胞上皮癌, 子宮癌再発, 乳癌再発, 神経膠腫, 子宮頚癌, 小腸癌, 結腸癌, 直腸癌, 小結腸, 神経腫, 卵巣癌, 子宮癌, 肺癌, 乳癌, 癌
用法及び用量
- 治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
- 他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはベバシズマブ(遺伝子組換え)として1回5mg/kg(体重)又は10mg/kg(体重)を点滴静脈内注射する。投与間隔は2週間以上とする。
- 他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはベバシズマブ(遺伝子組換え)として1回7.5mg/kg(体重)を点滴静脈内注射する。投与間隔は3週間以上とする。
- 扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
- 他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはベバシズマブ(遺伝子組換え)として1回15mg/kg(体重)を点滴静脈内注射する。投与間隔は3週間以上とする。
- 卵巣癌
- 他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはベバシズマブ(遺伝子組換え)として1回15mg/kg(体重)を点滴静脈内注射する。投与間隔は3週間以上とする。
- *進行又は再発の子宮頸癌
- 他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはベバシズマブ(遺伝子組換え)として1回15mg/kg(体重)を点滴静脈内注射する。投与間隔は3週間以上とする。
- 手術不能又は再発乳癌
- パクリタキセルとの併用において、通常、成人にはベバシズマブ(遺伝子組換え)として1回10mg/kg(体重)を点滴静脈内注射する。投与間隔は2週間以上とする。
- 悪性神経膠腫
- 通常、成人にはベバシズマブ(遺伝子組換え)として1回10mg/kg(体重)を2週間間隔又は1回15mg/kg(体重)を3週間間隔で点滴静脈内注射する。なお、患者の状態により投与間隔は適宜延長すること。
用法及び用量に関連する使用上の注意
- 1.
- *治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌の場合、本剤は、フッ化ピリミジン系薬剤を含む他の抗悪性腫瘍剤との併用により投与すること(
【臨床成績】の項参照)。扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌の場合、本剤は白金系抗悪性腫瘍剤を含む他の抗悪性腫瘍剤との併用により、手術不能又は再発乳癌の場合、本剤はパクリタキセルとの併用により、初発悪性神経膠腫の場合、本剤は放射線照射及びテモゾロミドとの併用により、卵巣癌の場合、本剤はカルボプラチン及びパクリタキセルとの併用により、進行又は再発の子宮頸癌の場合、本剤はパクリタキセルを含む他の抗悪性腫瘍剤との併用により開始すること(
【臨床成績】の項参照)。本剤と併用する他の抗悪性腫瘍剤は、
【臨床成績】の項の内容を熟知した上で、選択すること。 - 2.
- 併用する他の抗悪性腫瘍剤の添付文書を熟読すること。
- 3.
- 再発悪性神経膠腫以外における本剤単独投与での有効性及び安全性は確立していない。
- 4.
- 治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌の場合、本剤の用法・用量は、
【臨床成績】の項の内容を熟知した上で、本剤と併用する他の抗悪性腫瘍剤及び患者の癌化学療法歴に応じて選択すること。 - 5.
- 悪性神経膠腫の場合、本剤の用法・用量は、
【臨床成績】の項の内容を熟知した上で、患者の治療歴に応じて選択すること。 - 6.
- 卵巣癌の場合、他の抗悪性腫瘍剤との併用投与終了後も本剤単独投与を継続すること(本剤を継続投与しない場合の有効性は確認されていない。
【臨床成績】の項参照)。 - 7.
- *進行又は再発の子宮頸癌の場合、日本人患者においては、本剤はパクリタキセル及びノギテカンとの併用投与の経験はない。
- 8.
- 注射液の調製法及び点滴時間
- (1)
- 本剤の投与時には必要量を注射筒で抜き取り、日局生理食塩液に添加して約100mLとする。初回投与時は90分かけて点滴静注する(「適用上の注意」の項参照)。
- (2)
- 初回投与の忍容性が良好であれば、2回目の投与は60分間で行っても良い。2回目の投与においても忍容性が良好であれば、それ以降の投与は30分間投与とすることができる。
臨床成績
一般的名称: ベバシズマブ(遺伝子組換え)注;
臨床成績
1. 治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
- [国内臨床試験の成績]
- ○第I/II相試験(JO19380試験)
- 未治療の進行・再発結腸・直腸癌患者を対象に、カペシタビン・オキサリプラチン療法(XELOX療法)と本剤1回7.5mg/kg併用投与(21日を1サイクルとし、第1日目に、他剤投与に先立ち本剤を投与)による第I/II相試験を実施した。奏効率は71.9%(PR41/57例)であった。無増悪生存期間の中央値は336.0日(95%信頼区間:293−380日)であった。
- ○安全性確認試験(JO18158試験)
- 進行・再発結腸・直腸癌を対象に、オキサリプラチン・フルオロウラシル・レボホリナートカルシウム療法(FOLFOX4療法)と本剤の併用投与による安全性確認試験を、未治療例には本剤5mg/kg、既治療例には10mg/kgの用量(14日を1サイクルとし、第1日目に、他剤投与に先立ち本剤を投与)により実施した。奏効率は未治療例79.4%(PR27/34例)で、既治療例で47.8%(PR11/23例)で、全例でSD以上であった(主治医評価)。
