主な薬効は、1. 抗うつ作用 2.抗不安作用 3.5-HT2C受容体作動薬による自発運動量減少に対する作用 です。
コンテンツ
商品名
禁忌
禁忌(次の患者には投与しないこと)
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併用禁忌(併用しないこと)
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効果・効能
一般的名称: 塩酸セルトラリン錠 塩酸セルトラリン口腔内崩壊錠;
効能又は効果
- *うつ病・うつ状態、パニック障害、外傷後ストレス障害
関連する疾病:
パニック障害, うつ状態, うつ病, 外傷
効能又は効果に関連する使用上の注意
- 1.
- 抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。[「その他の注意」の項参照]
- 2.
- 海外で実施された6〜17歳の大うつ病性障害患者を対象としたプラセボ対照臨床試験において有効性が確認できなかったとの報告がある。本剤を18歳未満の大うつ病性障害患者に投与する際には適応を慎重に検討すること。[「小児等への投与」の項参照]
- 3.
- *外傷後ストレス障害の診断は、DSM等の適切な診断基準に基づき慎重に実施し、基準を満たす場合にのみ投与すること。
DSM:American Psychiatric Association(米国精神医学会)のDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(精神疾患の診断・統計マニュアル)
関連する疾病:
自殺念慮, 自殺企図, 適応障害, 精神障害, うつ病, 自殺, 切断, 外傷
用法及び用量
- 通常、成人にはセルトラリンとして1日25mgを初期用量とし、1日100mgまで漸増し、1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により1日100mgを超えない範囲で適宜増減する。
用法及び用量に関連する使用上の注意
- 1.
- 本剤の投与量は、予測される効果を十分に考慮し、必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら調節すること。[「臨床成績」の項参照]
- 2.
- *外傷後ストレス障害患者においては、症状の経過を十分に観察し、本剤を漫然と投与しないよう、定期的に本剤の投与継続の要否について検討すること。
- 〔ジェイゾロフトOD錠のみ〕
- 3.
- 本剤は口腔内で崩壊するが、口腔粘膜から吸収されることはないため、唾液又は水で飲み込むこと。[「適用上の注意」の項参照]
臨床成績
一般的名称: 塩酸セルトラリン錠 塩酸セルトラリン口腔内崩壊錠;
臨床成績
- (1)
うつ病・うつ状態 - うつ病・うつ状態に対する二重盲検比較試験及び一般臨床試験を総合した場合、本剤の改善率は55.7%(491/882例)であった。初期用量で効果が認められない患者においても、増量することで効果が認められた。ただし、第
III相試験では塩酸トラゾドン、及び塩酸アミトリプチリンと比較する二つの二重盲検比較試験が行われたが、有効性について両薬剤と同等、あるいはそれ以上の効果を有することは検証されなかった。ランダム化治療中止試験における主要評価項目である本剤の再燃率は8.5%(10/117例)であり、プラセボの19.5%(23/118例)に比べ、統計的に有意に低かった。また、Kaplan-Meier法による再燃−時間の推定曲線から、本剤の再燃率は二重盲検期を通してプラセボに比べて統計的に有意に低く推移した。副次的評価項目であるハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)合計点の増加はプラセボに比べて統計的に有意に少なく、Quality of Life Enjoyment and Satisfaction Questionnaire(Q-LES-Q)スコアにおいてもプラセボに比べて統計的に有意な改善が、二重盲検期において認められた。
-
Kaplan-Meier法による再燃−時間曲線
(表1参照)
- 本剤は臨床試験において、本剤を用いた治療によって改善の得られたうつ状態の再燃を抑える点でプラセボより優れていることを検証したが、うつ状態の改善における有効性では、すでに発売されている抗うつ薬(トラゾドン塩酸塩及びアミトリプチリン塩酸塩)と同等あるいはそれ以上の効果があることを検証していない。
- <参考:外国人での成績>
