主な薬効は、1.鎮痛作用 (1) 慢性絞扼神経損傷(CCI)モデルにおける抗アロディニア 作用 (2) 脊髄神経結紮(SNL)モデルにおける抗アロディニア作用 (3) ストレプトゾシン(STZ)糖尿病モデルにおける抗アロディニア作用 (4) 脊髄損傷後疼痛モデルにおける抗アロディニア作用 (5) 慢性筋骨格系疼痛モデルにおける抗アロディニア作用 (6) ホルマリンテストにおける自発痛に対する鎮痛作用 です。
注:本剤は海外で抗てんかん薬として承認されているが、本邦で承認されている本剤の効能・効果は「神経障害性疼痛、線維筋痛症に伴う疼痛」である。
コンテンツ
商品名
一般的名称 | 商品名 | 製造元 | 薬価 |
---|---|---|---|
プレガバリンカプセル(カプセル25mg・75mg・150mg) プレガバリン口腔内崩壊錠(OD錠25mg・75mg・150mg) | リリカカプセル25mg/リリカカプセル75mg/リリカカプセル150mg/リリカOD錠25mg/リリカOD錠75mg/リリカOD錠150mg | ファイザー株式会社 | データ無し |
禁忌
禁忌(次の患者には投与しないこと)
|
効果・効能
一般的名称: プレガバリンカプセル(カプセル25mg・75mg・150mg) プレガバリン口腔内崩壊錠(OD錠25mg・75mg・150mg);
効能又は効果
- 神経障害性疼痛、線維筋痛症に伴う疼痛
関連する疾病:
神経障害性疼痛, 線維筋痛症, 神経症, 神経痛, 疼痛
効能又は効果に関連する使用上の注意
- 線維筋痛症の診断は、米国リウマチ学会の分類(診断)基準等の国際的な基準に基づき慎重に実施し、確定診断された場合にのみ投与すること。
関連する疾病:
線維筋痛症
用法及び用量
- 神経障害性疼痛
- 通常、成人には初期用量としてプレガバリン1日150mgを1日2回に分けて経口投与し、その後1週間以上かけて1日用量として300mgまで漸増する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最高用量は600mgを超えないこととし、いずれも1日2回に分けて経口投与する。
- 線維筋痛症に伴う疼痛
- 通常、成人には初期用量としてプレガバリン1日150mgを1日2回に分けて経口投与し、その後1週間以上かけて1日用量として300mgまで漸増した後、300〜450mgで維持する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最高用量は450mgを超えないこととし、いずれも1日2回に分けて経口投与する。
用法及び用量に関連する使用上の注意
- 1.
- 本剤の投与を中止する場合には、少なくとも1週間以上かけて徐々に減量すること。[「重要な基本的注意」の項参照]
- 2.
- 本剤は主として未変化体が尿中に排泄されるため、腎機能が低下している患者では、血漿中濃度が高くなり副作用が発現しやすくなるおそれがあるため、患者の状態を十分に観察し、慎重に投与する必要がある。腎機能障害患者に本剤を投与する場合は、下記に示すクレアチニンクリアランス値を参考として本剤の投与量及び投与間隔を調節すること。また、血液透析を受けている患者では、クレアチニンクリアランス値に応じた1日用量に加えて、血液透析を実施した後に本剤の追加投与を行うこと。複数の用量が設定されている場合には、低用量から開始し、忍容性が確認され、効果不十分な場合に増量すること。なお、ここで示している用法・用量はシミュレーション結果に基づくものであることから、各患者ごとに慎重に観察しながら、用法・用量を調節すること。[「薬物動態」の項参照]
- 神経障害性疼痛
- クレアチニンクリアランス(mL/min):≧60
- 1日投与量:150〜600mg
初期用量:1回75mg1日2回
維持量:1回150mg1日2回
最高投与量:1回300mg1日2回
- クレアチニンクリアランス(mL/min):≧30-<60
- 1日投与量:75〜300mg
初期用量:1回25mg1日3回又は1回75mg1日1回
維持量:1回50mg1日3回又は1回75mg1日2回
最高投与量:1回100mg1日3回又は1回150mg1日2回
- クレアチニンクリアランス(mL/min):≧15-<30
- 1日投与量:25〜150mg
初期用量:1回25mg1日1回もしくは2回又は1回50mg1日1回