- 注7)未治療例:初発進行病巣又は再発巣(術後補助療法終了後6カ月以上経過して確認されたもの)に対する化学療法を受けていない患者
- 注8)既治療例:先行化学療法において病勢進行・再発の認められた患者
- ○第I相試験(JO18157試験)
- 既治療又は未治療の進行・再発結腸・直腸癌患者18例を対象としたフルオロウラシル・レボホリナートカルシウム療法(5‐FU/
l‐LV療法)と本剤の併用投与(14日を1サイクルとし、第1日目に、他剤投与終了直後に本剤を投与)による第I相試験を実施した。奏効率は16.7%(PR3/18例)で、5mg/kgでは6例全例がSD、10mg/kgでは6例中2例がPR、4例がSDであった。 - [海外臨床試験の成績]
- ○未治療例を対象とした第III相無作為化比較試験(NO16966試験)
- 未治療の転移性結腸・直腸癌患者において、オキサリプラチン・フルオロウラシル・ホリナートカルシウム療法(FOLFOX4療法)又はXELOX療法に本剤又はプラセボを投与する2×2要因の二重盲検比較試験を実施した。本剤の用量は、FOLFOX4療法との併用では5mg/kg(14日を1サイクルとし、第1日目に他剤投与に先立ち本剤を投与)、XELOX療法との併用では7.5mg/kg(21日を1サイクルとし、第1日目に他剤投与に先立ち本剤を投与)とした。その結果、主要解析において、本剤併用群ではこれらのFOLFOX4療法又はXELOX療法の化学療法のみを受けた場合に比べ、有意な無増悪生存期間の延長が認められた。副次的解析のFOLFOX4療法+本剤群とFOLFOX4療法+プラセボ群の比較では有意な差は認められなかったが、XELOX療法+本剤群とXELOX療法+プラセボ群の比較では有意な無増悪生存期間の延長が認められた。また、副次的評価項目である生存期間については、化学療法に本剤を併用することにより延長傾向が認められた。
表2
- ○既治療例を対象とした第III相無作為化比較試験(E3200試験)
- イリノテカン塩酸塩水和物及びフルオロウラシルの治療が無効となった進行又は転移性の結腸・直腸癌患者を対象に、FOLFOX4療法群を対照とし、FOLFOX4療法に本剤10mg/kg(14日を1サイクルとし、第1日目に他剤に先立ち本剤を投与)を併用したときの有効性を検討した。その結果、本剤併用群においては、FOLFOX4療法群に比べ有意な生存期間の延長が認められた。また、副次的評価項目についても、無増悪生存期間の延長と高い奏効率が認められた。
表3
- ○未治療例を対象とした第III相二重盲検無作為化比較試験(AVF2107g試験)
- 未治療の転移性結腸・直腸癌患者を対象に、イリノテカン塩酸塩水和物・フルオロウラシル・ホリナートカルシウム療法(IFL療法)を対照群とし、IFL療法に本剤5mg/kg(14日を1サイクルとし、第1日目に他剤投与終了後に本剤を投与)又はプラセボを併用投与した。その結果、本剤併用群ではIFL療法単独に比べ有意な生存期間及び無増悪生存期間の延長が認められた。
表4
- ○未治療例を対象とした第II相二重盲検無作為化比較試験(AVF2192g試験)
- イリノテカン塩酸塩水和物の治療に不適と考えられる未治療の転移性結腸・直腸癌患者を対象に、フルオロウラシル・ホリナートカルシウム療法(5‐FU/LV療法)を対照群とし、5‐FU/LV療法に本剤5mg/kgを併用投与(14日を1サイクルとし、第1日目に他剤投与終了後に本剤を投与)したときの有効性を検討した。その結果、本剤併用群では、5‐FU/LV療法単独に比べ有意な無増悪生存期間の延長が認められた。
表5
未治療の転移性結腸・直腸癌を対象とした5‐FU/LV療法に本剤を併用した、上記試験を含む3試験の併合解析が行われ、本剤併用群において、対照群に比し生存期間、無増悪生存期間に有意な延長が認められたとの報告がある。
- 2. 扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
- [国内臨床試験の成績]
- ○第II相試験(JO19907試験)
- 未治療の扁平上皮癌を除く進行・再発の非小細胞肺癌患者を対象に、カルボプラチン・パクリタキセル療法(CP療法)を対照群とし、CP療法に本剤15mg/kgを併用(21日を1サイクルとし、第1日目に、他剤投与終了後に本剤を投与)した第II相試験を実施した。CP療法は両群とも6サイクルまでとし、本剤の投与はCP療法の中止又は終了後も同一用法・用量で病勢進行まで継続した。その結果、本剤併用群では、CP療法に比べ有意な無増悪生存期間の延長及び奏効率の改善が認められた。
表6
- [海外臨床試験の成績]
- ○未治療例を対象とした第II/III相無作為化比較試験(E4599試験)
- 未治療の扁平上皮癌を除く進行・再発の非小細胞肺癌患者を対象に、CP療法を対照群とし、CP療法に本剤15mg/kgを併用(21日を1サイクルとし、第1日目に他剤投与終了後に本剤を投与)したときの有効性を検討した。CP療法はいずれの群でも6サイクルまでとし、本剤の投与はCP療法の中止又は終了後も同一用法・用量で病勢進行まで継続した。その結果、本剤併用群では、CP療法に比べ有意な生存期間の延長が認められた。
- ○未治療例を対象とした第III相二重盲検無作為化比較試験(BO17704試験)
- 未治療の扁平上皮癌を除く進行・再発の非小細胞肺癌患者を対象に、シスプラチン・ゲムシタビン塩酸塩療法(GC療法、ゲムシタビン塩酸塩は国内未承認用法・用量を使用)を対照群とし、GC療法に本剤7.5mg/kg(未承認)又は15mg/kgを併用投与(21日を1サイクルとし、第1日目に他剤投与終了後に本剤を投与)したときの有効性を検討した。GC療法はいずれの群でも6サイクルまでとし、本剤の投与はGC療法の中止又は終了後も同一用法・用量で病勢進行まで継続した。その結果、本剤7.5mg/kg及び15mg/kg併用群の両群で、GC療法に比べ主要評価項目である無増悪生存期間の有意な延長が認められた。
表7