- 海外における大うつ病患者に対するプラセボを対照とした7つの二重盲検比較試験において、本剤(50〜200mg/日)は全ての試験でプラセボに比べてHAM-D合計点の減少幅が大きく、5試験でプラセボに比べて統計的に有意な差が認められた。また、プラセボを対照とした二重盲検比較試験による再燃/再発抑制試験では、本剤の再燃/再発率はプラセボに比べ、統計的に有意に低かった。
- (2)
パニック障害 - パニック障害に対する二重盲検比較試験及び一般臨床試験を総合した場合、本剤投与前のパニック発作の回数(平均)は5.2回/週(459例)であり、終了・中止時には1.5回/週(459例)まで減少し、改善率は72.7%(352/484例)であった。初期用量で効果が認められない患者においても、増量することで効果が認められた。ただし、後期第
II相試験ではプラセボ群、本剤25-75mg群(低用量群)、50-150mg群(高用量群)の3群間で二重盲検比較試験が行われた結果、全般改善度ではプラセボ群との間に有意差は認められなかった。また、パニック発作の回数では、投与前の発作回数に群間で不均衡がみられたが、プラセボに比べて高用量群では有意な減少は認められなかったものの、低用量群において有意な減少が認められた。ランダム化治療中止試験における主要評価項目である本剤の再燃率は10.1%(12/119例)であり、プラセボの13.2%(16/121例)に比べて低かったが、有意差は認められなかった。また、Kaplan-Meier法による再燃−時間の推定曲線から、本剤の再燃率は二重盲検期を通してプラセボに比べて低く推移したが有意な差は認められなかった。副次的評価項目である全般改善度における改善率、パニック発作の回数、パニック障害重症度評価尺度(PDSS)合計点においては二重盲検期において、プラセボに比べて統計的に有意な差が認められた。
-
Kaplan-Meier法による再燃−時間曲線
(表2参照)
- 本剤低用量群と高用量群、及びプラセボ群との比較において、プラセボ群と低用量群との間にはパニック発作回数の減少に有意差を認めたが、高用量群との間には有意差は認めていない。また改善の得られたパニック障害の再燃を抑える試験では、再燃率においてプラセボ群との間に有意差を認めていない。
パロキセチンを対照とした二重盲検比較試験(製造販売後臨床試験)における主要評価項目である12週・中止時のPanic and Agoraphobia Scale(PAS)合計点において、本剤の有効性はパロキセチンと同程度であった。
(表3参照)
- <参考:外国人での成績>
- 海外におけるパニック障害に対するプラセボを対照とした4つの二重盲検比較試験において、本剤(50〜200mg/日)は全ての試験でプラセボに比べて改善が認められ、発作回数では3試験、全般改善度では2試験でプラセボに比べて統計的に有意な差が認められた。また、プラセボを対照とした二重盲検比較試験による再燃/再発抑制試験では、本剤の再燃/再発率はプラセボに比べ、統計的に有意に低かった。
- 注)本剤の承認用量は1日100mgまでである[「用法・用量」の項参照]。
1.
臨床効果
-
表1 有効性評価項目の成績
塩酸セルトラリン群
(症例数:117)塩酸セルトラリン群
(症例数:117)プラセボ群
(症例数:118)プラセボ群
(症例数:118)二重盲検期開始時 終了・中止時 二重盲検期開始時 終了・中止時 HAM-D合計点 8.3±3.4 6.3±6.2 8.1±3.3 9.7±7.2 全般改善度における改善率 81.2%
(95/117)84.6%
(99/117)87.3%
(103/118)67.8%
(80/118)Q-LES-Qスコア 62.9±11.2 67.4±15.3 64.2±10.4 61.3±12.6 a)Q-LES-Qスコアにおける終了・中止時の症例数は116例
表2 有効性評価項目の成績
塩酸セルトラリン群
(症例数:119)塩酸セルトラリン群
(症例数:119)プラセボ群
(症例数:121)プラセボ群
(症例数:121)二重盲検期開始時 終了・中止時 二重盲検期開始時 終了・中止時 全般改善度における改善率 100%
(119/119)89.9%
(107/119)100%
(121/121)74.4%
(90/121)パニック発作の回数(回/週) 0.8±1.7 0.6±1.3 0.9±2.1 1.0±1.8 PDSS合計点 5.7±3.6 4.3±4.1 6.5±3.7 6.4±4.7 a)対数変換を施し解析を実施した
**表3 Panic and Agoraphobia Scale(PAS)合計点(Efficacy Evaluable Set)
対象例数 セルトラリン パロキセチン 対象例数 120 117 調整済み平均(95%信頼区間) −17.5(−19.0,−16.0) −16.7(−18.2,−15.1) 調整済み平均の差(95%信頼区間) −0.9(−3.0,1.3) −0.9(−3.0,1.3) a)ベースラインのPAS合計点で調整