維持量:1回75mg1日1回
最高投与量:1回75mg1日2回又は1回150mg1日1回
- クレアチニンクリアランス(mL/min):<15
- 1日投与量:25〜75mg
初期用量:1回25mg1日1回
維持量:1回25又は50mg1日1回
最高投与量:1回75mg1日1回
- クレアチニンクリアランス(mL/min):血液透析後の補充用量
- 初期用量:25又は50mg
維持量:50又は75mg
最高投与量:100又は150mg
- 注:2日に1回、本剤投与6時間後から4時間血液透析を実施した場合のシミュレーション結果に基づく。
- 線維筋痛症に伴う疼痛
- クレアチニンクリアランス(mL/min):≧60
- 1日投与量:150〜450mg
初期用量:1回75mg1日2回
維持量:1回150mg1日2回
維持量(最高投与量):1回225mg1日2回
- クレアチニンクリアランス(mL/min):≧30-<60
- 1日投与量:75〜225mg
初期用量:1回25mg1日3回又は1回75mg1日1回
維持量:1回50mg1日3回又は1回75mg1日2回
維持量(最高投与量):1回75mg1日3回
- クレアチニンクリアランス(mL/min):≧15-<30
- 1日投与量:25〜150mg
初期用量:1回25mg1日1回もしくは2回又は1回50mg1日1回
維持量:1回75mg1日1回
維持量(最高投与量):1回100もしくは125mg1日1回又は1回75mg1日2回
- クレアチニンクリアランス(mL/min):<15
- 1日投与量:25〜75mg
初期用量:1回25mg1日1回
維持量:1回25又は50mg1日1回
維持量(最高投与量):1回50又は75mg1日1回
- クレアチニンクリアランス(mL/min):血液透析後の補充用量
- 初期用量:25又は50mg
維持量:50又は75mg
維持量(最高投与量):75又は100mg
- 注:2日に1回、本剤投与6時間後から4時間血液透析を実施した場合のシミュレーション結果に基づく。
- **
〔リリカOD錠のみ〕 - 3.
- 本剤は口腔内で崩壊するが、口腔粘膜からの吸収により効果発現を期待する製剤ではないため、唾液又は水で飲み込むこと。[「適用上の注意」の項参照]
臨床成績
一般的名称: プレガバリンカプセル(カプセル25mg・75mg・150mg) プレガバリン口腔内崩壊錠(OD錠25mg・75mg・150mg);
臨床成績
1.
国内臨床試験成績
- (1)
国内プラセボ対照試験 - 帯状疱疹後神経痛患者を対象とした13週間投与の二重盲検比較試験において、主要評価項目である最終評価時の疼痛スコアは下表のとおりであり、プレガバリン300mg/日群及び600mg/日群ではプラセボ群と比較して統計学的に有意な改善が認められた。
(表7参照)
糖尿病性末梢神経障害に伴う疼痛患者を対象とした13週間投与の二重盲検比較試験において、主要評価項目である最終評価時の疼痛スコアは下表のとおりであり、プレガバリン300mg/日群ではプラセボ群と比較して統計学的に有意な改善が認められた。
(表8参照)
線維筋痛症患者を対象とした16週間投与の二重盲検比較試験において、主要評価項目である最終評価時の疼痛スコアは下表のとおりであり、プレガバリン群(300〜450mg/日)でプラセボ群と比較して統計学的に有意な改善が認められた。
(表9参照)
- (2)
国内長期投与試験 - 帯状疱疹後神経痛患者126例、糖尿病性末梢神経障害に伴う疼痛患者123例、線維筋痛症患者106例又は中枢性神経障害性疼痛(脊髄損傷後疼痛、脳卒中後疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛)患者103例を対象とした長期投与試験(いずれも52週)における痛みの強度(0〜100mmのVisual Analog Scaleで値が大きいほど強い痛みを示す)の平均値は下表のとおりであった。
(表10-1、表10-2参照)
- 2.
国際共同臨床試験成績 - 脊髄損傷後疼痛患者を対象とした16週間投与の二重盲検比較試験において、主要評価項目である治療期の疼痛スコアは下表のとおりであり、プレガバリン群(150〜600mg/日)でプラセボ群と比較して統計学的に有意な改善が認められた。
(表11参照)
- 3.