- ○未治療例を対象とした第II相無作為化比較試験(AVF0757g試験)
- 未治療の進行・再発の非小細胞肺癌患者を対象に、CP療法を対照群とし、CP療法に本剤7.5mg/kg(未承認)又は15mg/kgを併用(21日を1サイクルとし、第1日目に他剤投与終了後に本剤を投与)したときの有効性を検討した。CP療法はいずれの群でも6サイクルまでとし、本剤の投与はCP療法の中止又は終了後も同一用法・用量で病勢進行又は18サイクルまで継続した。扁平上皮癌患者を除いて解析した結果、本剤15mg/kg併用群では、CP療法に比べTime to disease progression(TTP)の有意な延長及び奏効率の改善が認められた。
表8
- 3. 手術不能又は再発乳癌
- [国内臨床試験の成績]
- ○第II相試験(JO19901試験)
- HER2陰性で転移・再発乳癌に対する化学療法未治療患者を対象に、パクリタキセルと本剤10mg/kgを併用(28日を1サイクルとし、第1日目、8日目、15日目にパクリタキセルを、第1日目、15日目にパクリタキセル投与終了後に本剤を投与)した第II相試験を実施した。有害事象によりいずれかの薬剤を中止した場合、もう一方の薬剤を単剤にて、同一用法・用量で病勢進行まで継続投与可能とした。無増悪生存期間の中央値は12.9カ月(95%信頼区間:11.1‐18.2カ月)、奏効率は73.5%(CR5/117例、PR81/117例)であった。
- [海外臨床試験の成績]
- ○化学療法未治療例を対象とした第III相無作為化比較試験(E2100試験)
- HER2陰性で転移・再発乳癌に対する化学療法未治療患者を対象に、パクリタキセル療法(PTX療法)を対照群とし、PTX療法に本剤10mg/kgを併用(28日を1サイクルとし、第1日目、8日目、15日目にPTXを、第1日目、15日目にPTX投与終了後に本剤を投与)したときの有効性を検討した。有害事象によりいずれかの薬剤を中止した場合、もう一方の薬剤を単剤にて、同一用法・用量で病勢進行まで継続投与可能とした。第1回中間解析(2005年2月9日データカットオフ)の結果に基づき、試験は早期有効中止された。本剤併用群では、PTX療法単独に比べ主要評価項目である無増悪生存期間(独立判定委員会評価)の有意な延長が認められた。一方、副次的評価項目である生存期間については、PTX療法に本剤を併用することによる有意な延長は認められなかった。
表9
- 注14)E2100試験では、トラスツズマブ(遺伝子組換え)既治療のHER2陽性乳癌患者、及びトラスツズマブ(遺伝子組換え)を含む治療が適応にならないHER2発現不明乳癌患者も登録可能であった。
- 4. 悪性神経膠腫
- [国内臨床試験の成績]
- ○第II相試験(JO22506試験)
- 既治療の再発悪性神経膠腫患者(膠芽腫29例、退形成性星細胞腫1例、退形成性乏突起星細胞腫1例)を対象に、本剤10mg/kgの2週間隔投与時の有効性を検討した。再発の膠芽腫患者29例における6カ月無増悪生存率は33.9%、1年生存率は34.5%、奏効率は27.6%であった。無増悪生存期間及び生存期間の中央値はそれぞれ3.3カ月及び10.5カ月であった。
- [国際共同臨床試験の成績]
- ○初発の膠芽腫を対象とした第III相二重盲検無作為化比較試験(BO21990試験)
- 初発の膠芽腫患者を対象に、放射線照射とテモゾロミドによる術後補助療法(RT/T療法)に本剤又はプラセボを併用する二重盲検無作為化比較試験を実施した。本剤の用量は、放射線照射とテモゾロミド(1日1回連日投与)の併用期間(6週間)中は、10mg/kg(第1日目から2週間隔、4回投与)とし、テモゾロミドの4週間休薬期間中は本剤も休薬した。その後、テモゾロミドの維持療法期間(28日を1サイクルとし、第1日目から第5日目まで1日1回投与を6サイクルまで実施)中は、本剤10mg/kg(28日を1サイクルとして、第1日目、15日目に投与)を併用投与した。テモゾロミド維持療法終了後は本剤の用量を15mg/kg(21日を1サイクルとし、第1日目に投与)とし、病勢進行まで継続投与した。その結果、本剤併用群では、プラセボ併用群に比べて主要評価項目である無増悪生存期間の有意な延長が認められた。もう1つの主要評価項目である生存期間には、有意な延長は認められなかった。
表10
- 5. 卵巣癌
- [国際共同臨床試験の成績]
- ○化学療法未治療例を対象とした第III相二重盲検無作為化比較試験(GOG‐0218試験)
- 化学療法未治療の上皮性卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜癌患者を対象に、カルボプラチン・パクリタキセル療法(CP療法)を対照群(CPP群)とし、CP療法に本剤15mg/kgを併用投与したCPB15群及び本剤15mg/kgを併用・継続投与したCPB15+群の3群による有効性を検討した。CP療法はいずれの群でも6サイクルまでとし、本剤又はプラセボは投与開始から病勢進行又は21サイクルまで投与した。その結果、CPB15+群で、CPP群に比べ主要評価項目である無増悪生存期間の有意な延長が認められた。なお、CPB15群では、有意な無増悪生存期間の延長は認められなかった。
- 注17)21日を1サイクルとし、CP療法の2サイクル目から第1日目に他剤投与終了後にプラセボを投与し、CP療法の中止又は終了後もプラセボを継続投与した群
- 注18)21日を1サイクルとし、CP療法の2サイクル目から第1日目に他剤投与終了後に本剤を投与し、CP療法の中止又は終了後はプラセボを継続投与した群
- 注19)21日を1サイクルとし、CP療法の2サイクル目から第1日目に他剤投与終了後に本剤を投与し、CP療法の中止又は終了後も本剤を継続投与した群
表11 表12
- 6. *進行又は再発の子宮頚癌
- [海外臨床試験の成績]
- ○全身化学療法未治療例を対象とした第III相無作為化比較試験(GOG-0240試験)
