L-シトルリンの補給は、体内のL-アルギニン及びL-オルニチン濃度を上昇させる上でそれぞれのアミノ酸を補給するよりも効果的であることが示されています。循環器系の健康補助やスポーツパフォーマンスの向上、疲労の軽減、運動時の成長ホルモンの増加など様々な効果が示唆されていますが、十分な科学的なエビデンスはありません。
コンテンツ
概要
重要な効果・情報
L-シトルリンは天然に存在するアミノ酸でメロンなどの食べ物に含まれており体内でも合成されます。L-アルギニンおよびL-オルニチンとともに、尿素サイクルに関与する3つのアミノ酸のうちの1つです。L-シトルリンは、スポーツのパフォーマンスや心臓や血管などの循環器系の健康補助成分として使用されてます。 また、L-シトルリン補給は、疲労を軽減し、無酸素運動の耐久性を改善することが示唆されていますが、有酸素運動の疲労がたまりやすいことが示唆されています。 また、L-シトルリンの補給が運動における筋力を改善するという主張を裏付ける十分なエビデンスはありません。L-シトルリンの補給は、血漿中のオルニチンやアルギニンの濃度を増加させます。これは、L-シトルリンの補給によってアンモニアを再利用し、酸化窒素の代謝が改善することを意味しています。また、 L-シトルリンは運動時の成長ホルモンの増加や高血圧による勃起不全を緩和する作用が示唆されています。その他にも、アルツハイマー病、痴呆症、鎌状赤血球症、高血圧、糖尿病、心臓病、滋養強壮、などに使用される例がありますが、科学的なエビデンスはありません。
L-シトルリンは補給後に腎臓でアルギニンに変換されます。L-アルギニンを補給すると血漿中のL-アルギニンの急増しますがすぐに減ってしまいますが、L-シトルリンの補給は血漿中のアルギニン濃度をより長期間にわたって増加させることができます。L-アルギニンやL-オルニチンを10g以上の用量で補給すると吸収が低下し下痢を起こす可能性がありますが、L-シトルリンはこのような副作用を持たず、血漿中の3つ全てのアミノ酸レベルを上昇させるため、L-アルギニンを補給することが一般的です。
また、
適応・効果
適応情報
エビデンス不足
- 運動能力向上: 運動能力の向上に関する相反する結果があります。L-シトルリンは無酸素運動による疲労を低下させるという結果がある一方で、L-シトルリンを服用した人はルームランナーの運動量を改善せず、摂取していない人よりも早く疲れてしまうことが示唆されています。この結果から無酸素運動の疲労を低下させるが有酸素運動の疲労を早めることが推測されますが、さらなる検証が必要です。
- 心臓手術後の子供の高血圧症: L-シトルリンを 手術前と手術後に服用すると、小児の心臓手術後に起こる高血圧を軽減に役立つ可能性があります。血圧サプリ
- 鎌状赤血球症: L-シトルリンは鎌状赤血球症の症状を改善する可能性が示唆されています。
効果まとめ
効果まとめ表
効果まとめ表は動物や試験管内の実験ではなく、経口服用による人体での反応を科学的に研究したデータを基にどのような効果がどの程度あるのかをまとめたものです。
レベル | 研究の質と量 ? 信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります. |
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二重盲検臨床試験が繰り返し行われ確実性の高い研究が実施されています。 | |
2つ以上のプラセボ効果を排除した二重盲検試験を含む複数の研究が実施されています。 | |
二重盲検試験が1件または複数コホート試験が実施されています。 | |
上記に満たない研究内容または観察研究のみが報告されています。 |
研究の質と量 ? 信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります. | 研究対象 | 効果の大きさ ? それぞれの研究対象に対する効果の方向性と大きさ. 対象項目を増加させるもの、低下させるもの、作用しないものを示しています. | 研究の整合性 ? 科学的な研究でも常に結果が一致するとは限りません. この評価が高いほど対象項目に関する科学的な研究結果が一致しており、整合性が取れています. | 摘要 |
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血糖値 | – | 非常に高い 3件の研究結果を見る | シトルリンによる血中グルコース濃度への有意な影響は見られませんでした。 | |
インスリン | – | 高い 4件の研究結果を見る | ほとんどの研究ではインスリン濃度に有意な変化は見られませんが、1件の研究では運動誘発性のインスリンの増加がシトルリンの服用で抑制されることを示唆しています。 | |
疲労 | 中程度 3件の研究結果を見る | 無酸素運動中の疲労の減少が見られる一方で、ランニングマシーンの運動による疲労が早まるという相反する結果が出ています。また、運動とは無関係の自己申告による疲労の軽減も示唆されています。 | ||
筋肉痛 | – 研究結果を見る | シトルリンの服用によって、運動の2日後の筋肉痛が40%減少しました。 | ||
酸化窒素 | 非常に高い 2件の研究結果を見る | 酸化窒素の測定は難しいのですが尿中硝酸塩とcGMPをバイオマーカーとして測定し、酸化窒素誘導体の顕著な増加が示されています。 | ||