外国臨床試験成績 - (1)
外国プラセボ対照試験 - 帯状疱疹後神経痛患者を対象とした二重盲検比較試験において、主要評価項目である最終評価時の疼痛スコアは下表のとおりであり、いずれの試験においてもプレガバリン300mg/日群及び600mg/日群ではプラセボ群と比較して統計学的に有意な改善が認められた。
(表12参照)
- (2)
外国長期投与試験 - 帯状疱疹後神経痛患者を対象とした長期投与試験1(154例,最長312週投与)及び2(275例,最長172週投与)における痛みの強度の平均値は下表のとおりであった。
(表13参照)
- 4.
食事の影響試験 - 日本人健康成人を対象として絶食時及び食後にプレガバリンを150mg単回経口投与した時の浮動性めまいの発現率は、食後投与5.3%(1/19例)と比べ絶食時投与30.8%(12/39例)で高かった。
-
表7
投与群 最終評価時の疼痛スコア
症例数最終評価時の疼痛スコア
最小二乗平均±標準誤差最終評価時の疼痛スコア
プラセボとの差
[95%信頼区間]最終評価時の疼痛スコア
p値プラセボ 97 5.12±0.19 − − プレガバリン150mg/日 86 4.81±0.20 -0.31[-0.85, 0.23] 0.262 プレガバリン300mg/日 89 4.26±0.20 -0.86[-1.39, -0.32] 0.002 プレガバリン600mg/日 97 4.49±0.19 -0.63[-1.15, -0.10] 0.019 注1:被験者が毎日記載する痛みの日誌から算出した1週間の平均疼痛スコア[0(痛みなし)から10(これ以上ない痛み)の11段階で評価され、スコアが大きいほど強い痛みを示す。]
注2:投与群及びCLcr層を因子、ベースラインの疼痛スコアを共変量とする共分散分析
注3:クレアチニンクリアランス推定値(CLcr)によって、30<CLcr≦60mL/minの被験者には300mg/日、>60mL/minの被験者には600mg/日が投与された。
表8
投与群 最終評価時の疼痛スコア
症例数最終評価時の疼痛スコア
最小二乗平均±標準誤差最終評価時の疼痛スコア
ベースラインからの変化量最小二乗平均±標準誤差最終評価時の疼痛スコア
プラセボとの差
[95%信頼区間]最終評価時の疼痛スコア
p値プラセボ 135 4.83±0.21 -1.20±0.21 − − プレガバリン300mg/日 134 4.20±0.22 -1.82±0.22 -0.63
[-1.09, -0.17]0.0075 プレガバリン600mg/日 45 4.08±0.32 -1.94±0.32 -0.74
[-1.39, -0.09]− 注4:被験者が毎日記載する痛みの日誌から算出した1週間の平均疼痛スコア[0(痛みなし)から10(これ以上ない痛み)の11段階で評価され、スコアが大きいほど強い痛みを示す。]
注5:投与群及びCLcr層を因子、ベースラインの疼痛スコアを共変量とする共分散分析(最終評価時の疼痛スコアのベースラインからの変化量におけるプレガバリン300mg/日群とプラセボ群との比較を主要目的とした。)
注6:クレアチニンクリアランス推定値(CLcr)によって、30<CLcr≦60mL/minの被験者には300mg/日、>60mL/minの被験者には600mg/日が投与された。
表9
投与群 最終評価時の疼痛スコア
症例数最終評価時の疼痛スコア
最小二乗平均±標準誤差最終評価時の疼痛スコア
プラセボとの差
[95%信頼区間]最終評価時の疼痛スコア
p値プラセボ 248 5.45±0.12 − − プレガバリン300-450mg/日 250 5.01±0.12 -0.44[-0.78, -0.11] 0.0046 注7:被験者が毎日記載する痛みの日誌から算出した1週間の平均疼痛スコア[0(痛みなし)から10(これ以上ない痛み)の11段階で評価され、スコアが大きいほど強い痛みを示す。]
注8:投与群を因子、ベースラインの疼痛スコアを共変量とする共分散分析
表10-1
評価時点 痛みの強度(mm)
帯状疱疹後神経痛
評価例数痛みの強度(mm)
帯状疱疹後神経痛
平均値±標準偏差痛みの強度(mm)
糖尿病性末梢神経障害に伴う疼痛
評価例数痛みの強度(mm)
糖尿病性末梢神経障害に伴う疼痛
平均値±標準偏差投与前 126 62.0±19.0 123 52.8±21.7 12週 116 35.3±22.3 119 30.0±23.0 24週 105 34.0±23.0 112 27.7±22.0 52週 94 28.3±22.9 97 24.8±20.8 注:0〜100mmのVisual Analog Scaleで値が大きいほど強い痛みを示す。
表10-2
評価時点 痛みの強度(mm)
線維筋痛症
評価例数痛みの強度(mm)
線維筋痛症
平均値±標準偏差痛みの強度(mm)