- 全身化学療法未治療の手術又は放射線療法による根治療法の対象とならない進行又は再発の子宮頚癌患者を対象に、化学療法(シスプラチン・パクリタキセル療法又はパクリタキセル・ノギテカン塩酸塩療法)を対照群とし、化学療法に本剤15mg/kgを併用したときの有効性を検討した。その結果、本剤併用群では、対照群に比べ主要評価項目である生存期間の有意な延長が認められた。
表13
臨床成績の表
投与群 | 無増悪生存期間 中央値(月) | 無増悪生存期間 ハザード比 | 生存期間 中央値(月) | 生存期間 ハザード比 |
化学療法+ プラセボ群 (n=701) | 8.02 | 0.83 P=0.0023 | 19.91 | 0.89 P=0.0769 |
化学療法+ アバスチン群 (n=699) | 9.36 | 0.83 P=0.0023 | 21.22 | 0.89 P=0.0769 |
XELOX療法+ プラセボ群 (n=350) | 7.39 | 0.77 P=0.0026 | 19.19 | 0.84 P=0.0698 |
XELOX療法+ アバスチン群 (n=350) | 9.26 | 0.77 P=0.0026 | 21.36 | 0.84 P=0.0698 |
FOLFOX4療法+ プラセボ群 (n=351) | 8.57 | 0.89 P=0.1871 | 20.34 | 0.94 P=0.4937 |
FOLFOX4療法+ アバスチン群 (n=349) | 9.40 | 0.89 P=0.1871 | 21.16 | 0.94 P=0.4937 |
注9)カットオフ日:2006年1月31日、主治医評価による無増悪生存期間
注10)カットオフ日:2007年1月31日
注11)化学療法:FOLFOX4療法又はXELOX療法
投与群 | 奏効率 % (有効例) | 奏効率 P値 | 無増悪生存期間 中央値(月) | 無増悪生存期間 ハザード比 | 生存期間 中央値(月) | 生存期間 ハザード比 |
FOLFOX4療法群(n=292) | 8.6 (25) | P<0.0001 | 4.5 | 0.518 P<0.0001 | 10.8 | 0.751 P=0.0012 |
FOLFOX4療法+ アバスチン群(n=293) | 22.2 (65) | P<0.0001 | 7.5 | 0.518 P<0.0001 | 13.0 | 0.751 P=0.0012 |
投与群 | 無増悪生存期間 中央値(月) | 無増悪生存期間 ハザード比 | 生存期間 中央値(月) | 生存期間 ハザード比 |
IFL療法+プラセボ群(n=411) | 6.28 | 0.577 P<0.0001 | 15.80 | 0.714 P<0.0001 |
IFL療法+アバスチン群(n=402) | 10.58 | 0.577 P<0.0001 | 20.37 | 0.714 P<0.0001 |
投与群 | 無増悪生存期間 中央値(月) | 無増悪生存期間 ハザード比 | 生存期間 中央値(月) | 生存期間 ハザード比 |
5‐FU/LV療法+プラセボ群(n=105) | 5.52 | 0.496 P=0.0002 | 13.24 | 0.766 P=0.0942 |
5‐FU/LV療法+アバスチン群(n=104) | 9.17 | 0.496 P=0.0002 | 16.56 | 0.766 P=0.0942 |
投与群 | 無増悪生存期間 中央値(月) | 無増悪生存期間 ハザード比 | 奏効率 % | 奏効率 P値 |
CP療法単独群 (n=58) | 5.9 | 0.61 P=0.0090 | 31.0 | P=0.0013 |
CP療法+アバスチン群 (n=117) | 6.9 | 0.61 P=0.0090 | 60.7 | P=0.0013 |
評価項目 | 投与群 | E4599試験 n | E4599試験 中央値(月) | E4599試験 ハザード比 | BO17704試験 n | BO17704試験 中央値(月) | BO17704試験 ハザード比 |
生存期間 | アバスチン非投与群 | 433 | 10.3 | 0.79 P=0.003 | 347 | 13.1 | 1.03 P=0.7613 |
生存期間 | 化学療法+アバスチン15mg/kg群 | 417 | 12.3 | 0.79 P=0.003 | 351 | 13.4 | 1.03 P=0.7613 |
生存期間 | 化学療法+アバスチン7.5mg/kg群 | — | — | — | 345 | 13.6 | 0.93 P=0.4203 |
無増悪生存期間 | アバスチン非投与群 | 433 | 4.5 | 0.66 P<0.001 | 347 | 6.1 | 0.82 P=0.0301 |
無増悪生存期間 | 化学療法+アバスチン15mg/kg群 | 417 | 6.2 | 0.66 P<0.001 | 351 | 6.5 | 0.82 P=0.0301 |
無増悪生存期間 | 化学療法+アバスチン7.5mg/kg群 | — | — | — | 345 | 6.7 | 0.75 P=0.0082 |
注12)アバスチン非投与群:E4599試験はCP療法単独群、BO17704試験はGC療法+プラセボ群
注13)化学療法:E4599試験はCP療法、BO17704試験はGC療法
※本剤の扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対する承認用量は1回15mg/kgである(
【用法・用量】の項参照)。
投与群 | TTP 中央値(月) | TTP ハザード比 | 奏効率 % | 奏効率 P値 |
CP療法単独群 (n=25) | 4.0 | — | 12.0 | — |
CP療法+アバスチン 15mg/kg群(n=32) | 7.4 | 0.41 P=0.0028 | 31.3 | P=0.0857 |
CP療法+アバスチン 7.5mg/kg群(n=22) | 4.3 | 0.85 P=0.5963 | 31.8 | P=0.0976 |
