リボフラビン(ビタミンB2)は体の酵素が正常に機能するために必要な必須ビタミンです。健康的な食生活を送っていれば、リボフラビンの補給は必須ではありませんが、食生活が偏っている人や、特定の遺伝的な要因がある人の心血管の健康、偏頭痛や白内障の予防や治療に効果が示されています。

概要

重要な効果・情報

ビタミンB2はリボフラビンとして知られている分子を指します。体内の多くの過程に関与し、皮膚、消化管の内層、血球、脳機能など、体内の多くのものを適切に発達させるために不可欠なため、ビタミンに分類されています。ミルク、肉、卵、ナッツ、小麦粉、緑の野菜などの食品に含まれています。リボフラビンは、ビタミンBサプリメントとして他のビタミンB群と組み合わせて補給​​されることが多いです。

FADとFMNと略される2種類の補助因子を産生することができるので体内に不可欠です。体内のいくつかのタンパク質は、これらの補助因子が最適に機能することに依存しており、摂取するリボフラビンがFADとFMNの唯一の提供者です。FADとFMNなどの酸化還元酵素はフラボ酵素またはフラビンタンパク質(フラボプロテイン)と呼ばれています。

リボフラビンの欠乏はアリボフラボノシスという症状を起こしますが、先進国では非常にまれで、粘膜(口と喉)の異常、皮膚や眼の問題が特徴です。リボフラビンの準欠乏もいくつかのグループを除いてそれほど一般的ではなく、ほとんどの場合、健康を脅かす重大な症状は起こさないとされています。

リボフラビンの補給の恩恵を受けるグループは、食中の摂取量が低くなりがちな思春期や若年成人の女性や高齢者とされています。

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体内のリボフラビンのレベルを単に十分な状態にするだけでなく、サプリメントとして摂取することで特定のグループの心血管の健康に有益となる可能性があります。 MTHFR 677TTとして知られる特定の遺伝的以上がある人は、葉酸代謝の欠陥によりホモシステインが異常に上昇する症状が出る場合があります。リボフラビンを低用量で補給すると、これらの人の血圧やホモシステインが低下することが示されています。リボフラビンの高用量(合計約400mgを数回に分割)での摂取で、片頭痛の治療効果を持つことが示されています。

一方で、食事中のタンパク質不足による栄養失調(クワシオルコル)、肺癌の予防、マラリアの予防には効果が無いことが示されています。

その他にも、胃癌、妊娠高血圧症(子癇前症)、後天性免疫不全症候群(AIDS)患者の乳酸アシドーシス(深刻な血液酸不均衡)、子宮頚癌、食道癌、高血圧症、肝癌、多発性硬化症、口腔白板症、妊娠中の鉄欠乏症、鎌状赤血球症、脳卒中、ざ瘡(にきび)、老化(アンチエイジング)、免疫改善、口唇潰瘍、口唇炎、肌や毛髪の健康維持、アルツハイマー病を含む記憶減退、こむら返りなどにリボフラビンを使用する例がありますが、科学的な裏付けは十分ではありません。

全体として、リボフラビンは、食生活が偏ると十分に摂取できないビタミンですが、食事を改善することでこれを是正することができます。サプリメントは必ずしも必須ではありませんが、MTHFR 677TTであることが確認された人や、鉄補充療法による貧血治療には有効である可能性が高いです。

適応・効果

適応情報

有効性の信頼度(高)

  • リボフラビン欠乏症: 体内のリボフラビンが低下している成人と子供は、リボフラビンを経口服用することで体内のリボフラビンのレベルを上げることができます。

有効性の信頼度(中)

  • 白内障: 食事の一部としてリボフラビンを多く食べる人は、白内障発症のリスクが低いようです。 また、リボフラビン+ナイアシンを含むサプリメントを服用すると、白内障を予防に役立つようです。
  • ホモシステイン血症: リボフラビンの12週間の経口摂取は、ホモシステインのレベルを40%低下させることが示唆されています。 また、葉酸およびピリドキシンとともにリボフラビンを摂取すると、発作予防薬によってホモシステインレベルが上昇している人のホモシステインレベルが26%低下することが示されています。痙攣発作
  • 片頭痛:  高用量のリボフラビンの経口摂取は、片頭痛発作の数を月に約2回減少させるようである。 リボフラビンを他のビタミンサンドミネラルと組み合わせると、片頭痛の間に経験する痛みの量も減少すると思われる。頭痛サプリ

効果がない可能性(中)

  • 食事中のタンパク質不足による栄養失調(クワシオルコル): リボフラビン、ビタミンE、セレン、N-アセチルシステインを経口で服用しても、体重減少、体重増加、感染症の危険性を減らすことはできないようです。
  • 肺癌: ナイアシンと一緒にリボフラビンを口に入れても、肺がんの予防には効果が無いようです。
  • マラリア: リボフラビンを鉄、チアミン、ビタミンCとともに経口摂取しても、マラリア感染するリスクのある小児のマラリア感染症の数や重症度は低下しないようです。