中枢性神経障害性疼痛
評価例数痛みの強度(mm)
中枢性神経障害性疼痛
平均値±標準偏差投与前 106 61.8±23.5 103 67.1±16.6 12週 104 48.9±23.3 98 44.3±26.9 28週 101 48.3±23.8 92 46.3±27.1 52週 87 47.1±24.8 85 44.9±27.0 注:0〜100mmのVisual Analog Scaleで値が大きいほど強い痛みを示す。
表11
投与群 疼痛スコア
症例数疼痛スコア
治療期のベースラインからの平均変化量
最小二乗平均±標準誤差疼痛スコア
プラセボとの差[95%信頼区間]疼痛スコア
p値プラセボ 106 -1.07±0.149 − − プレガバリン150-600mg/日 105 -1.66±0.157 -0.59[-0.98, -0.20] 0.0032 注1:治験薬の投与は、150mg/日から開始し、第2週より適宜増減を行い、第4週終了時に決定した至適用量にて第5週から第16週まで維持することとした。
注2:被験者が毎日記載する痛みの日誌[0(痛みなし)から10(これ以上ない痛み)の11段階で評価され、スコアが大きいほど強い痛みを示す。]から算出した治療期(16週間)の疼痛スコアのベースラインからの平均変化量を投与期間で調整した。
治療期のベースラインからの平均変化量=
[治療期(16週間)の平均疼痛スコア−ベースラインの平均疼痛スコア]×[各被験者の投与期間/投与期間(16週間)]
注3:投与群および施設を因子、ベースラインの疼痛スコアおよび痛みに関する思考の評価の総スコアを共変量とする共分散分析
表12
臨床試験
(評価期間)投与群 最終評価時の疼痛スコア
症例数最終評価時の疼痛スコア
最小二乗平均±標準誤差最終評価時の疼痛スコア
プラセボとの差
[95%信頼区間]最終評価時の疼痛スコア
p値外国用量反応試験 1
(13週間)プラセボ 93 6.14±0.23 − − 1
(13週間)プレガバリン150mg/日 87 5.26±0.24 -0.88
[-1.53, -0.23]0.0077 1
(13週間)プレガバリン300mg/日 98 5.07±0.23 -1.07
[-1.70, -0.45]0.0016 1
(13週間)プレガバリン600mg/日 88 4.35±0.24 -1.79
[-2.43, -1.15]0.0003 外国第II/III相試験 2
(5週間)プラセボ 87 5.59±0.21 − − 2
(5週間)プレガバリン75mg/日 83 5.46±0.21 -0.14
[-0.71, 0.43]0.7999 2
(5週間)プレガバリン150mg/日 82 5.52±0.22 -0.07
[-0.64, 0.50]0.7999 3
(8週間)プラセボ 81 6.33±0.22 − − 3
(8週間)プレガバリン150mg/日 81 5.14±0.22 -1.20
[-1.81, -0.58]0.0002 3
(8週間)プレガバリン300mg/日 76 4.76±0.23 -1.57
[-2.20, -0.95]0.0002 4
(8週間)プラセボ 84 5.29±0.24 − − 4
(8週間)プレガバリン600mg/日 88 3.60±0.24 -1.69
[-2.33, -1.05]0.0001 注1:被験者が毎日記載する痛みの日誌から算出した1週間の平均疼痛スコア[0(痛みなし)から10(これ以上ない痛み)の11段階で評価され、スコアが大きいほど強い痛みを示す。]
注2:試験1及び4:投与群、施設及びCLcr層を因子、ベースラインの疼痛スコアを共変量とする共分散分析
試験2及び3:投与群及び施設を因子、ベースラインの疼痛スコアを共変量とする共分散分析
注3:クレアチニンクリアランス推定値(CLcr)によって、30<CLcr≦60mL/minの被験者には300mg/日、>60mL/minの被験者には600mg/日が投与された。
表13
評価時点 痛みの強度(mm)
長期投与試験1
評価例数痛みの強度(mm)
長期投与試験1
平均値±標準偏差痛みの強度(mm)
長期投与試験2
評価例数痛みの強度(mm)
長期投与試験2
平均値±標準偏差投与前 154 69.4±18.7 275 67.3±17.9 12週 114 42.8±26.1 211 40.3±25.4 24週 91 40.5±25.1 173 41.4±24.9 52週 63 38.3±24.6 122 35.7±24.2 104週 32 36.8±23.2 78 32.5±24.1 注:0〜100mmのVisual Analog Scaleで値が大きいほど強い痛みを示す。
副作用
一般的名称: プレガバリンカプセル(カプセル25mg・75mg・150mg) プレガバリン口腔内崩壊錠(OD錠25mg・75mg・150mg);