副作用
一般的名称: 塩酸セルトラリン錠 塩酸セルトラリン口腔内崩壊錠;
副作用
副作用等発現状況の概要
- **うつ病・うつ状態患者及びパニック障害患者を対象とした国内臨床試験において、本剤が投与された総症例1478例中881例(59.6%)に2075件の副作用が発現した。主な副作用は、悪心
279例(18.9%)、傾眠
225例(15.2%)、口内乾燥
137例(9.3%)、頭痛
115例(7.8%)、下痢
95例(6.4%)、浮動性めまい
74例(5.0%)であった。
(承認時)製造販売後の使用成績調査及び特定使用成績調査において、本剤が短期間投与(投与開始後16週まで)された総症例3064例中365例(11.9%)に455件の副作用が発現した。主な副作用は、悪心118例(3.9%)、傾眠39例(1.3%)、下痢39例(1.3%)であった。また、本剤が長期間投与(投与開始後16週から52週まで)された総症例1143例中101例(8.8%)に121件の副作用が発現した。主な副作用は、傾眠21例(1.8%)、悪心18例(1.6%)であった。(再審査終了時)
パニック障害患者を対象とした国内製造販売後臨床試験において、本剤が投与された治療期の総症例147例中100例(68.0%)に243件の副作用が発現した。主な副作用は、悪心30例(20.4%)、傾眠30例(20.4%)、下痢22例(15.0%)であった。漸減期の総症例125例中58例(46.4%)に215件の副作用が発現した。主な副作用は、浮動性めまい36例(28.8%)、不安15例(12.0%)であった。(再審査終了時)
重大な副作用
- 1.
セロトニン症候群(頻度不明) - 不安、焦燥、興奮、錯乱、発汗、下痢、発熱、高血圧、固縮、頻脈、ミオクロヌス、自律神経不安定等があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。
- 2.
悪性症候群(頻度不明) - 無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合がある。抗精神病剤との併用時にあらわれることが多いため、特に注意すること。異常が認められた場合には、抗精神病剤及び本剤の投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発現時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。
- 3.
痙攣(頻度不明)
、昏睡(頻度不明) - 痙攣、昏睡があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 4.
肝機能障害(頻度不明) - 肝不全、肝炎、黄疸があらわれることがあるので、必要に応じて肝機能検査を行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 5.
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明) - 低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
- 6.
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明) - 中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
- 7.
アナフィラキシー(頻度不明) - アナフィラキシー(呼吸困難、喘鳴、血管浮腫等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 8.
QT延長、心室頻拍(torsades de pointesを含む)(頻度不明) - QT延長、心室頻拍(torsades de pointesを含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 注:自発報告又は海外での報告のため頻度不明
その他の副作用
- 次のような副作用が認められた場合には、必要に応じ、減量、投与中止等の適切な処置を行うこと。
- 1.
精神系(1%以上) - 睡眠障害(不眠等)、錯乱状態
- 2.
精神系(1%未満) - 悪夢、易刺激性、易興奮性、うつ病、躁病、精神症、多幸症、リビドー減退、記憶障害、注意力障害
- 3.
精神系(頻度不明) - 攻撃的反応、不安、焦燥、興奮、幻覚
- 4.
神経系(1%以上) - 傾眠、頭痛、浮動性めまい、振戦、感覚減退
- 5.
神経系(1%未満) - 起立性めまい、味覚異常、頭部不快感、運動障害(アカシジア、錐体外路症状、運動過多、歯ぎしり、歩行異常等)、錯感覚
- 6.