エビデンス不足

  • 胃癌: ナイアシンと一緒にリボフラビンを服用すると、胃がんの予防に効果があるようです。
  •  妊娠高血圧症(子癇前症):  妊娠4ヶ月の女性が、リボフラビンの経口投与を始めると、妊娠中の子癇前症のリスクを低下させるようです。血圧サプリ
  • 後天性免疫不全症候群(AIDS)患者の乳酸アシドーシス(深刻な血液酸不均衡): 初期の研究は、後天性免疫不全症候群(AIDS)患者のヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤(NRTI)と呼ばれる薬剤による乳酸アシドーシスの治療にリボフラビンの経口摂取が有用である可能性を示しています。
  • 子宮頚癌: 食物およびサプリメントからチアミン、葉酸、ビタミンB12、リボフラビンの摂取量が増加増加すると、子宮頸癌を発症するリスクが低下する可能性があります。
  • 食道癌:  食道癌の予防に対するリボフラビンの影響に関する研究は矛盾しています。 いくつかの研究は、リボフラビンの経口摂取は食道癌のリスクを低下させることを示していますが、他の研究は効果がないことを示している。
  • 高血圧症:  初期の研究は、遺伝的な要因による高血圧のリスクが高い特定の患者が通常の血圧治療に加えてリボフラビンを経口摂取すると、血圧が低下する可能性があることを示唆しています。血圧サプリ
  • 肝癌:  初期の研究は、リボフラビンとナイアシンの経口摂取が55歳未満の人の肝臓癌のリスクを低下させる可能性を示しています。 しかし、高齢者では肝がんのリスクを軽減することはできないようです。
  • 多発性硬化症: 初期の研究では、リボフラビンを6ヶ月間経口投与しても多発性硬化症患者の障害は改善されないことが示されています。
  • 口腔白板症:  初期の研究は、血液中のリボフラビンの低下が口腔白板症のリスクの増加と関連していることを示しています。 しかし、20カ月間のリボフラビンサプリメントの経口摂取は、口腔白板症の予防や治療には効果が見られませんでした。
  • 妊娠中の鉄欠乏症: 初期の研究では、リボフラビン、鉄、葉酸の経口摂取は、鉄と葉酸だけを服用するときと比べて、妊婦の鉄レベルを上げることはないことが示されている。
  • 鎌状赤血球症: 初期の研究によると、リボフラビンの8週間の経口摂取は鎌状赤血球症のため鉄分濃度が低い人の鉄分レベルが向上することが示されています。
  • 脳卒中:  初期の研究では、リボフラビンとナイアシンの経口摂取は脳卒中リスクのある人の脳卒中に関連する死亡を予防に効果がないことを示唆しています。
  • ざ瘡(にきび): スキンケアサプリ
  • 老化: アンチエイジングサプリ
  • 免疫改善: 免疫改善サプリ
  • 口唇潰瘍(口唇炎):
  • 肌や毛髪の健康維持: スキンケアサプリ 育毛サプリ
  • アルツハイマー病を含む記憶減退: 記憶力サプリ
  • こむら返り:

効果まとめ

効果まとめ表

 

効果まとめ表は動物や試験管内の実験ではなく、経口服用による人体での反応を科学的に研究したデータを基にどのような効果がどの程度あるのかをまとめたものです。

 

レベル 研究の質と量

?

信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります.

二重盲検臨床試験が繰り返し行われ確実性の高い研究が実施されています。
2つ以上のプラセボ効果を排除した二重盲検試験を含む複数の研究が実施されています。
二重盲検試験が1件または複数コホート試験が実施されています。
上記に満たない研究内容または観察研究のみが報告されています。
研究の質と量

?

信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります.

研究対象 効果の大きさ

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それぞれの研究対象に対する効果の方向性と大きさ. 対象項目を増加させるもの、低下させるもの、作用しないものを示しています.

研究の整合性

?

科学的な研究でも常に結果が一致するとは限りません. この評価が高いほど対象項目に関する科学的な研究結果が一致しており、整合性が取れています.

摘要
ホモシステイン 中程度 中程度 5件の研究結果を見る
MTHFR 677TTという特定の遺伝子変異を有する被験者がリボフラビン1.6mgを服用するとホモシステインが大幅に減少しましたが、そうでない高ホモシステイン血症の被験者のホモシステインは減少しない可能性が高いです。
片頭痛 中程度 中程度 7件の研究結果を見る
予備的な研究によると、リボフラビンの補給は、片頭痛頻度の低減に非常に有効なようです。リボフラビンが偏頭痛の強度に与える影響は不明で、最適な用量も分かっていませんが、多くの研究で400mgを使用しており、25mgでも同様の効果が見られています。
血圧 小さい 非常に高い 3件の研究結果を見る
MTHFR 677TT遺伝子突然変異を持つ高ホモシステイン血症の患者に血圧の低下が見られています。
抗酸化酵素プロファイル 研究結果を見る
10mgのリボフラビンの補給は、抗酸化酵素のプロファイルに影響を与えないようです。
C-反応性タンパク質 研究結果を見る
リボフラビンの補給は、血清中のC反応性タンパク質濃度に影響を与えないようです。
フェリチン 研究結果を見る
低リボフラビンの人がリボフラビンを補給するとヘモグロビン含量を改善しますが、フェリチン濃度には影響がないようです。
多発性硬化症の症状 研究結果を見る
10mgのリボフラビンの補給は多発性硬化症の症状に対して、プラセボと比較して有意な影響を与えないようです。
尿酸 研究結果を見る
リボフラビンの補給は尿酸/尿酸塩のバランスに影響を与えないようです。