※本剤の扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対する承認用量は1回15mg/kgである(
【用法・用量】の項参照)。
投与群 | 無増悪生存期間 中央値(月) | 無増悪生存期間 ハザード比 | 生存期間 中央値(月) | 生存期間 ハザード比 |
PTX療法単独群 (n=354) | 5.8 | 0.483 P<0.0001 | 24.8 | 0.869 P=0.1374 |
PTX療法+アバスチン群 (n=368) | 11.3 | 0.483 P<0.0001 | 26.5 | 0.869 P=0.1374 |
投与群 | 無増悪生存期間 中央値(月) | 無増悪生存期間 ハザード比 | 生存期間 中央値(月) | 生存期間 ハザード比 |
RT/T療法+プラセボ群 (n=463) | 6.2 | 0.64 P<0.0001 | 16.7 | 0.88 P=0.0987 |
RT/T療法+アバスチン群 (n=458) | 10.6 | 0.64 P<0.0001 | 16.8 | 0.88 P=0.0987 |
注15)日本人患者25例を含む
注16)日本人患者19例を含む
投与群 | 無増悪生存期間 イベント数 | 無増悪生存期間 中央値(月) | 無増悪生存期間 ハザード比 | 生存期間 イベント数 | 生存期間 中央値(月) | 生存期間 ハザード比 |
CPP群 (n=625) | 375 | 10.4 | — | 299 | 40.6 | — |
CPB15群 (n=625) | 356 | 11.8 | 0.84 片側 P=0.0118 | 309 | 38.8 | 1.065 片側 P=0.2197 |
CPB15+群 (n=623) | 317 | 14.1 | 0.71 片側 P<0.0001 | 270 | 43.8 | 0.879 片側 P=0.0641 |
注20)カットオフ日:2009年9月29日
注21)カットオフ日:2011年8月26日
注22)有意水準0.0116
投与群 | 無増悪生存期間 イベント数 | 無増悪生存期間 中央値(月) | 無増悪生存期間 ハザード比[95%信頼区間] |
CPP群(n=20) | 8 | 14.5 | — |
CPB15群(n=12) | 3 | NE | 0.44[0.09,2.20] |
CPB15+群(n=12) | 3 | NE | 0.71[0.14,3.77] |
注23)日本人部分集団のイベント数は少なく、有効性について結論は得られていない。
注24)カットオフ日:2010年2月25日
注25)NE:not estimable
投与群 | 生存期間 中央値(月) | 生存期間 ハザード比 |
化学療法群 (n=225) | 12.9 | 0.74 片側 P=0.0066 |
化学療法+アバスチン群 (n=227) | 16.8 | 0.74 片側 P=0.0066 |
注26)FIGO分類IV B期及び治療抵抗性を含む
注27)21日を1サイクルとし、以下の[1]〜[3]から患者ごとに選択。
[1]第1日目にパクリタキセル135mg/mを24時間かけて静脈内投与し、第2日目にシスプラチン50mg/mを静脈内投与する。
[2]第1日目にパクリタキセル175mg/mを3時間かけて静脈内投与し、シスプラチン50mg/mを静脈内投与する。
[3]第1日目にパクリタキセル175mg/mを3時間かけて静脈内投与し、第2日目にシスプラチン50mg/mを静脈内投与する。
注28)21日を1サイクルとし、第1日目にパクリタキセル175mg/mを3時間かけて静脈内投与し、第1〜3日目にノギテカン塩酸塩0.75mg/mを静脈内投与する。
注29)シスプラチン・パクリタキセル療法との併用の場合:21日を1サイクルとし、第1又は2日目に他剤投与終了後に本剤15mg/kgを静脈内投与する。
パクリタキセル・ノギテカン塩酸塩療法との併用の場合:21日を1サイクルとし、第1日目に他剤投与終了後に本剤15mg/kgを静脈内投与する。
注30)有意水準0.0140
副作用
一般的名称: ベバシズマブ(遺伝子組換え)注;
副作用
副作用等発現状況の概要
- *治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌に対する国内臨床試験の安全性評価対象例140例及び製造販売後の特定使用成績調査の安全性評価対象例2,696例、未治療の扁平上皮癌を除く進行・再発の非小細胞肺癌に対する国内臨床試験の安全性評価対象例125例、手術不能又は再発乳癌に対する国内臨床試験の安全性評価対象例120例、初発の膠芽腫に対する国際共同臨床試験の安全性評価対象例(国内症例)19例、再発悪性神経膠腫に対する国内臨床試験の安全性評価対象例31例、卵巣癌に対する国際共同臨床試験の安全性評価対象例(国内症例)24例、進行又は再発の子宮頸癌に対する国内臨床試験の安全性評価対象例7例の計3,140例中2,112例(67.3%)に副作用が認められた。主な副作用は、好中球減少777例(24.7%)、白血球減少769例(24.5%)、出血609例(19.4%)、高血圧564例(18.0%)、神経毒性500例(15.9%)、疲労・倦怠感487例(15.5%)、食欲減退465例(14.8%)、悪心447例(14.2%)、口内炎369例(11.8%)、脱毛症341例(10.9%)、血小板減少328例(10.4%)、尿蛋白陽性328例(10.4%)、感染症314例(10.0%)等であった(進行又は再発の子宮頸癌効能追加時)。
重大な副作用
- 1. *
ショック、アナフィラキシー(1.8%) - ショック、アナフィラキシー ・infusion reaction(蕁麻疹、呼吸困難、口唇浮腫、咽頭浮腫等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合は、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 2.
