共役リノール酸(CLA9)は、脂肪の燃焼を誘発するPPARという受容体に作用する脂肪酸です。少なくとも、理論的には効果があるはずですが、人で行った実験では効果が相反しており、効力もそれほど高くないようです。効力としてはTTAの方が多いかもしれません。
コンテンツ
概要
重要な効果・情報
共役リノール酸(CLA)は、乳製品や牛肉に報復含まれています。共役リノール酸は二重結合が互いに離れて2つの炭素が存在するリノール酸(18炭素長、2二重結合)の一般構造を持つ脂肪酸の混合物を指すために使用される用語です。
共役リノール酸には多くの種類がありますが、c9t11(cis-9, trans-11)とt10c12(trans-10, cis-12)が最も一般的です。脂肪燃焼、ステロイドシグナル伝達、炎症、グルコース/脂質代謝に関連するPPARという分子シグナル伝達受容体に作用するため、蓄積された体脂肪を減少させる脂肪燃焼作用や免疫機能を改善する健康促進作用が研究されています。共役リノール酸に関する人間の研究はたくさんありますが、非常に信頼性が低く、相反する結果が多く見られます。あた、共役リノール酸で見られる効果はそれほど強力ではないようです。共役リノール酸は、脂肪酸やPPARに対する作用について研究として更に進められる必要がありますが、個人が健康やダイエットを目的として補給する上では、現時点ではその効果の信頼性が低くなっています。
適応・効果
適応情報
有効性の信頼度(中)
- 高血圧症: ラミプリルと一緒に共役リノール酸を摂取すると、高血圧を制御できない人に対して、ラミプリル単独よりも血圧が低下するようです。血圧サプリ
- 肥満症: 共役リノール酸の経口摂取による脂肪量の減少は相反する結果が出ています。成人の体脂肪を減少させる可能性が示唆されています。また、共役リノール酸は空腹感を減少させる可能性がありますが、これがカロリー摂取の減少につながるかどうかは不明です。また、共役リノール酸はほとんどの人において体重や肥満度指数(BMI)を低下させないようです。また、共役リノール酸の摂取は、肥満で減量したの体重増加の防止にも効果は無さそうです。
脂肪性食品に共役リノール酸を加えても体重の減少は期待できないようですが、牛乳に共役リノール酸を加えると、肥満の成人男性の体脂肪の減少が示唆されています。
小児では、毎日3グラムのコンジュゲートリノール酸を摂取すると、体脂肪を減らすのに役立つようです。共役リノール酸は減量に役立つ可能性がありますが、特定の共役リノール酸(トランス-10、シス-12異性体)を使用すると、2型糖尿病や心臓病の危険因子が増加する可能性があります。共役リノール酸の他の異性体を含むサプリメントがこのようなリスクを持つかどうかは明らかではありません。減量サプリ 脂肪サプリ
効果がない可能性(中)
- かぜ: 研究は、共役リノール酸を摂取してもかぜの症状を予防または軽減しないことを示唆しています。
- 糖尿(糖尿病): 共役リノール酸を摂取しても、2型糖尿病患者の食事前または血糖後またはインスリンレベルは改善されませんでした。
- 運動能力: 共役リノール酸を有酸素運動と併用しても、男性の筋肉持久力、筋力、呼吸、疲労を改善しないようです。運動能力向上サプリ:筋肉サプリ:脂肪サプリ:
- 高コレステロール血症: 共役リノール酸を含有する牛乳を飲んでも、コレステロールレベルが高い人のトリグリセリドや血中脂質レベルの改善は見られないようです。コレステロール抑制サプリ:脂肪サプリ:コレステロールトリグリセリド
エビデンス不足
- アレルギー(花粉症): 12週間共役リノール酸を摂取すると、カバのアレルギーの人の健康を改善する可能性があります。 しかし、アレルギー症状は改善しないようです。
- 喘息: 12週間共役リノール酸を服用すると、喘息患者の気道感受性と運動能力が改善するようです。 しかし、吸入器を使用する必要性を軽減したり、肺活量の改善には効果がないようです。喘息
- 乳癌: 乳癌予防のための共役リノール酸の効果に関する研究は相反しています。 いくつかの初期の研究では、食品、特にチーズからの共役リノール酸の摂取が乳癌を発症するリスクが低いことと相関していることを示していますが、他の研究では、共役リノール酸の摂取量の増加は、乳癌リスクの低下と相関していないことを示しています。さらに、一部の研究では、共役リノール酸の摂取量の増加が乳癌リスクの増加と関連している可能性についても指摘されています。
- 結腸癌・直腸癌: いくつかの初期の研究では、共役リノール酸の摂取量が多いことが、女性の結腸や直腸の癌のリスクの低下と関連している可能性を示しています。 共役リノール酸サプリメントの摂取がこのような効果をもたらすかどうかは分かっていません。
- メタボリックシンドローム: 90日間食事制限とともに共役リノール酸を摂取すると、メタボリックシンドロームの患者のベースラインと比較して体脂肪が減少するようです。 しかし、コレステロールや血圧の低下は見られません。コレステロール抑制サプリ:脂肪サプリ:血圧サプリ:コレステロール体脂肪血圧
- 筋力: 共役リノール酸が筋力を改善する効果についての研究は矛盾しています。 いくつかの研究では、共役リノール酸を単独またはクレアチン、ホエータンパク質と一緒に摂取すると、筋力トレーニングをしている人の体力を増強し、除脂肪量を改善するのに役立つことを示しています。 しかし、他の研究は、共役リノール酸が、筋力トレーニングと共に使用されても、筋肉や体組成を改善しないことを示しています。
- 関節リウマチ: 初期の研究では、慢性関節リウマチ患者は摂取前と比較して、共役リノール酸を単独またはビタミンEと摂取することで、痛み、朝のこわばり、むくみのバイオマーカーが減少することが示唆されています。むくみサプリ:痛み
効果まとめ
効果まとめ表
効果まとめ表は動物や試験管内の実験ではなく、経口服用による人体での反応を科学的に研究したデータを基にどのような効果がどの程度あるのかをまとめたものです。
レベル | 研究の質と量
? 信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります. |
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二重盲検臨床試験が繰り返し行われ確実性の高い研究が実施されています。 | |
2つ以上のプラセボ効果を排除した二重盲検試験を含む複数の研究が実施されています。 | |