副作用

副作用と安全性

リボフラビンは、経口摂取された場合、ほとんどの人にとっては安全です。 一部の人は尿の色が濃いくなったり下痢を引き起こす可能性があります。

注意と警告

子供: リボフラビンは適切な量を経口摂取した場合、大部分の子供にとっては安全です。

妊娠と授乳: リボフラビンは、妊娠中または授乳中の女性が適切に経口摂取した場合には安全です。 推奨量は、妊娠中の女性は1.4mg/日、授乳中の女性は1.6mg/日です。リボフラビンを大量に経口摂取した場合でも短期間であれば安全とされています。 いくつかの研究では、リボフラビンは2週間に1回15mgの用量で10週間服用しても安全であることが示されています。

肝炎、肝硬変、胆道閉塞: これらの症状の人はリボフラビンの吸収が減少するため注意が必要です。

注意事項

相互作用

軽度の相互作用

下記の組み合わせに気をつけてください。

  • 抗コリン薬: いくつかの抗コリン薬は、胃や腸に影響を与える可能性があります。 リボフラビン(ビタミンB2)とこれらの抗コリン薬を服用すると、体内に吸収されるリボフラビンの量が増えることが分かっています。 しかし、この相互作用が重要であるかどうかは分かっていません。
  • 抗うつ薬 (三環系抗うつ薬) :うつ病の治療薬には、体内のリボフラビンの量を減らす可能性があります。 うつ病の治療薬を高用量で服用している場合にのみこの相互作用が起こるため、それほど大きな問題ではありません。
  • フェノバルビタール:リボフラビンは体で分解されます。 フェノバルビタールは、リボフラビンの体内でのぶん会速度を向上させる可能性があります。この相互作用が重要かどうかは分かっていません。
  • プロベネシド:プロベネシドは体内のリボフラビンの量を増やす可能性があります。 これにより、体内にリボフラビンが過剰になる可能性がありますが、この相互作用が重要であるかは分かっていません。

その他の名称

  • リボフラビン

服用方法

推奨用量、有効量、その他の詳細

リボフラビンは、体内で十分なリボフラビンレベルを維持し、リボフラビン貯蔵を助けるために、比較的低用量の1日1-2mgで補給されています。 高用量(4mg)の服用は、より迅速に貯蔵量を増加させることができますが、長期にわ的には変わらないようです。ホモシステイン濃度を低下させる目的でもこのような用量で服用されています。片頭痛を軽減する目的では最適用量は確認されていませんが、多くの研究では1日に400mgリボフラビンを1日の中で数回に分けて使用しています。 これらの用量(50mg以上)のリボフラビンは、食べ物と一緒に服用した方が良いようです。低用量補給の場合は空腹時でも問題ないようです。

下記の用量が科学的な研究で使用されました。

成人

経口服用:

  • 一般: 成人のリボフラビンの推奨摂取量は、男性は1.3mg/日、女性は1日1.1mg/日、妊娠女性は1.4mg/日、授乳中の女性は1.6mg /日です。 リボフラビンの摂取量の上限はありません。
  • リボフラビン欠乏症の予防および治療: リボフラビンを1日5〜30mg使用しています。
  • 白内障: リボフラビン3mg +ナイアシン40mgを毎日5〜6年間組み合わせて使用しています。
  • 高ホモシステイン血症: リボフラビン1日1.6mgを12週間、または、1日に75mgのリボフラビン、0.4mgの葉酸、120mgのピリドキシンを組合せて30日間使用しています。
  • 偏頭痛: 最も一般的な用量はリボフラビンを1日400mgで3ヶ月間服用しています。 それ以外にも、リボフラビン400mg、マグネシウム600mg、およびコエンザイムQ10 150mg /日を組み合わせた製品が使用されています。

子供

経口服用:

  • 一般: リボフラビンの推奨量は、6ヶ月までの幼児では0.3mg /日、6-12ヶ月の幼児では0.4mg /日、1-3歳の子供では0.5mg /日、4-8歳の子供では0.6mg、9歳〜13歳の子供は0.9 mg /日、14〜18歳の男子では1.3 mg /日、14〜18歳の女子では1.0 mg /日です。 リボフラビンの毎日の摂取量の上限はありません。
  • リボフラビン欠乏症の予防及び治療: リボフラビン2mgを一度服用してから、1日0.5-1.5mgを14日間服用しています。 または、リボフラビン2〜5mg /日を2ヶ月まで使用しています。 それ以外にも、リボフラビン5mgを週に5日間、1年間使用しています。

科学的根拠・参考文献