α-GPC(アルファ-GPCまたはアルファ-グリセロホスホコリン)は、認知促進特性やアスリートのパフォーマンスの向上や成長ホルモンの分泌促進のために使用されるコリン作用性物質です。細胞膜を保護し、認知低下を防止するのに役立つことも示唆されています。
コンテンツ
概要
重要な効果・情報
α-GPCは、大豆を始めとしてコリンを豊富に含む様々な植物に含まれており、脂肪酸が分解する際に放出される化学物質です。α-GPCを摂取することで、アセチルコリンと呼ばれる記憶機能や学習機能にとって重要な脳内の化学物質を増加させるようです。ヨーロッパではα-GPCはアルツハイマー病の治療薬となっており、経口服用や注射剤として使用されています。米国では、α-GPCはコリン作用サプリメントに分類される栄養補助食品として利用されており、主に記憶の改善や筋力の増加に使用されています。α-GPCは、他にも認知症、脳卒中、一過性虚血発作(TIA)、思考力、学習の改善、成長ホルモンの分泌増加などにも使用されています。
経口摂取後に脳を含む体内にコリンを供給し、現在利用されている中で最も効率的にコリンを供給できる物質の一つです。α-GPCのこりん以外の分子が他のコリン作用物質とは異なるため、細胞膜の構造を保護するようです。(コリン作用物質の中ではCDPコリンのみがこのような脂質膜の保護と関連しているようです)
適応・効果
適応情報
有効性の信頼性(高)
- アルツハイマー病: 研究では、アルファ-GPCを1日1200mgで3-6ヶ月服用するとアルツハイマー病患者の思考スキルが有意に改善することが示唆されています。
エビデンス不足
- 認知症: 1日1000mgのα-GPCを服用すると、行動、気分、思考スキルなどの血管性認知症の症状が改善する可能性が示唆されています。
- 脳卒中および一過性脳虚血発作: 脳卒中および一過性脳虚血発作の後10日以内にアルファ-GPCを投与された患者は、より良好な回復が見られました。 初期の研究では、アルファ-GPC 400mgを1日3回(1200mg /日)6ヶ月間経口で摂取した後、1日あたり1200mgのアルファ-GPC を28日間注射で投与したところ、思考スキルの回復がおよび生活上の機能も回復しましtあ。
- 記憶力: 記憶力サプリ
- 思考スキル:
- 学習能力:
- 成長ホルモン:アスリートの成長ホルモンの分泌を高める作用が示唆されていますが、短期間の効果しかないため、アルギニンなどと同様に短期間の効果しかない可能性があります。
- 筋力:パワー出力を高める作用が示唆されており、運動前に600mgのα-GPCを服用することを支持する研究があります。
効果まとめ
効果まとめ表
効果まとめ表は動物や試験管内の実験ではなく、経口服用による人体での反応を科学的に研究したデータを基にどのような効果がどの程度あるのかをまとめたものです。
レベル | 研究の質と量
? 信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります. |
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二重盲検臨床試験が繰り返し行われ確実性の高い研究が実施されています。 | |
2つ以上のプラセボ効果を排除した二重盲検試験を含む複数の研究が実施されています。 | |
二重盲検試験が1件または複数コホート試験が実施されています。 | |
上記に満たない研究内容または観察研究のみが報告されています。 |
研究の質と量
? 信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります. |
研究対象 | 効果の大きさ
? それぞれの研究対象に対する効果の方向性と大きさ. 対象項目を増加させるもの、低下させるもの、作用しないものを示しています. |
研究の整合性
? 科学的な研究でも常に結果が一致するとは限りません. この評価が高いほど対象項目に関する科学的な研究結果が一致しており、整合性が取れています. |
摘要 |
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認知機能低下 | 中程度 | – 研究結果を見る |
変性または血管由来の認知低下の割合は、アルファ-GPCを補給することで有意に減少するようです。
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筋力 | 中程度 | – 研究結果を見る |
筋肉の出力が14%増加しました。再現性の検証が必要ですが、この研究ではカフェインよりも強力であることが示唆されています。
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アルツハイマー病の症状 | 中程度 | – 研究結果を見る |
栄養補助食品として1,200mgのα-GPCを長期間服用することで、アルツハイマー型認知症の症状が有意に軽減しました。
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脂肪酸化 | 小さい | – 研究結果を見る |
いくつかの肝臓の脂肪酸化のバイオマーカーが増加ししました。
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成長ホルモン | 小さい | 非常に高い 2件の研究結果を見る |
血中の循環成長ホルモンの増加が見られました。測定されたホルモンの上昇は急激に上昇し短期間で減少しました。
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鉄吸収 | 小さい | 中程度 2件の研究結果を見る |
アルファ-GPCは肉以外からの鉄分の吸収を増加させる可能性がありますが、相反するエビデンスが存在しますので確実性は高くありません。
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副作用
副作用と安全性
α-GPCは、適切に服用する場合には安全とされています。 胸やけ、頭痛、不眠症、めまい、皮膚発疹、混乱などの副作用を引き起こす可能性があります。
注意と警告
妊娠と授乳: 妊娠・授乳中のαGPCの服用の安全性に関する情報は十分ではありません。 安全のため使用を控えましょう。
注意事項
相互作用
軽度の相互作用
下記の組み合わせに気をつけてください。
- スコポラミンアルファ-GPCは、アセチルコリンと呼ばれる脳内の化学物質を増加させます。 スコポラミンはこの化学物質をブロックするためαGPCの効果が低下する可能性があります。α-GPCの服用によってスコポラミンの効果が減少するかどうかは分かっていません。
その他の名称
- アルファ-グリセロホスホリルコリン、L-α-グリセロホスホコリン、グリセロホスホコリン、L-α-グリセリル-ホスホリルコリン、コリンアルフォスセラート
混同しやすいもの
注意点
- 基本的には非刺激性と考えられていますが、一部の人においてα-GPCが認知刺激作用を持つという報告があります。
- 必要条件ではありませんが、吸収を改善するため脂肪酸と一緒にα-GPCを摂取する方が良い可能性があります。
服用方法
推奨用量、有効量、その他の詳細
アルファ-GPCの重量の約40%はコリンのため、1,000mgのα-GPCは約400mgのコリンを含んでいます。一般的なラベルの用量では、α-GPCの標準用量は300~600mgとなっています。この用量は、筋出力を高めるためにα-GPCを用いた研究(600mg)および成長ホルモン分泌の増加が認められた研究に従っており、運動選手や未成年にとっては適した用量である可能性が高いです。認知機能の低下を軽減させる場合には、ほとんどすべての研究で1日1,200mgの用量を400mg×3回に分けて服用しています。低用量での服用が認知にどの程度効果を持つかは不明ですが、1,200mgの用量では効果を持つことが再現されています。ラットの研究では、α-GPCの用量が300~600mg / kgの時に効果のピークが見られており、人間に換算すると48~96mg / kgで、68kgの人の場合、1日当たり3,272~6,545mgが効果のピークとなる可能性があることを示唆しています。