ワイルドヤム（Dioscorea villosa）は、ヤムイモの一種です。閉経の症状を緩和すると主張されていますが、人間での実験では効果がないことが示唆されているものもあります。体内でエストロゲンやDHEAなどと似た働きをする可能性がありますが、実際に体内でこれらのステロイドホルモンに変換されるわけではなく、効果については科学的なエビデンスによる裏付けが不足しています。
コンテンツ
概要
重要な効果・情報
ワイルドヤムには600種以上あり、そのうちの12種類が食用とされています。ワイルドヤムには、ジオスゲニンと呼ばれる物質を含むものがあり、この物質は研究室でデヒドロエピアンドロステロン （DHEA）やエストロゲンなどのステロイドの合成に使用されるためにも使用されています。一般的に苦味があるため、あまり食用にはされていません。
ジオスゲニンや野生のヤムイモは、「天然のエストロゲン」として宣伝されており、バストアップやエストロゲン補充療法、高齢女性の膣の乾燥、月経前症候群、月経痛、骨粗鬆症、男女問わずバイタリティや性欲の向上のために使用されています。ワイルドヤムにはエストロゲン様の活性があるようですが、体内でエストロゲンに実際に変換されるわけではありません。
同様に、DEHAの合成の材料として利用されるため、ワイルドヤムやジオスゲニンが「天然のDHEA」として宣伝されることもありますが、この化学反応も人体で起こるわけではありません。したがって、ワイルドヤムのエキスを摂取してもDHEAレベルは上昇しません。 DHEAレベルを向上させたい人はワイルドヤムを摂取しても効果がないため注意が必要です。
また、ワイルドヤムは憩室症と呼ばれる腸障害、胆嚢痛、慢性関節リウマチの治療や、滋養強壮にも摂取されたり、女性のホットフラッシュのような更年期症状を軽減するために、ワイルドヤムのクリームを皮膚に塗布されていますがこれらを支持する科学的なエビデンスはありません。動物実験では、ワイルドヤムの低用量補充後に皮膚の厚みを増加させることが報告され、ワイルドヤムがスキンケアのための潜在的に有用なサプリメントであることを示唆していますが、化粧用のサプリメントとして実際に利用するには、人間での実験で効果が確認される必要があります。
また、ワイルドヤム抽出物は、腎臓や肝臓の線維症を起こす可能性が指摘されており、服用期間や用量に依存している可能性が高いため、ワイルドヤムの長期的な補充はお勧めできません。
適応・効果
適応情報
効果がない可能性(中)
- 更年期症状： 野生のヤムクリームを3ヶ月間皮膚に塗布することは、目の疲れや夜の汗などの更年期症状を緩和するようには見えません。 それはまた、閉経期において役割を果たすホルモンのレベルに影響を与えないようである。
エビデンス不足
副作用
副作用と安全性
ワイルドヤムは、経口摂取したり、皮膚につけるのは基本的には安全と考えられています。大量に摂取すると嘔吐したり腎臓や肝臓の線維症を引き起こす可能性があります。
特別な注意と警告：
妊娠と授乳： 妊娠、授乳中の場合のワイルドヤムの安全性に関する十分な信頼性の高い情報はありません。安全のため使用を避けてください。
乳癌、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜症、子宮筋腫などのホルモン感受性症状：ワイルドヤムはエストロゲン様の作用を起こす可能性があります。エストロゲンによって悪化する症状がある場合は使用しないでください。
プロテインS欠乏症：プロテインS欠乏症の人は、エストロゲン様の作用によって血栓のリスクが高まる可能性があります。ワイルドヤムを含む製品を服用して3日後に、網膜周辺の静脈に血栓を発症したプロテインS欠乏症および全身性エリテマトーデス（SLE）患者の例が1件報告されています。プロテインSが欠乏している場合は、安全のため使用を避けてください。
注意事項
その他の名称
- 自然薯、メキシコワイルドヤマ、シルメストレア、天然DHEA、植物性のエストロゲン、フィトステロン、リウマチの根、アメリカヤム、アトランティックヤム、バルバスコ、メキシコヤム、ヤム、ユマ、中国の根、中国ヤム、コルクの根、悪魔の骨、DHEA Naturelle、Dioscorea、Dioscorea、Dioscorea alata、Dioscorea batatas、Dioscorea composita、Dioscorea floribunda、Dioscorea hirticaulis、Dioscorea japonica、Dioscorea macrostachya、Dioscorea mexicana 、Dioscorea opposita、Dioscorea tepinapensis、Dioscorea villosa、Dioscorée、Igname Sauvage、Igname Velue、メキシカンYam、Rhizoma Dioscorae、Rhizoma Dioscoreae、Shan Yao
混同しやすいもの
- コモンヤマ （ Dioscorea Rotundata ）、パープルヤム（ Dioscorea Alata ）
服用方法
推奨用量、有効量、その他の詳細
動物研究では、マウスの体重あたり9.8〜37.7mg / kgのワイルドヤムの補給が有効であることが示唆されています。これを人間に換算すると、体重あたりおよそ0.8〜3mg /kgに相当します。マウスの研究では、体重あたり790mg / kg（人間で126mg / kg体重）で線維症を引き起こす可能性が高まることが示唆されています。ワイルドヤムの最適な補充量や安全性については、さらに多くの研究が必要です。