副作用
副作用等発現状況の概要
- 帯状疱疹後神経痛
- 国内用量反応試験、国内長期投与試験、外国後期第
II相試験、外国第
III相試験及び外国長期投与試験において、本剤75〜600mg/日を1日2回あるいは1日3回で投与された安全性評価対象例1,680例中1,084例(64.5%)に副作用が認められた。主な副作用は、浮動性めまい393例(23.4%)、傾眠267例(15.9%)及び浮腫179例(10.7%)であった。(承認時までの調査の集計) - 糖尿病性末梢神経障害に伴う疼痛
- 国内二重盲検比較試験、国内長期投与試験において、本剤150〜600mg/日を1日2回で投与された安全性評価対象例302例中199例(65.9%)に副作用が認められた。主な副作用は、傾眠74例(24.5%)、浮動性めまい68例(22.5%)及び浮腫52例(17.2%)であった。(承認時までの調査の集計)
- 脊髄損傷後疼痛、脳卒中後疼痛及び多発性硬化症に伴う疼痛
- 脊髄損傷後疼痛患者を対象とした国際共同二重盲検比較試験及び脊髄損傷後疼痛、脳卒中後疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛を対象とした国内長期投与試験において、本剤150〜600mg/日を1日2回で投与された安全性評価対象例215例中165例(76.7%)に副作用が認められた。主な副作用は、傾眠87例(40.5%)、浮動性めまい43例(20.0%)及び浮腫40例(18.6%)であった。(承認時までの調査の集計)
- 線維筋痛症
- 国内二重盲検比較試験、国内長期投与試験において、本剤300〜450mg/日を1日2回で投与された安全性評価対象例356例中295例(82.9%)に副作用が認められた。主な副作用は、傾眠141例(39.6%)、浮動性めまい98例(27.5%)及び体重増加56例(15.7%)であった。(承認時までの調査の集計)
重大な副作用
- 1.
めまい(20%以上)
、傾眠(20%以上)
、意識消失(0.3%未満) - めまい、傾眠、意識消失があらわれ、転倒し骨折等に至ったとの報告があるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止又は減量するなど、適切な処置を行うこと。
- 2.
心不全(0.3%未満)
、肺水腫(頻度不明) - 心不全、肺水腫があらわれるとの報告がある(特に心血管障害を有する患者)。心不全のリスクがある患者では、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 3.
横紋筋融解症(頻度不明) - 横紋筋融解症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること。
- 4.
腎不全(0.1%未満) - 腎不全があらわれるとの報告があるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 5.
血管浮腫(頻度不明) - 血管浮腫等の過敏症があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 6.
低血糖(0.3%未満) - 低血糖があらわれることがあるので、脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、意識障害等の低血糖症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 7.
間質性肺炎(頻度不明) - 間質性肺炎があらわれることがあるので、咳嗽、呼吸困難、発熱等の臨床症状を十分に観察し、異常が認められた場合には胸部X線、胸部CT等の検査を実施すること。間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
- 8.
ショック(頻度不明)
、アナフィラキシー(0.1%未満) - ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 9.
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)
、多形紅斑(頻度不明) - 皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 10.
劇症肝炎(頻度不明)
、肝機能障害(0.4%) - 劇症肝炎、AST(GOT)、ALT(GPT)上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 注:自発報告又は海外での症例のため頻度不明
その他の副作用
- 次のような副作用が認められた場合には、必要に応じ、減量、投与中止等の適切な処置を行うこと。
- 1.