神経系(頻度不明) - 不随意性筋収縮、ジスキネジー、ジストニー、片頭痛、失神
- 7.
感覚器(1%未満) - 調節障害、視覚異常(霧視、羞明、視力低下等)、耳鳴、耳閉感、回転性眩暈
- 8.
感覚器(頻度不明) - 散瞳
- 9.
循環器(1%以上) - 動悸
- 10.
循環器(1%未満) - 起立性低血圧、血圧低下、血圧上昇、頻脈
- 11.
肝臓(1%以上) - ALT(GPT)増加、AST(GOT)増加、γ-GTP増加
- 12.
肝臓(1%未満) - LDH増加、Al-P増加、総ビリルビン増加、直接ビリルビン増加
- 13.
血液(1%未満) - 白血球数増加又は減少、単球増加、血小板数減少、出血傾向(鼻出血、胃腸出血、血尿等)
- 14.
血液(頻度不明) - 血小板機能異常、紫斑、斑状出血、皮下出血
- 15.
消化器系(1%以上) - 悪心・嘔吐、口内乾燥、下痢・軟便、便秘、腹部不快感、腹痛、腹部膨満、消化不良、食欲不振
- 16.
消化器系(1%未満) - 胃腸障害、食欲亢進
- 17.
消化器系(頻度不明) - 膵炎
- 18.
過敏症(1%以上) - 発疹
- 19.
過敏症(1%未満) - 蕁麻疹、そう痒症、顔面浮腫、眼窩周囲浮腫
- 20.
過敏症(頻度不明) - 光線過敏性反応
- 21.
泌尿器・生殖器(1%未満) - 排尿困難、尿閉、頻尿、性機能障害(射精遅延、持続勃起症等)、月経障害
- 22.
泌尿器・生殖器(頻度不明) - 尿失禁症・夜尿、乳汁漏出症、女性化乳房
- 23.
筋・骨格系(1%未満) - 背部痛、関節痛、筋緊張異常(筋硬直、筋緊張亢進、筋痙攣等)
- 24. **
筋・骨格系(頻度不明) - 開口障害
- 25.
代謝・内分泌(1%未満) - 総蛋白減少、総コレステロール増加、尿糖、尿蛋白
- 26.
代謝・内分泌(頻度不明) - 甲状腺機能低下症、低ナトリウム血症、高プロラクチン血症、血糖異常
- 27.
その他(1%以上) - 倦怠感、多汗(発汗、寝汗等)
- 28.
その他(1%未満) - 無力症、熱感、異常感、胸痛、胸部圧迫感、疲労、発熱、ほてり、悪寒、体重減少、体重増加、末梢性浮腫、あくび、脱毛症
- 29.
その他(頻度不明) - 気管支痙攣
- **注:自発報告又は海外での報告のため頻度不明
発現頻度は、承認時の国内臨床試験の結果に基づいている。
注意事項
一般的名称: 塩酸セルトラリン錠 塩酸セルトラリン口腔内崩壊錠;
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貯法・使用期限等
- 貯法
- 室温保存
- 使用期限
- 最終年月を外箱等に記載
貯法・使用期限等
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- 最終年月を外箱等に記載
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貯法・使用期限等
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慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
- 1.
- 肝機能障害のある患者[血中濃度半減期が延長し、AUC及びC
maxが増大することがある。(「薬物動態」の項参照)] - 2.
- 躁うつ病患者[躁転、自殺企図があらわれることがある。]
- 3.
- 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者[自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。]
- 4.
- 脳の器質的障害又は統合失調症の素因のある患者[精神症状を増悪させることがある。]
- 5.
- 衝動性が高い併存障害を有する患者[精神症状を増悪させることがある。]
- 6.
- てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣発作を起こすことがある。]
- 7.
- QT延長又はその既往歴のある患者、QT延長を起こすことが知られている薬剤を投与中の患者、著明な徐脈や低カリウム血症等がある患者[QT延長、心室頻拍(torsades de pointesを含む)を起こす可能性がある。]
- 8.