消化管穿孔(0.9%) - 消化管穿孔があらわれることがあり、死亡に至る例が報告されている。消化管穿孔と診断された場合は、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。重篤な消化管穿孔が再発するおそれがあるので、本剤を再投与しないこと。
- 3. *
瘻孔(0.3%) - 消化管瘻(腸管皮膚瘻、腸管瘻、気管食道瘻等)又は消化管以外の瘻孔(気管支胸膜瘻、泌尿生殖器瘻、胆管瘻等)があらわれることがあり、死亡に至る例が報告されている。瘻孔が認められた場合は本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、気管食道瘻又は重度の瘻孔があらわれた患者では、本剤を再投与しないこと。子宮頸癌を対象とした海外臨床試験では、消化管腟瘻(直腸腟瘻等)(8.3%)、消化管瘻(直腸瘻)(0.5%)、消化管以外の瘻(膀胱腟瘻等)(1.8%)が認められており、また発現例の多くは、骨盤部への放射線治療歴のある患者であったことが報告されている。
- 4.
創傷治癒遅延 - 創傷治癒に影響を及ぼす可能性が考えられ、創傷治癒遅延による創し開(0.5%)
及び術後出血(0.4%)
等の合併症があらわれることがある。創傷治癒遅延による合併症があらわれた場合は、創傷が治癒するまで本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。 - 5. *
出血(19.4%) - 腫瘍関連出血を含む、消化管出血(吐血、下血)(2.0%)
、肺出血(血痰・喀血)(1.2%)
、脳出血(0.1%)
等があらわれることがある。また、
鼻出血(15.3%)
、歯肉出血(1.4%)
、腟出血(0.1%未満)
等の粘膜出血があらわれることがある。重度の出血においては死亡に至る例が報告されているため、肺出血(喀血)又は重度の出血があらわれた場合は、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、このような出血があらわれた患者では、重度の出血が再発するおそれがあるので、本剤を再投与しないこと。 - 6.
血栓塞栓症 - 脳血管発作(頻度不明)
、一過性脳虚血発作(0.1%)
、心筋梗塞(0.1%未満)
、狭心症(0.1%)
、脳虚血(頻度不明)
、脳梗塞(0.2%)
等の動脈血栓塞栓症、及び深部静脈血栓症(0.2%)
、肺塞栓症(0.1%)
等の静脈血栓塞栓症があらわれることがあり、死亡に至る例が報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、動脈血栓塞栓症があらわれた患者では、再発時に死亡に至る可能性もあるので、本剤を再投与しないこと。 - 7.
高血圧性脳症(頻度不明)
、高血圧性クリーゼ(頻度不明) - コントロール不能の高血圧、高血圧性脳症、高血圧性クリーゼがあらわれた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、高血圧性脳症、高血圧性クリーゼが再発するおそれがあるので、このような患者には本剤を再投与しないこと。
- 8.
可逆性後白質脳症候群(0.1%未満) - 可逆性後白質脳症候群(症状:痙攣発作、頭痛、精神状態変化、視覚障害、皮質盲等)があらわれることがあり、高血圧を伴う例と伴わない例が報告されている。観察を十分に行い、可逆性後白質脳症候群が疑われた場合は、本剤の投与を中止し、血圧のコントロール、抗痙攣薬の投与等の適切な処置を行うこと。
- 9.
ネフローゼ症候群(0.1%未満) - ネフローゼ症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、高度の蛋白尿等の異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 10. *
骨髄抑制 - 他の抗悪性腫瘍剤との併用において
汎血球減少症(0.1%未満)、
好中球減少(24.7%)、
白血球減少(24.5%)、
貧血(8.8%)、
血小板減少(10.4%)があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。なお、臨床試験で他の抗悪性腫瘍剤に本剤を併用した群において、併用していない群と比較して、
高度の好中球減少症、発熱性好中球減少症の発現頻度が高まることが報告されている。 - 11. *
感染症(10.0%) - 好中球減少の有無にかかわらず
肺炎(0.6%)、敗血症(0.2%)、壊死性筋膜炎(頻度不明)等の感染症があらわれ、死亡に至る例が報告されている。なお、壊死性筋膜炎については、創傷治癒遅延、消化管穿孔、瘻孔に続発した例が報告されている。本剤投与後は観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。 - 12.
うっ血性心不全(0.1%未満) - うっ血性心不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。乳癌を対象とした海外臨床試験では、グレード3以上の左室機能不全が2.2%の頻度で認められており、また発現例の多くは、アントラサイクリン系薬剤の投与歴、左胸壁への放射線治療歴等のある患者であったことが報告されている。
- 13.
間質性肺炎(0.4%) - 間質性肺炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 14.