血液及びリンパ系障害(0.3%以上1%未満) - 好中球減少症、白血球減少症
- 2.
血液及びリンパ系障害(0.3%未満) - 血小板減少症
- 3.
代謝及び栄養障害(0.3%以上1%未満) - 食欲不振、食欲亢進、高脂血症
- 4.
代謝及び栄養障害(0.3%未満) - 高血糖
- 5.
精神障害(1%以上) - 不眠症
- 6.
精神障害(0.3%以上1%未満) - 錯乱、失見当識、多幸気分、異常な夢、幻覚
- 7.
精神障害(0.3%未満) - うつ病、落ち着きのなさ、気分動揺、抑うつ気分、無感情、不安、リビドー消失、睡眠障害、思考異常
- 8.
精神障害(頻度不明) - 離人症、無オルガズム症、激越、喚語困難、リビドー亢進、パニック発作、脱抑制
- 9.
神経系障害(1%以上) - 浮動性めまい、頭痛、平衡障害、運動失調
- 10.
神経系障害(0.3%以上1%未満) - 振戦、注意力障害、感覚鈍麻、嗜眠、構語障害、記憶障害、健忘、錯感覚、協調運動異常
- 11.
神経系障害(0.3%未満) - 鎮静、認知障害、ミオクローヌス、反射消失、ジスキネジー、精神運動亢進、体位性めまい、知覚過敏、味覚異常、灼熱感、失神、精神的機能障害、会話障害
- 12.
神経系障害(頻度不明) - 昏迷、嗅覚錯誤、書字障害
- 13.
眼障害(1%以上) - 霧視、複視、視力低下
- 14.
眼障害(0.3%以上1%未満) - 視覚障害、網膜出血
- 15.
眼障害(0.3%未満) - 視野欠損、眼部腫脹、眼痛、眼精疲労、流涙増加、光視症、斜視、眼乾燥、眼振
- 16.
眼障害(頻度不明) - 眼刺激、散瞳、動揺視、深径覚の変化、視覚の明るさ、角膜炎
- 17.
耳及び迷路障害(1%以上) - 回転性めまい
- 18.
耳及び迷路障害(0.3%以上1%未満) - 耳鳴
- 19.
耳及び迷路障害(0.3%未満) - 聴覚過敏
- 20.
心臓障害(0.3%以上1%未満) - 動悸
- 21.
心臓障害(0.3%未満) - 第一度房室ブロック、頻脈、洞性不整脈、洞性徐脈、心室性期外収縮
- 22.
心臓障害(頻度不明) - 洞性頻脈
- 23.
血管障害(0.3%以上1%未満) - 高血圧、低血圧、ほてり
- 24.
呼吸器、胸郭及び縦隔障害(0.3%以上1%未満) - 呼吸困難
- 25.
呼吸器、胸郭及び縦隔障害(0.3%未満) - 鼻咽頭炎、咳嗽、いびき、鼻出血、鼻炎
- 26.
呼吸器、胸郭及び縦隔障害(頻度不明) - 鼻乾燥、鼻閉、咽喉絞扼感
- 27.
胃腸障害(1%以上) - 便秘、悪心、下痢、腹痛、嘔吐
- 28.
胃腸障害(0.3%以上1%未満) - 腹部膨満、消化不良、鼓腸、胃炎、胃不快感、口内炎
- 29.
胃腸障害(0.3%未満) - 流涎過多、胃食道逆流性疾患、膵炎、舌腫脹
- 30.
胃腸障害(頻度不明) - 腹水、嚥下障害
- 31.
皮膚及び皮下組織障害(1%以上) - 発疹
- 32.
皮膚及び皮下組織障害(0.3%以上1%未満) - そう痒症、湿疹、眼窩周囲浮腫
- 33.
皮膚及び皮下組織障害(0.3%未満) - 多汗症、冷汗、蕁麻疹、脱毛
- 34.
皮膚及び皮下組織障害(頻度不明) - 丘疹
- 35.
筋骨格系及び結合組織障害(0.3%以上1%未満) - 筋力低下、筋痙縮、関節腫脹、四肢痛、背部痛
- 36.
筋骨格系及び結合組織障害(0.3%未満) - 筋肉痛、重感、関節痛、筋骨格硬直
- 37.
腎及び尿路障害(0.3%以上1%未満) - 尿失禁症、排尿困難
- 38.
