コンブチャ[Kombucha]は緑茶や紅茶を作る植物のチャノキ(Camellia sinensis)を発酵させたものです。海外を中心に健康のための飲み物として人気がありますが、科学的な効果の検証は行われていません。不適切に醸造・保管・服用されることで毒性を引き起こし、複数の死亡が報告されています。
コンテンツ
概要
重要な効果・情報
コンブチャ[Kombucha]は、緑茶や紅茶を作る植物のチャノキ(Camellia sinensis)を発酵させたものです。 キノコ類ではありませんが、マッシュルームティーと呼ばれることもあります。茶葉、砂糖、酵母、細菌を原料にして1週間程度発酵されます。発酵プロセスによって、解毒(デトックス)や抗酸化作用があり、アルコール、酢、ビタミンB、カフェイン、糖分に加えて、健康に有益と主張される酸性化合物が作られます。また、寿命を延ばす効果もあると主張されており、コンブチャは広く知られていますが、実際の健康への影響を科学的に検証したエビデンスは不足しており、何らかの症状に対して効果が見られたという科学的なエビデンスもありません。 コンブチャには一般的な紅茶よりも多くの抗酸化物質が含まれていますが、緑茶カテキンやビタミンCなどの他の基準物質と科学的に比較したエビデンスはありません。コンブチャは、主な生理活性物質(サッカロラクトン)によってデトックスを促す作用を持つ可能性がありますが、人での検証は行われていません。不適当な製造・保管環境や発酵期間が長すぎる場合、コンブチャは毒性を持ち、死に至る例も報告されています。死亡した大部分は個人でコンブチャを醸造していたために起こっており、125ml以上のコンブチャを飲んだ場合に亡なくなっているようです。コンブチャの潜在的な利益を裏付けるエビデンスのほとんどは、ラットによるものですが、リスクに関するエビデンスは人でも多く報告されています。したがって、健康のためにコンブチャを飲むことはお勧めできません。
適応・効果
適応情報
エビデンス不足
副作用
副作用と安全性
コンブチャはほとんどの成人にとって適切に経口摂取した場合は安全と考えられています。 コンブチャは汚染されていた場合、胃の問題、酵母感染、アレルギー反応、皮膚の黄化(黄疸)、吐き気、嘔吐、頭や頸部の痛み、死などの副作用を引き起こす可能性があります。
無菌環境を維持することが難しい家庭で作られたコンブチャは、真菌(アスペルギルス)や細菌(炭疽菌)で汚染される可能性があります。 イランでは、コンブチャの摂取によって20人が炭疽菌に感染しました。 コンブチャは、HIV/AIDSを患っている人など免疫系が弱い人や感染しやすい状態の人、力が弱いや、鉛釉セラミックで製造された場合安全ではありません。コンブチャの摂取後に鉛中毒も報告されています。
注意と警告
妊娠と授乳: 妊娠中と授乳中のコンブチャの服用は安全でない可能性があります。 安全のため使用を控えましょう。
アルコール依存症: コンブチャはアルコールを含みます。アルコールの摂取に問題がある場合は使用を控えましょう。.
糖尿病: コンブチャは糖尿病患者の血糖値に影響を与える可能性があります。 低血糖の徴候を観察し、糖尿病の場合は血糖値を注意深く監視して下さい。
下痢: コンブチャにはカフェインが含まれています。 コンブチャのカフェインを多量に摂取すると、下痢を悪化させる可能性があります。
過敏性腸症候群(IBS): コンブチャにはカフェインが含まれています。 コンブチャのカフェインは、特に多量に摂取すると下痢を悪化させ、過敏性腸症候群の症状を悪化させる可能性があります。
手術: コンブチャは血糖値に影響する可能性があるため、手術中および手術後に血糖のコントロールを妨げる恐れがあります。 手術予定日の少なくとも2週間前にコンブチャの使用を中止してください。
免疫系の低下: HIV /エイズなどの原因で免疫系が弱くなった場合は、コンブチャを使用しないでください。 コンブチャは、深刻な感染症を引き起こす可能性のある細菌や真菌を増殖させる可能性があります。
注意事項
相互作用
軽度の相互作用
下記の組合せに気をつけて下さい。
- ジスルフィラムコンブチャにはアルコールが含まれており、体はアルコールを分解します。ジスルフィラムはアルコールの分解を減少させるため、コンブチャとジスルフィラムを一緒に飲むと、頭痛、嘔吐、潮紅などの不快な反応を引き起こす可能性があります。
その他の名称
- マッシュルームティー、真菌茶、キノコ茶
混同しやすいもの
- チャノキ(Camellia sinensis) (原料の植物)
- 昆布茶
注意点
- 不適切な製剤は副作用を引き起こすことが知られており、ときに死に至る
服用方法
推奨用量、有効量、その他の詳細
コンブチャの摂取後に副作用が発生した症例の報告が多数あります。これは、過剰発酵や有害菌の繁殖の結果として、毒素、病原体、過剰の酸が発生していることが原因の可能性があります。このようなリスクが存在するため、定期的なコンブチャの摂取は推奨していません。有害作用の頻度は多くはありませんが、殆どの場合125mL以上を飲んだ場合に発生しているようです。したがって、副作用のリスクを最小限に抑えるため、1日に125ml以上のコンブチャの摂取は推奨していません。コンブチャを家庭で作る場合は、日本では個人での醸造は認められていませんが、アルコール分が1%以下となる場合は醸造とはみなされませんので、衛生的な環境でアルコール分が1%を超えないように材料・製造法を適切に準備し、安全のため1週間未満の発酵で製造するべきです。