媚薬とは、一般的に性的欲求の増大や性的能力を高めるために使用される化合物です。 通常、テストステロンやドーパミン代謝と結びつけて考えられていますが、これらについての科学的研究は不十分で、主にラットを使った研究に依存しています。

科学的研究の概要

媚薬化合物の目標は、性的欲求または性的活動を増強することです。 多くの化合物が媚薬として「伝統的に使用されて」いますが、これらの主張に対して人を被験者とした二重盲検法ではあまり研究されていない傾向があります。 多くの研究では、犬やラットを使って性的兆候の頻度や性的兆候が現れるまでの所要時間、射精頻度や射精後の潜伏時間（次の性的兆候が起こるまでの所要時間）などをパラメーターとして測定します 。 研究は、社会的に男性の性機能不全が中年以上においてより顕著であることから、雌ラットより雄ラットで研究される傾向があります。

残念ながら、科学的研究が相対的に不足しているのを補うために、「どの成分が効いたか」に関する多くの主観的な報告や口コミは、媚薬に重大な影響を及ぼすプラセボ効果と混同されているため、他のカテゴリーのサプリメントと比較して、媚薬の科学的な有効性や信頼性は確立されていません。

 

媚薬としての効果が研究されている成分のリスト

• テストステロン（Testosterone）

性的衝動が性ホルモン、特にテストステロンのレベルに関連していることが分かっています。¹ 比較的にテストステロンレベルが低くなっている人（例: 閉経後の女性や60歳以上の男性²）において性欲が減少している場合、テストステロン補充剤によって性欲が増加します。³ テストステロンレベルを上げるために様々なテストステロンの前駆体（原料）となる物質を使用するアプローチは、高齢の男性においては有効ですが⁴、他のグループでの研究では効果は実証されていません。⁵

 

テストステロンとテストステロンを増やす効果のあるオキサンドロロンの効果と副作用に関するレビューはこちら

 

• ブレメラノチド（PT-141）

脳内のメラノコルチン受容体MC3-RおよびMC4-Rを活性化する化合物は、媚薬としての有効性が科学的に示しています。 以前はPT-141として知られていたブレメラノイドは、男性および女性の性的興奮障害や勃起不全の治療のための臨床試験を受けています。  試験結果ではこの物質の媚薬としての有効性が示されています⁶が、鼻腔内投与した少数の被験者で血圧上昇の副作用がみられました。

2017年1月に、Palatin Technologiesは、女性の性機能不全のためのブレメラノチドのフェーズⅡの臨床試験に成功し、2018年初頭に女性の性機能不全のための医薬品としてブレメラノチドのの新規医薬品申請書を提出する意向を発表しています。⁷

 

ブレメラノチド（PT-141）を含む製品のレビューと価格はこちらをご覧ください。

 

 

• メラノタンII

ブレメラノイド前駆体であるメラノタンIIは、媚薬作用を有することが示されています^{8 9 10}が、現時点ではどの国の臨床試験も通過しておらず、副作用の報告もあり、健康被害のリスクが高いと考えられています。^{11 12 13 14}

 

• クロシン（サフラン）

ラットによる研究によると、サフランに含まれるクロシンは媚薬の特性をしています。¹⁵

 

• フェネチルアミン（PEA）

多くの食品や人体に存在するフェネチルアミン（PEA）には、恋愛状態の人間の脳で放出される神経伝達物質として作用する媚薬効果が示されていますが、この化合物はMAO-Bという酵素によってすぐに分解されるため、モノアミンオキシダーゼ阻害剤を使用しない限り、有意な濃度で脳に到達する可能性は低いとされています。

覚せい剤として知られるアンフェタミンおよびメタンフェタミンは、性的過興奮性および静的過敏性が起こる可能性の高い精神療法における服用において、性欲を増加させたり、頻繁または持続的な勃起などの副作用が起こることが知られているフェネチルアミン誘導体です。^{16 17 18 19}

メタンフェタミンは、性的欲求を著しく向上させる²⁰ため、海外ではサブカルチャーのParty and Playなどで使用されています²¹が、重度の中毒性や副作用などで社会問題になっています。

 

モノアミン酸化酵素阻害剤に分類される主な医薬品は、精神賦活薬の抗うつ薬（例: イソカルボキサジド、ニアラミド、フェネルジン、トラニルシプロミン 、イプロニアジド 、イプロクロジド）や抗パーキンソン薬のドパミン系薬（例: セレギリン、ラサギリン、サフィナミド）です。

該当する医薬品のクチコミやレビューはこちらをご確認ください。

 

• 向精神薬

コカインやメチルフェニデートのような精神刺激薬を含む、中脳辺縁系のドーパミン経路に作用する薬物は性的衝動を変化（通常は増強）する効果が示されています。^{22 23}

• ドーパミンアゴニスト

プラミペキソールは媚薬として医療現場で使用される唯一のドーパミンアゴニストであり、SSRI抗うつ薬と関連する性欲の減少に対して処方されます。古くからあるドーパミンアゴニストのアポモルヒネは、勃起不全の治療に使用される場合がありますが、有効性が低く、吐き気を引き起こす場合があります。ブロモクリプチンやカベルゴリンなどのドーパミンアゴニストは、ドーパミン前駆体のL-Dopaとなどと同様に性欲の増加に関連している可能性がありますが、副作用を伴うドーパミン調節不全症候群の一部であることが多いため、これらの薬を性欲の改善に処方されることはまれです。

他の目的のために処方されたドーパミンアゴニストで性欲の増強効果が報告されているため、性機能障害の治療のためにフリバンセリン、ABT-670およびPF-219,061などのより選択的な化合物の開発が行われていますが、いずれもまだ臨床試験に合格していません。²⁴

 

プラミペキソールに関する効果や副作用のレビューはこちらをご確認ください。

• 抗ムスカリン薬

ジシクロフェリン、ヒヨスチアミン、スコポラミンなどの抗コリン薬（抗ムスカリン薬）は、特に過剰に投与された場合に性的興奮および媚薬の副作用を引き起こすことが知られています。²⁵

 

 

参考文献リスト

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2. Gray, P.B.; A.B. Singh; L.J. Woodhouse; T.W. Storer; R. Casaburi; J. Dzekov; C. Dzekov; I. Sinha-Hikim; S. Bhasin (2005). “Dose-dependent effects of testosterone on sexual function, mood, and visuospatial cognition in older men”. J Clin Endocrinol Metab. 90 (7): 3838–46. PMID 15827094. doi:10.1210/jc.2005-0247.
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