腎及び尿路障害(0.3%未満) - 尿閉
- 39.
腎及び尿路障害(頻度不明) - 乏尿
- 40.
生殖系及び乳房障害(0.3%未満) - 乳房痛、勃起不全、女性化乳房
- 41.
生殖系及び乳房障害(頻度不明) - 射精遅延、性機能不全、無月経症、乳房分泌、月経困難症、乳房肥大
- 42.
全身障害及び投与局所様態(1%以上) - 浮腫、口渇、疲労、異常感、歩行障害、顔面浮腫
- 43.
全身障害及び投与局所様態(0.3%以上1%未満) - 無力症、疼痛、圧痕浮腫、倦怠感、胸痛
- 44.
全身障害及び投与局所様態(0.3%未満) - 発熱、冷感、悪寒、易刺激性、酩酊感
- 45.
全身障害及び投与局所様態(頻度不明) - 胸部絞扼感
- 46.
傷害、中毒及び処置合併症(1%以上) - 転倒・転落
- 47.
臨床検査(1%以上) - 体重増加
- 48.
臨床検査(0.3%以上1%未満) - 血中CPK(CK)増加、ALT(GPT)増加、AST(GOT)増加、血中アミラーゼ増加、血中クレアチニン増加
- 49.
臨床検査(0.3%未満) - 体重減少、血中尿酸増加
- 50.
臨床検査(頻度不明) - 血中カリウム減少
- 注:国内未承認効能に対する外国臨床データ及び海外市販後データを含むため頻度不明
注意事項
一般的名称: プレガバリンカプセル(カプセル25mg・75mg・150mg) プレガバリン口腔内崩壊錠(OD錠25mg・75mg・150mg);
コンテンツ
貯法・使用期限等
- 貯法
- 室温保存
- 使用期限
- 最終年月を外箱等に記載
貯法・使用期限等
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慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
- 1.
- 腎機能障害のある患者[「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「薬物動態」の項参照]
- 2.
- 重度のうっ血性心不全の患者[心血管障害を有する患者において、うっ血性心不全があらわれることがある。(「副作用」の項参照)]
- 3.
- 高齢者[「重要な基本的注意」及び「高齢者への投与」の項参照]
- 4.
- 血管浮腫の既往がある患者[「副作用」の項参照]
重要な基本的注意
- 1.
- 本剤の投与によりめまい、傾眠、意識消失等があらわれ、自動車事故に至った例もあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
特に高齢者ではこれらの症状により転倒し骨折等を起こした例があるため、十分に注意すること。 - 2.
- 本剤の急激な投与中止により、不眠、悪心、頭痛、下痢、不安及び多汗症等の症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、少なくとも1週間以上かけて徐々に減量すること。
- 3.
- 本剤の投与により体重増加を来すことがあるので、肥満に注意し、肥満の徴候があらわれた場合は、食事療法、運動療法等の適切な処置を行うこと。特に、投与量の増加、あるいは長期投与に伴い体重増加が認められることがあるため、定期的に体重計測を実施すること。
- 4.
- 本剤の投与により、弱視、視覚異常、霧視、複視等の眼障害が生じる可能性があるので、診察時に、眼障害について問診を行う等注意し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。[「その他の注意」の項参照]
- 5.
- 本剤による神経障害性疼痛の治療は原因療法ではなく対症療法であることから、疼痛の原因となる疾患の診断及び治療を併せて行い、本剤を漫然と投与しないこと。
高齢者への投与
- 高齢者では腎機能が低下していることが多いため、クレアチニンクリアランス値を参考に投与量、投与間隔を調節するなど、慎重に投与すること。[「用法・用量に関連する使用上の注意」、「慎重投与」及び「薬物動態」の項参照]
また、高齢者ではめまい、傾眠、意識消失等により転倒し骨折等を起こした例があるため、十分に注意すること。[「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照]
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
- 1.
妊婦 - 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験で、胎児異常(低体重、限局性浮腫の発生率上昇、骨格変異、骨化遅延等)、出生児への影響(体重低下、生存率の低下、聴覚性驚愕反応の低下、発育遅延、生殖能に対する影響等)が報告されている。]
- 2.
