クレンブテロールは、代謝産物が有毒であることが分かるまでは、畜産業で成長を促進させ、除脂肪体重を増加させるために使用されてきた、β2-アドレナリン受容体作動薬です。エフェドリンと似ていますが、効果の持続時間はエフェドリンが4時間に対してクレンブテロールは36時間とはるかに長期間体内に残留します。日本では気管支閉塞に対する処方薬として使用されており海外でもほとんどの国で規制の対象となっていますが、強力な脂肪の燃焼と筋肉の増大作用を持つため、ボディビルディングなどに使用される例があります。強力な作用の一方で深刻な副作用も報告されているため、使用には十分な注意が必要です。
コンテンツ
概要
重要な効果・情報
クレンブテロールは、強力な脂肪燃焼化合物であり、筋肉の保存および増強作用を持ちます。かつて、畜産物において、成長の促進と、除脂肪体重の増加の目的のために使用されていましたが、残留成分による人体への副作用が大きいため各国で禁止されてきました。化学的にはステロイド構造ではありませんが、社会用語としてのステロイドと分類されることが多く、多くのスポーツ団体にドーピング化合物として登録されています。禁止されているにもかかわらず、強力な効果があることからボディービルダーなどが利用する例があります。
クレンブテロールβ2-アドレナリン受容体に作用し、アデニル酸シクラーゼを活性化し、cAMP量を増加させることで、気管及び気道平滑筋を弛緩させ、抗喘息作用を示します。半減期が36時間と長時間にわたり強い作用を示し、抗アレルギー作用も持っています。
適応・効果
適応情報
効果まとめ
効果まとめ表
効果まとめ表は動物や試験管内の実験ではなく、経口服用による人体での反応を科学的に研究したデータを基にどのような効果がどの程度あるのかをまとめたものです。
レベル | 研究の質と量
? 信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります. |
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二重盲検臨床試験が繰り返し行われ確実性の高い研究が実施されています。 | |
2つ以上のプラセボ効果を排除した二重盲検試験を含む複数の研究が実施されています。 | |
二重盲検試験が1件または複数コホート試験が実施されています。 | |
上記に満たない研究内容または観察研究のみが報告されています。 |
研究の質と量
? 信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります. |
研究対象 | 効果の大きさ
? それぞれの研究対象に対する効果の方向性と大きさ. 対象項目を増加させるもの、低下させるもの、作用しないものを示しています. |
研究の整合性
? 科学的な研究でも常に結果が一致するとは限りません. この評価が高いほど対象項目に関する科学的な研究結果が一致しており、整合性が取れています. |
摘要 |
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脂肪質量 | 中程度 | – 研究結果を見る |
クレンブテロールの影響下での脂肪量の減少は、エフェドリンやヨヒンビンのような他の脂肪燃焼成分よりも大きいことが示されています。
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肥大 | 小さい | – 研究結果を見る |
筋肉のタンパク質合成を増加させるようです。
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筋力 | 小さい | – 研究結果を見る |
クレンブテロールの使用に伴い筋力が増加します。
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骨格筋萎縮症 | 小さい | – 研究結果を見る |
筋肉タンパク質の分解速度がクレンブテロールの使用により減少することが示唆されています。
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副作用
重大
- 重篤な血清K値の低下:β2刺激薬により重篤な血清K値の低下が報告されています。また、β2刺激薬による血清K値の低下は、キサンチン誘導体、ステロイド薬、利尿薬と併用することで悪化する可能性があるため、重度の喘息の場合は特に注意が必要です。更に、低酸素血症の場合は、血清K値の低下により心リズムに及ぼす作用が増強する可能性があるため、血清K値をモニターする必要があります
その他
- 過敏症(発疹,そう痒)→中止
- 精神神経(振戦,筋痙直,頭痛,四肢しびれ感,興奮,不眠,めまい,眠気)
- 循環器(動悸,頻脈,不整脈,血圧上昇)
- 消化器(嘔気,食欲不振,腹痛,下痢,便秘,口渇,胸やけ)
- 肝臓(AST・ALTの上昇)
- 泌尿器(排尿障害)
- その他(全身倦怠感,浮腫,ほてり)
慎重投与
- 甲状腺機能亢進症:甲状腺機能亢進症が増悪する可能性があります。
- 高血圧: 血圧が上昇する可能性があります。
- 心疾患:動悸,不整脈等が発生する可能性があります。
- 糖尿病:糖尿病の症状が増悪する可能性があります。
- 高齢者:
注意事項
相互作用
中程度の相互作用
下記の組み合わせに注意が必要です。
- カテコールアミン製剤(アドレナリン,イソプレナリン等):アドレナリン作動性神経刺激増大により不整脈、場合により心停止する可能性があるため、異常があれば減量または中止等の必要があります。
- キサンチン誘導体(テオフィリン,アミノフィリン,ジプロフィリン等),ステロイド剤(ベタメタゾン,プレドニゾロン,ヒドロコルチゾン等),利尿薬(フロセミド等):低K血症による不整脈が起こる可能性があるため、異常があれば減量または中止等の必要があります。
その他の名称
- クレン、4-アミノ-アルファ(t-ブチル-アミノ)メチル-3,5-ジクロルベンジルアルコール
注意点
- クレンブテロールは強い刺激性があり、半減期が長く、長期間作用が持続します。
分類カテゴリー
良い組み合わせ
- 睡眠導入剤
悪い組み合わせ
- ラパマイシン(mTORアンタゴニスト)
確認事項
- クレンブテロールは強力なβ2アドレナリン作動薬であり、体にアドレナリン様の作用を与えます。過剰摂取や組み合わせによって、心臓の不整脈や突然死を招く可能性があります。
- クレンブテロールは日本では処方薬として使用が制限されており、海外でも規制の対象となっている化合物で、ほとんどのスポーツ機関は選手の使用を禁止しています。
- 効果副作用.com 免責事項
服用方法
推奨用量、有効量、その他の詳細
クレンブテロールの標準用量は20mcgとされています。耐性が見られた場合は、高用量で使用される場合もありますが、高用量での使用は十分な注意が必要です。また、どのような状況下でも、1日に120mcg以上を使用するべきではありません。クレンブテロールは代謝を可能にするために午前中の使用の方が良いかもしれませんが、半減期が36時間と長いため睡眠中でも体内に残留しています。