テストステロン について
テストステロン は主に男性の睾丸で作られる性ホルモンです。女性の卵巣や副腎系でも少量のテストステロンが作られます。
テストステロンは、思春期の遅れやインポテンツ、その他のホルモンの乱れなどの、ホルモンの不足が引き起こす精巣機能不全症や男性更年期障害などの症状を治療するために男性に処方されます。
テストステロンの低下が原因でうつ病や男性更年期障害の諸症状が現れることがあります。
テストステロン注射は、体に転移した乳癌を治療するために女性でも使用されることがあります。
テストステロンは運動能力を向上させるわけではないので、そのような目的で利用してはいけません。
重要情報
妊娠中の方、妊娠の可能性のある方は、この薬を使用しないでください。
前立腺癌、男性乳癌、心臓疾患、重度の肝臓や腎臓病をお持ちの場合は、テストステロンの投与をお控え下さい。
テストステロンを誤って使用すると、危険かつ不可逆の影響を引き起こす可能性があります。テストステロン注射は医療の専門家による投与が必要です。
この薬を服用する前に
テストステロンにアレルギーのある場合や以下に当てはまる場合は使用をお控え下さい。
- 前立腺癌
- 男性の乳癌
- 心臓疾患
- 肝臓疾患
- 腎臓疾患
- 妊娠中または妊娠する可能性のある方
安全のために、以下に当てはまる場合は医師に相談してください。
- 糖尿病
- 前立腺肥大
- 心臓病
- 冠動脈疾患
- 心臓発作、脳卒中、血栓
- 高コレステロールまたは高トリグリセリド
- 男性乳癌または高カルシウム血症を伴う女性乳癌
- 肝臓または腎臓疾患
- 寝たきりや介助が必要な方
- ワルファリンを含む抗凝血剤の投薬
テストステロンの投与は胎児に害を与えたり、先天性欠損症を引き起こす可能性があります。妊娠中や妊娠の可能性がある場合には使用しないでください。投薬期間中は慎重に避妊しましょう。万が一、治療中に妊娠した場合はただちに医師に相談してください。
テストステロンが母乳に影響を与えるかどうかはまだ分かっていませんが、安全のため、投薬期間中は授乳を控えましょう。
テストステロンの副作用
じんましん、呼吸困難、顔・唇・舌・のどの腫れなどのような、アレルギー反応の兆候があれば直ちに医師に相談して下さい。
以下の症状があれば、ただちに医者に相談して下さい。
- 吐き気や嘔吐
- 皮膚の色の変化
- 陰茎の勃起の増大や継続
- 勃起不全、射精障害、精液量の減少、睾丸の縮小
- 排尿の障害や痛み
- 息切れ
- 胸の痛みや圧迫感、あごや肩の痛み
- 足首や足の腫れやむくみ、 急激な体重の増加
- 胸の痛み、 突然の咳、 喘鳴、 速い呼吸、 咳血などの肺の血栓の兆候
- 痛み、 ほてり、 赤み、 腫脹などの足の血栓の兆候
- 胃の痛み、 便秘、 喉の渇き、 頻尿、 筋肉痛や脱力感、 関節痛、 精神的な不安、 疲れのような血液中のカルシウムの増加の症状
- 胃の痛み、 かゆみ、 食欲不振、 暗色尿、 灰色の便、 黄疸(皮膚や目の黄変のような肝障害の症状
テストステロンによる治療を受ける女性は、治療を継続した場合に不可逆のものとなる可能性がある男性的特徴が現れる可能性がありますので、下記の過剰なテストステロンによると思われる兆候が現れた場合、医師に相談して下さい。
- にきび
- 月経の変化
- 顎や胸の体毛
- 声変わり
- クリトリスの肥大
一般的な テストステロンの副作用は、次のようなものです。
- 乳房の肥大
- 頭痛、不安
- 顔や体の毛の成長や男性型脱毛症
- セックスへの意欲の増減
- しびれや感覚の麻痺、痛みや腫れ
上記はすべての副作用を網羅しているわけではありませんので、副作用について医学的なアドバイスは医師に相談してください。
テストステロンは他の処方薬、市販薬、ビタミン剤、ハーブなどと相互作用を起こす可能性があります。医師及び薬剤師に医薬品の使用履歴を伝えて相談しましょう。
テストステロンレベル(T値)の検査
T値の検査は血液検査を通して、血液中のテストステロンの濃度を測定します。T値は年齢を重ねるにつれて低下してきます。Mayo Clinicによると、75歳以上の男性の3分の1近くがT値が正常値を下回っていると報告されています。
何らかの疾患の可能性があって検査するという流れになれば保険適用となりますが、実際にT値の検査が保険適用となるのは男性更年期障害が疑われる場合がほとんどですので、若い人は自己負担になることを前提として検討しましょう。 自費の場合は初診料・問診など全部含めて7000円程度、保険適用ならば3割負担で2000円程度、1割負担なら600円程度です。
また、海外ではテストステロン検査キットも販売されていますが、以下について理解しておきましょう。
家庭用の検査キットは血ではなく唾液を検査するので、自宅でサンプルを採取することができます。 検査キットの指示通りに唾液を採取し、検査機関に郵送して、到着後数日または数週間で結果が出ます。
まずは、唾液検査と血液検査の正確さを理解しておきましょう。唾液検査は血液を採取するよりも簡単で侵襲性が低いので被験者にとっては手軽ですが、検査結果については、例えばアメリカの臨床内分泌専門医協会(The American Association of Clinical Endocrinologists)は、唾液検査では結果にばらつきがあると報告されているため、テストステロンなどの性ホルモンのレベルを測定する際には血液検査を依然として推奨しています。
一方、研究や報告によっては、唾液検査が患者にとってストレスが少ないので好ましいとしています。
現時点では、市販の家庭用試験キットもそれほど安価な訳ではありませんし、信頼性も十分ではなく、サンプルの保存状態にも影響を受ける可能性もあるため、病院で血液検査してもらう方が確実です。 個人輸入を検討中の方は、診断時に医師と相談してみましょう。
サプリメントについて
生成機能低下症の改善にサプリメントが役に立つかどうかは現時点でははっきりしていません。 Nature Reviews Endocrinologyに掲載された研究では、テストステロン値が低いと診断された65歳以上の男性にテストステロンを含むサプリメントを処方する臨床試験を行いましたが、効果を実証するには至りませんでした。この結果から、症状に対する治療効果は実証されておりませんので、気休め程度と考えましょう。
テストステロンと同じカテゴリーに分類されている医薬品
G03 性ホルモンと生殖器系モジュレーター