血栓性微小血管症(頻度不明) - 血栓性血小板減少性紫斑病、溶血性尿毒症候群等の血栓性微小血管症があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、破砕赤血球を伴う貧血、血小板減少、腎機能障害等が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
重大な副作用の注意
- 注4)国内臨床試験から製造販売後の特定使用成績調査に移行した22例の重複を除いた例数の合計。
- 注5)海外臨床試験の有害事象及び自発報告にて報告された頻度を算出できない副作用については頻度不明とした。
その他の副作用
- 以下のような副作用が認められた場合には、症状にあわせて適切な処置を行うこと。
- 1.*精神神経系
- 5%以上又は頻度不明
- 神経毒性(末梢性感覚ニューロパシー、末梢性運動ニューロパシー、感覚神経障害等)(15.9%)
- 2.精神神経系
- 1〜5%未満
- 味覚異常、頭痛、不眠症、浮動性めまい
- 3.精神神経系
- 1%未満
- 神経痛、体位性めまい、不安、嗅覚錯誤、失神、痙攣、傾眠、構語障害
- 4.*消化器
- 5%以上又は頻度不明
- 食欲減退(14.8%)、悪心(14.2%)、口内炎(11.8%)、下痢、嘔吐、便秘、胃腸障害
- 5.消化器
- 1〜5%未満
- 腹痛、歯肉炎、口唇炎、胃不快感
- 6.消化器
- 1%未満
- 歯周病、消化不良、胃炎、消化管潰瘍、歯痛、痔核、腸炎、歯肉痛、齲歯、逆流性食道炎、腸閉塞、胃腸炎、舌炎、肛門周囲痛、歯の脱落
- 7.*泌尿器
- 5%以上又は頻度不明
- 尿蛋白陽性(10.4%)
- 8.泌尿器
- 1〜5%未満
- 尿中血陽性
- 9.泌尿器
- 1%未満
- BUN増加、血中クレアチニン増加
- 10.肝臓
- 5%以上又は頻度不明
- 肝機能異常(AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、γ‐GTP増加、LDH増加等)
- 11.肝臓
- 1〜5%未満
- 血中ビリルビン増加
- 12.血液・凝固
- 1〜5%未満
- リンパ球数減少、フィブリンDダイマー増加
- 13.血液・凝固
- 1%未満
- INR増加、フィブリノゲン増加、白血球数増加、APTT延長、好中球数増加、プロトロンビン時間延長
- 14.*心・血管系
- 5%以上又は頻度不明
- 高血圧(18.0%)、発作性上室頻拍
- 15.心・血管系
- 1%未満
- 動悸、洞性頻脈
- 16.皮膚
- 5%以上又は頻度不明
- 脱毛症(10.9%)、発疹、皮膚変色、剥脱性皮膚炎
- 17.皮膚
- 1〜5%未満
- 色素沈着、爪の障害、手足症候群、
そう痒症 - 18.皮膚
- 1%未満
- 紅斑、蕁麻疹、皮膚乾燥、皮膚剥脱、皮膚炎、爪囲炎、爪色素沈着、過角化
- 19.筋・骨格
- 5%以上又は頻度不明
- 関節痛
- 20.筋・骨格
- 1〜5%未満
- 筋痛、背部痛
- 21.筋・骨格
- 1%未満
- 四肢痛、筋骨格硬直、筋骨格痛(肩部痛、殿部痛等)、筋力低下、側腹部痛
- 22.呼吸器
- 5%以上又は頻度不明
- 肺高血圧症
- 23.呼吸器
- 1〜5%未満
- しゃっくり、発声障害、咽頭喉頭痛、鼻漏
- 24.呼吸器
- 1%未満
- 咳嗽、呼吸困難、鼻炎、気管支炎、低酸素症
- 25.眼
- 5%以上又は頻度不明
- 眼障害
- 26.眼
- 1%未満
- 結膜炎、流涙増加、霧視
- 27.代謝
- 1〜5%未満
- 血中コレステロール増加、血中アルブミン減少
- 28.代謝
- 1%未満
- 血中ナトリウム減少、血中リン減少、血中尿酸増加、高カリウム血症、総蛋白減少、高脂血症、血中カルシウム減少、尿中ブドウ糖陽性、高カルシウム血症、血中クロール減少、高血糖、高マグネシウム血症、血中ナトリウム増加、低マグネシウム血症、低カリウム血症
- 29.*その他
- 5%以上又は頻度不明
- 疲労・倦怠感(15.5%)、発熱、蜂巣炎、鼻中隔穿孔、卵巣機能不全(無月経症等)、骨盤痛
- 30.その他
- 1〜5%未満
- 上気道感染(鼻咽頭炎等)、体重減少、Al‐P上昇、末梢性浮腫、潮紅、CRP上昇、注射部位反応(疼痛等)
- 31.その他
- 1%未満
- 膀胱炎、無力症、ほてり、体重増加、胸痛、胸部不快感、膿瘍、脱水、耳鳴、カテーテル関連合併症(感染、炎症等)、口腔ヘルペス、回転性めまい、毛包炎、顔面浮腫、熱感、静脈炎、帯状疱疹、感染性腸炎、不規則月経、耳不快感、疼痛、尿路感染症
その他の副作用の注意
- 注6)海外臨床試験の有害事象及び自発報告にて報告された頻度を算出できない副作用については頻度不明とした。
注意事項
一般的名称: ベバシズマブ(遺伝子組換え)注;
貯法・使用期限等
- 貯 法
- 遮光、2〜8℃保存
- 使用期限
- 包装に表示の使用期限内に使用すること
貯法・使用期限等
- 貯 法
- 遮光、2〜8℃保存
- 使用期限
- 包装に表示の使用期限内に使用すること
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
- 1.
- 消化管など腹腔内の炎症を合併している患者[消化管穿孔があらわれるおそれがある(「重大な副作用」の項参照)。]
- 2.
- 大きな手術の術創が治癒していない患者[創傷治癒遅延による合併症があらわれるおそれがある(「重大な副作用」の項参照)。]
- 3.
- 脳転移を有する患者[脳出血があらわれるおそれがある。]
- 4.
- 先天性出血素因、凝固系異常のある患者[出血があらわれるおそれがある。]
- 5.
- 抗凝固剤を投与している患者[出血があらわれるおそれがある。]
- 6.
- 血栓塞栓症の既往のある患者[心筋梗塞、脳梗塞、深部静脈血栓症、肺塞栓症などがあらわれるおそれがある。]
- 7.
- **
糖尿病の患者[動脈血栓塞栓症の発現リスクが高くなるおそれがある。] - 8.
- 高血圧症の患者[高血圧が悪化するおそれがある。]
- 9.
- うっ血性心不全又は冠動脈疾患などの重篤な心疾患のある患者[うっ血性心不全が悪化又はあらわれるおそれがある(「重大な副作用」の項参照)。]
- 10.
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
- 11.
- 妊婦又は妊娠している可能性のある患者(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」、「その他の注意」の項参照)
重要な基本的注意
- 1.
- ショック、アナフィラキシー、infusion reactionがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、過敏症状が認められた場合は、本剤の投与を中止し、薬物治療(アドレナリン、副腎皮質ステロイド剤、抗ヒスタミン剤等)等の適切な処置をすること。
- 2.