二重盲検試験が1件または複数コホート試験が実施されています。 | |
上記に満たない研究内容または観察研究のみが報告されています。 |
研究の質と量
? 信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります. |
研究対象 | 効果の大きさ
? それぞれの研究対象に対する効果の方向性と大きさ. 対象項目を増加させるもの、低下させるもの、作用しないものを示しています. |
研究の整合性
? 科学的な研究でも常に結果が一致するとは限りません. この評価が高いほど対象項目に関する科学的な研究結果が一致しており、整合性が取れています. |
摘要 |
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リーンマス | 小さい | 中程度 13件の研究結果を見る |
共役リノール酸は肥満患者の脂肪を減少させる一方、除脂肪量を維持することができるというエビデンスがありますが、相反する結果もあり整合性は高くありません。
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脂肪質量 | 小さい |
中程度 20件の研究結果を見る |
脂肪量の減少に関して相反する結果が出ていますが、肥満患者に対しては脂肪を減らす傾向があるようです。
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HDL-C | – | 中程度 16件の研究結果を見る |
HDL-Cに関する結果は増加・減少・効果なしという結果を示しており、結論を出すにはエビデンスが不十分です。
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インスリン感受性 | – | 高い 12件の研究結果を見る |
増加・減少・効果なしという結果を示していますが、多くの場合で効果は見られていません。共役リノール酸の有効性について結論を出すにはエビデンスが不十分です。何らかの相互作用や感受性が関係している可能性があります。
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体重 | – | 高い 22件の研究結果を見る |
多くの場合、共役リノール酸の服用による体重への効果は示唆されていませんが、増加と減少の両方を示唆するエビデンスもわずかにあります。
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トリグリセリド | 小さい | 中程度 8件の研究結果を見る |
トリグリセリドを増加させる可能性がありますが、それほど顕著な効力があるわけではありません。
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アディポネクチン | – | 高い 3件の研究結果を見る |
共役リノール酸によるアディポネクチンの変化は見られないようです。
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血糖値 | – | 非常に高い 9件の研究結果を見る |
血糖値に対する影響は見られていません。
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C-反応性タンパク質 | – | 高い 8件の研究結果を見る |
ほとんどの場合共役リノール酸は効果を示していません。
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HbA1c | – | 非常に高い 3件の研究結果を見る |
共役リノール酸の補給によるHbA1cレベルの有意な影響は見られていません。
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炎症 | – | 非常に高い 4件の研究結果を見る |
炎症への有意な影響を示すエビデンスありません。
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インスリン | – | 高い 5件の研究結果を見る |
空腹時インスリン値に有意な影響はないようです。
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LDL-C | – | 高い 12件の研究結果を見る |
LDL-Cの減少を支持するエビデンスもありますが、多くが有意な影響を示していません。
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肝臓酵素 | – | 中程度 8件の研究結果を見る |
相反する結果がありますが、肝臓酵素に対する有意な影響は無さそうです。
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代謝率 | – | 中程度 5件の研究結果を見る |
増加を支持するエビデンスより影響は無いとするエビデンスのほうが統計的に有意であるため効果はない可能性が高いと考えられています。
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TNF-アルファ | – | 高い 4件の研究結果を見る |
多くのエビデンスで炎症のバイオマーカーであるTNFaの変化に有意な影響は見られていません。
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8-isoPGF2a | 小さい | 非常に高い 3件の研究結果を見る |
8-isoPGF(2)aは脂質過酸化のバイオマーカーですが、共役リノール酸の服用で偽陽性を示している可能性があります。脂肪酸がこの酵素と相互作用することが知られており、他の脂質過酸化のマーカーに変化は見られません。
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脂肪酸化 | 小さい | – 研究結果を見る |
脂肪の酸化に影響を与える可能性がありますが、より多くのエビデンスが必要です。
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抗酸化作用 | – | – 研究結果を見る |