授乳婦 - 授乳中の婦人には、本剤投与中は授乳を避けさせること。[本剤はヒト母乳中への移行が認められている。(「薬物動態」の項参照)]
小児等への投与
- 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。(国内臨床試験において使用経験はない)[幼若ラットでは本薬の感受性が高く、最大臨床用量(600mg/日)と同等の曝露において、中枢神経症状(自発運動亢進及び歯ぎしり)及び成長への影響(一過性の体重増加抑制)が報告されている。また、最大臨床用量の2倍を超える曝露で聴覚性驚愕反応の低下が、約5倍の曝露で発情休止期の延長が報告されている。]
適用上の注意
- 1.
薬剤交付時 - PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
- 2. **
服用時(リリカOD錠のみ) - 本剤は舌の上にのせ唾液を湿潤させ、唾液のみで服用可能である。また、水で服用することもできる。
その他の注意
- 1.
- 海外で実施された本剤を含む複数の抗てんかん薬における、てんかん、精神疾患等を対象とした199のプラセボ対照臨床試験の検討結果において、自殺念慮及び自殺企図の発現のリスクが、抗てんかん薬の服用群でプラセボ群と比較して約2倍高く(抗てんかん薬服用群:0.43%、プラセボ群:0.24%)、抗てんかん薬の服用群では、プラセボ群と比べ1000人あたり1.9人多いと計算された(95%信頼区間:0.6-3.9)。また、てんかん患者のサブグループでは、プラセボ群と比べ1000人あたり2.4人多いと計算されている。
注:本剤は海外で抗てんかん薬として承認されているが、本邦における本剤の効能・効果は「神経障害性疼痛、線維筋痛症に伴う疼痛」である。
- 2.
- 2年間のマウス癌原性試験において、最大臨床用量での平均ヒト曝露量の6倍以上の曝露量に相当する本薬の投与により、用量依存的に血管肉腫の発生率が増加したとの報告がある。
- 3.
- 2年間のラット癌原性試験において、最大臨床用量での平均ヒト曝露量の5倍以上の曝露量に相当する本薬の投与により、加齢アルビノラットに通常認められる網膜萎縮の発現率が増加したとの報告がある。また、ラットを用いた組織分布試験において、水晶体でのC-プレガバリン由来放射能の消失は血液及びほとんどの組織にくらべ緩徐であったが、ラット13及び52週間反復投与毒性試験では水晶体に対する影響は認められなかった。眼に関する副作用の発現率はプラセボ群より高く、神経障害性疼痛を対象とした13〜16週間投与のプラセボ対照試験(3試験併合)のプラセボ群では3.8%に対し、本剤群(150〜600mg/日)で10.6%、長期投与試験(3試験併合)では10.2%、線維筋痛症を対象とした16週間投与のプラセボ対照試験のプラセボ群では2.8%に対し、本剤群(300〜450mg/日)で9.2%、長期投与試験では9.4%であった。
- 4.
- 雄ラットの受胎能及び初期胚発生に関する試験において、最大臨床用量での平均ヒト曝露量の28倍以上の曝露量に相当する本薬の投与により、胎児異常の発生頻度が増加したとの報告がある。
相互作用
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
- 1.
薬剤名等 中枢神経抑制剤オピオイド系鎮痛剤 - 臨床症状・措置方法
- 呼吸不全、昏睡がみられたとの報告がある。
- 機序・危険因子
- 機序不明
- 2.
薬剤名等 オキシコドンロラゼパムアルコール(飲酒)
- 臨床症状・措置方法
- 認知機能障害及び粗大運動機能障害に対して本剤が相加的に作用するおそれがある。
- 機序・危険因子
- 相加的な作用による
- 3.
薬剤名等 血管浮腫を引き起こす薬剤(アンジオテンシン変換酵素阻害薬等) - 臨床症状・措置方法
- 血管浮腫との関連性が示されている薬剤を服用している患者では、血管浮腫(顔面、口、頸部の腫脹など)を発症するリスクが高まるおそれがある。
- 機序・危険因子
- 機序不明
- 4.
薬剤名等 末梢性浮腫を引き起こす薬剤(チアゾリジン系薬剤等) - 臨床症状・措置方法
- チアゾリジン系薬剤と本剤の併用により末梢性浮腫を発症するリスクが高まるおそれがある。また、チアゾリジン系薬剤は体重増加又は体液貯留を引き起こし、心不全が発症又は悪化することがあるため、本剤と併用する場合には慎重に投与すること。
- 機序・危険因子
- 機序不明