- 創傷治癒遅延による合併症があらわれることがある。臨床試験���おいて大きな手術後28日間経過していない患者に本剤を投与した経験はない。本剤の投与終了後に手術を行う場合は、本剤の投与終了からその後の手術まで十分な期間をおくこと。本剤の最終投与から手術までの適切な間隔は明らかになっていないが、投与開始時期については、本剤の半減期を考慮すること(「重大な副作用」、
【薬物動態】の項参照)。 - 3.
- 高血圧があらわれることがあるので、投与期間中は血圧を定期的に測定し、適切な処置を行うこと。なお、高血圧の発現率は本剤の用量に相関して上昇する傾向が示唆されている(「重大な副作用」の項参照)。
- 4.
- 蛋白尿があらわれることがあるので、投与期間中は尿蛋白を定期的に検査することが望ましい。なお、高血圧症の患者に本剤を投与すると、蛋白尿の発現率が上昇することがある。また、蛋白尿の発現率は本剤の用量に相関して上昇する傾向が示唆されている(「重大な副作用」の項参照)。
- 5.
- 脳転移を有する患者で脳出血を認めた例が報告され、また、初発膠芽腫患者を対象とした国際共同臨床試験において、本剤の投与により脳出血の発現率が高くなる傾向が認められている。脳腫瘍(脳転移を含む)を有する患者に本剤を投与する場合は、観察を十分に行い、脳出血が疑われるような症状が認められた場合は、本剤の投与中止を含めて適切な対応を行うこと。また、脳転移を疑う症状がなく、本剤を含む癌化学療法が開始された患者においても、慎重に患者を観察し、神経学的異常が疑われた場合には脳転移及び脳出血の可能性を考慮して、本剤の投与中止を含めて適切な対応を行うこと。
高齢者への投与
- 海外臨床試験において、65歳未満の患者と比較し、65歳以上の患者で本剤投与による脳血管発作、一過性脳虚血発作、心筋梗塞等の動脈血栓塞栓症の発現率の上昇が認められた。高齢者では、重大な副作用があらわれやすいため、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること(「重大な副作用」の項参照)。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
- 1.
- 妊婦又は妊娠している可能性のある患者には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠する可能性がある患者には、本剤投与中、適切な避妊法を用いるよう指導すること。また、本剤投与終了後も最低6カ月間は避妊法を用いるよう指導すること[本剤を投与された患者で奇形を有する児の出産が報告されている。また、本剤をウサギ(器官形成期)に投与したところ、胚・胎児毒性及び催奇形性が認められた](「その他の注意」の項参照)。
- 2.
- 授乳婦に投与する場合には授乳を中止させること。また、本剤投与終了後も最低6カ月間は授乳しないことが望ましい[ヒトIgGは乳汁中に移行するので、本剤は乳児の成長に影響を及ぼす可能性がある](「その他の注意」の項参照)。
小児等への投与
- 1.
- 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(「その他の注意」の項参照)。
- 2.
- 小児等で骨壊死(顎以外の部位)があらわれるとの報告がある。
適用上の注意
- 1. 調製時
- (1)
- 本剤の投与時には必要量を注射筒で抜き取り、日局生理食塩液に添加して約100mLとする。
- 《必要抜き取り量計算式》
- 1回投与量:5mg/kg
- 必要抜き取り量(mL)計算式:抜き取り量(mL)=体重(kg)×0.2(mL/kg)
- 1回投与量:7.5mg/kg
- 必要抜き取り量(mL)計算式:抜き取り量(mL)=体重(kg)×0.3(mL/kg)
- 1回投与量:10mg/kg
- 必要抜き取り量(mL)計算式:抜き取り量(mL)=体重(kg)×0.4(mL/kg)
- 1回投与量:15mg/kg
- 必要抜き取り量(mL)計算式:抜き取り量(mL)=体重(kg)×0.6(mL/kg)
- (2)
- 日局生理食塩液以外は使用しないこと。
- (3)
- 用時調製し、調製後は速やかに使用すること。また、残液は廃棄すること。
- 2. 投与時
- (1)
- 本剤とブドウ糖溶液を混合した場合、ベバシズマブの力価の減弱が生じるおそれがあるため、ブドウ糖溶液との混合を避け、本剤とブドウ糖溶液の同じ点滴ラインを用いた同時投与は行わないこと。
- (2)
- 本剤は点滴静注用としてのみ用い、急速静注は行わないこと(
【用法・用量】の項参照)。
その他の注意
- 1.
- ウサギの胚・胎児試験(10〜100mg/kgを器官形成期投与)において、胎児体重の減少、吸収胚の増加、外形・骨格異常を有する胎児の増加が認められた。
- 2.
- 若齢カニクイザルでは本剤の反復投与(2〜50mg/kg、週1回又は週2回投与)により、長骨成長板で骨端軟骨異形成が認められた。
- 3.
- 海外臨床試験において本剤と化学療法を併用した閉経前女性患者は、化学療法のみを実施した患者と比較して、卵巣機能不全(β‐HCG妊娠検査陰性で3カ月以上継続する無月経症かつFSH≧30MIU/mL)の発現率が高いとの報告があり、妊孕性低下の可能性が示唆された。なお、本剤中止後にほとんどの患者で卵巣機能の回復が認められているが、本剤の妊孕性への長期的な影響は不明である。
- 4.
- 本剤投与後に顎骨壊死が発現したとの報告があり、多くはビスホスホネート系製剤を投与中あるいは投与経験がある患者であった。また、本剤を含む血管新生阻害薬とビスホスホネート系製剤を併用時に顎骨壊死の発現が増加する可能性が示唆されたとの報告がある。
- 5.
- 適応外疾患に対する硝子体内(用法・用量外)投与例において、網膜剥離、眼内炎、硝子体出血、網膜出血等の眼障害があらわれることが報告されている。本剤を硝子体内投与するにあたって、本剤の不適切な無菌操作下での小分けにより、重篤な眼感染症があらわれ、失明に至った例が海外で報告されている。また、海外において、心筋梗塞、脳卒中等があらわれることが報告されている。