体内の酸化状態に影響は見られませんでした。
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食欲 | – | 中程度 2件の研究結果を見る |
エビデンスは相反しており、より信頼できるエビデンスは、食欲の抑制効果は摂食量を減少させるほど大きなものでないとしています。
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血流 | – | – 研究結果を見る |
血流に有意な影響は見られませんでした。
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血圧 | – | 非常に高い 4件の研究結果を見る |
血圧に有意な影響は見られていません。
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骨密度 | – | – 研究結果を見る |
骨密度に有意な影響は見られませんでした。
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細胞接着因子(若者) | – | – 研究結果を見る |
細胞接着因子に有意な影響は見られませんでした。
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DNA損傷 | – | 非常に高い 2件の研究結果を見る |
DNA損傷率に有意な影響は見られていません。
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レプチン | – | 非常に高い 2件の研究結果を見る |
レプチンの変化を裏付けるエビデンスは十分ではありません。
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LDLの酸化 | – | – 研究結果を見る |
LDL-Cの酸化速度に有意な影響は見られていません。
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酸素摂取 | – | – 研究結果を見る | ||
主観的福利 | 小さい | 非常に高い 2件の研究結果を見る |
減量と相関して、主観的福利の改善が示されています。
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コレステロール | – | – 研究結果を見る | ||
喘息 | – | – 研究結果を見る |
喘息症状に有意な影響は見られませんでした。
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細胞接着因子(高齢者) | – | – 研究結果を見る |
高齢者の細胞接着因子に有意な影響は見られませんでした。
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心拍数 | – | – 研究結果を見る |
心拍数に有意な影響は見られませんでした。
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インターロイキン2 | – | – 研究結果を見る | ||
インターロイキン6 | – | – 研究結果を見る | ||
腎機能 | – | – 研究結果を見る |
腎機能に対する有意な影響は見られませんでした。
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クローン病の症状 | – | – 研究結果を見る |
副作用
副作用と安全性
共役リノール酸は、食物に含まれる量を経口服用した場合には安全で、薬用に使用されるような高用量で経口服用した場合でも安全とされています。服用により、下痢、吐き気、疲労、頭痛、腰痛、出血のリスクの増加などの副作用を引き起こす可能性があります。 まれに共役リノール酸による肝毒性を起こす可能性が指摘されています。
注意と警告
子供: 子供が共役リノール酸を7ヶ月以下の薬用の用量で経口服用した場合でも安全とされています。 長期間の使用が安全かどうかは十分には検証されていません。
妊娠と授乳: 共役リノール酸は、食物に含まれる量を経口服用した場合は安全です。 しかし、コンジュゲートリノール酸を薬用の高用量で摂取することが妊娠中および授乳中に安全かどうかを知るには十分なエビデンスはありません。 安全のためこのような使用は控えましょう。
出血性障害: 共役リノール酸は、血液凝固を遅らせる可能性があります。 理論的には、共役リノール酸は、出血性障害を持つ人の挫傷や出血のリスクを増大させる可能性があります。
糖尿病: 共役リノール酸を摂取すると糖尿病が悪化する懸念があります。 使用しないでください。
メタボリックシンドローム: メタボリックシンドロームの患者が共役リノール酸を摂取すると糖尿病になるリスクが高まる可能性があります。 慎重に使用してください。
手術: 共役リノール酸は、手術中や手術後に余分な出血を引き起こす可能性があります。 予定された手術の少なくとも2週間前に使用を中止してください。
注意事項
相互作用
現在相互作用に関する信頼できる情報はありません。
服用方法
推奨用量、有効量、その他の詳細
共役リノール酸(CLA)の補給は、食事と一緒に、1日3,200-6,400mgの範囲が一般的です。この用量は製品の約70%が2つの主な活性異性体のうちの1つ(シス -9トランス -11(c9t11)、トランス -10シス -12(t10c12)など)からなる場合を想定しています。上記より高い用量を使用した研究では、単に共役リノール酸サプリメントの信頼性が低いことが原因である可能性もありますが、追加的な効果は見られず、これ以上の用量が有効性を高めるというエビデンスはありません。
下記の用量が科学的な研究で使用されました。
成人
経口服用
- 肥満患者の体脂肪を減少を目的として、1日に1.8〜7グラムの用量が使用されています。 しかし、それ以上の用量で、効果の改善は見られないようです。
- 高血圧を軽減を目的として、ラミプリル37.5mg/日とともに、共役リノール酸4.5g/日を8週間使用されています。
子供
経口服用
- 体脂肪の減少を目的として、6歳から10歳までの肥満の子供が1日3グラムの用量が7ヶ月服用しています。