血漿アルギニン | 非常に高い 2件の研究結果を見る | シトルリンは、血漿アルギニン濃度を増加させることができ、アルギニンを分子内に保持しているため、アルギニン自体よりも血漿アルギニンの上昇に効果的です。 | ||
トレーニング量 | – 研究結果を見る | シトルリン補充で作業能力の増加が見られ時間依存性があるようです。継続的または即時の効果はありませんが、ウエイトリフティングトレーニングの後の疲労の減少によってその後にできるウエイトリフティングの回数が相対的に増加しています。 | ||
血流 | – 研究結果を見る | 血流の障害がある人の血流の増加が見られました。 | ||
血圧 | 中程度 3件の研究結果を見る | 血漿アルギニンの増加(酸化窒素の増加)に次いで血圧の低下が見られました。このような作用は、高血圧の被験者のみで起こるようです。 | ||
クレアチニン | – 研究結果を見る | シトルリンの補給によってクレアチニンの軽度の増加が見られました。 | ||
成長ホルモン | 非常に高い 2件の研究結果を見る | 運動時の成長ホルモンの増加が見られましたが、安静時には見られませんでした。 | ||
免疫 | – 研究結果を見る | 運動前にシトルリンを補給することで、好中球の酸化的破壊が向上するようです。 | ||
血漿グルタミン | 中程度 2件の研究結果を見る | 血漿グルタミンには、急性補給による影響はないようですが、一週間の高用量補給(0.18g/kg)でグルタミン濃度がわずかに低下さるようです。 | ||
血漿硝酸塩 | – 研究結果を見る | シトルリンの補給によって血漿硝酸塩の増加が見られましたが、硝酸塩自体を補給する場合ほどの効力は見られませんでした。 | ||
尿素 | – 研究結果を見る | シトルリン補給によって尿素の増加が見られました。(おそらく増加した血清オルニチンがアンモニアを隔離するためと考えられます) | ||
エアロビック | – | – 研究結果を見る | ランニングマシーンでの試験や酸素動態試験に有意な影響は見られませんでした。 | |
C-反応性タンパク質 | – | – 研究結果を見る | C反応性タンパク質濃度に有意な影響は見られませんでした。 | |
DNA損傷 | – | – 研究結果を見る | DNA損傷に対する有意な影響は見られませんでした。 | |
HDL-C | – | – 研究結果を見る | HDL-C濃度に有意な影響は見られませんでした。 | |
心拍数 | – | 中程度 2件の研究結果を見る | 少なくとも1つの研究では、運動後の心拍数に有意な減少が見られましたが、通常の心拍数に有意な影響はないようです。 | |
IGF-1 | – | – 研究結果を見る | シトルリンの補給によるIGF-1濃度に対する有意な影響は見られませんでした。 | |
LDL-C | – | – 研究結果を見る | シトルリンの補給による血清中のLDL-C濃度に有意な影響は見られませんでした。 | |
乳酸生産 | – | – 研究結果を見る | 運動前にシトルリンを補給しても、乳酸産生に有意な影響は見られませんでした。 | |
脂質過酸化 | – | – 研究結果を見る | 脂質過酸化に対するシトルリンの有意な影響は見られませんでした。 | |
肝臓酵素 | – | – 研究結果を見る | 肝臓酵素への有意な影響は見られませんでした。 | |
筋肉タンパク質合成 | – | – 研究結果を見る | 安静時の筋肉タンパク質合成に有意な影響は見られませんでした。 | |
総コレステロール | – | – 研究結果を見る | 総コレステロール濃度に有意な影響は見られませんでした。 | |
勃起 | – 研究結果を見る | 勃起機能障害を有する人の勃起の硬度が、シトルリンの補給後に軽度に増加することが示唆されています。 | ||
運動能力(心臓の状態で) | – 研究結果を見る | 心不全患者の身体運動能力を高めることが示唆されています。 | ||
筋肉酸素化 | – 研究結果を見る | 毎日6μgのシトルリンを与えられた男性において、好気的手段での筋肉のATP産生の軽度の増加が認められましたが、時間とともに減衰するようです。 | ||
右心室駆出率 | – 研究結果を見る | 正常な駆出率を持つ心不全患者の運動中の右心室駆出率の軽度の増加が示唆されています。 |
副作用
副作用と安全性
L-シトルリンは、成人と子供が適切に使用する場合には安全です。
注意と警告
妊娠・授乳: 妊娠中や授乳中のL-シトルリンの安全性については、信頼できる科学的情報が十分ではありません。 十分に分かるまで、妊娠中や授乳中はL-シトルリンの服用を避けることをおすすめします。
注意事項
相互作用
相互作用に関する情報はありません。
その他の名称
- L-シトルリン、スチロール(商品名)、スイカエキス
服用方法
推奨用量、有効量、その他の詳細
循環器系の健康や勃起不全の緩和を目的としてL-シトルリンを補給する場合は、1日3,000mgのシトルリンを1日3回経口摂取することが一般的なようです。L-シトルリンは必ずしも食事と一緒に摂取する必要はありません。シトルリンリンゴ酸サプリメントを循環器系の健康のために補給する場合は、シトルリン1グラムがシトルリンリンゴ酸1.76gに相当します。スポーツのパフォーマンスを向上させるためにL-シトルリンを補給する場合には、運動の1時間前に約6,000~8,000 mgのシトルリンリンゴ酸を服用することが一般的なようです。