- 出血の危険性を高める薬剤を併用している患者、出血傾向又は出血性素因のある患者[鼻出血、胃腸出血、血尿等が報告されている。]
- 9.
- 緑内障又はその既往歴のある患者[眼圧上昇を起こし、症状が悪化するおそれがある。]
- 10.
- 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
- 11.
- 小児[「小児等への投与」の項参照]
重要な基本的注意
- 1.
- うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。
- 2.
- 不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、これらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。
- 3.
- 自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること。
- 4.
- 家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。
- 5.
- 眠気、めまい等があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。
- 6.
- 投与中止(突然の中止)により、不安、焦燥、興奮、浮動性めまい、錯感覚、頭痛及び悪心等があらわれることが報告されている。投与を中止する場合には、突然の中止を避け、患者の状態を観察しながら徐々に減量すること。
高齢者への投与
- 本剤は、主として肝臓で代謝されるが、高齢者では肝機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続し、出血傾向の増強等がおこるおそれがある。高齢者においては、肝機能、腎機能の低下を考慮し、用量等に注意して慎重に投与すること。[「薬物動態」の項参照]
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
- 1.
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。
- (1)
- 妊娠末期に本剤あるいは他のSSRI、SNRIが投与された婦人が出産した新生児において、入院期間の延長、呼吸補助、経管栄養を必要とする、離脱症状と同様の症状が出産直後にあらわれたとの報告がある。臨床所見としては、呼吸窮迫、チアノーゼ、無呼吸、発作、体温調節障害、哺乳障害、嘔吐、低血糖症、筋緊張低下、筋緊張亢進、反射亢進、振戦、ぴくつき、易刺激性、持続性の泣きが報告されている。
- (2)
- 海外の疫学調査において、妊娠中に本剤を含むSSRIを投与された婦人が出産した新生児において、新生児遷延性肺高血圧症のリスクが増加したとの報告がある。このうち1つの調査では、妊娠34週以降に生まれた新生児における新生児遷延性肺高血圧症発生のリスク比は、妊娠早期の投与では2.4(95%信頼区間1.2-4.3)、妊娠早期及び後期の投与では3.6(95%信頼区間1.2-8.3)であった。]
- 2.
- 授乳中の婦人には投与を避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は授乳を避けさせること。[ヒト母乳中へ移行することが報告されている。(「薬物動態」の項参照)]
小児等への投与
- 1.
- 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は国内で確立していない(使用経験がない)。
- 2.
- 海外で実施された6〜17歳のうつ病エピソード(DSM-IVにおける分類)を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験において有効性が確認できなかったとの報告がある。また、本剤群でみられた自殺企図[1.1%(2/189例)]は、プラセボ群[1.1%(2/184例)]と同様であり、自殺念慮は本剤群で1.6%(3/189例)にみられた。これらの事象と本剤との関連性は明らかではない(海外において本剤は小児うつ病エピソード患者に対する適応を有していない)。
- 3.
- *海外で実施された6〜17歳の外傷後ストレス障害(DSM-IVにおける分類)を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験において有効性が確認できなかったとの報告がある。当該試験にて自殺企図はみられなかったが、自殺念慮は本剤群でのみ4.5%(3/67例)にみられた(海外において本剤は小児外傷後ストレス障害患者に対する適応を有していない)。
DSM-IV:American Psychiatric Association(米国精神医学会)のDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,4th edition(DSM-IV精神疾患の診断・統計マニュアル)
適用上の注意
- 1.
薬剤交付時 - PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
- 2.
服用時(ジェイゾロフトOD錠のみ) - 本剤は舌の上にのせ唾液を湿潤させ、唾液のみで服用可能である。また、水で服用することもできる。
その他の注意
- 1.
- 海外で実施されたうつ病エピソード等の精神疾患を有する患者を対象とした、本剤を含む複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した。
- 2.
- 主に50歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において、選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び三環系抗うつ剤を含む抗うつ剤を投与された患者で、骨折のリスクが上昇したとの報告がある。
- 3.
- 海外で実施された臨床試験において、本剤を含む選択的セロトニン再取り込み阻害剤が精子特性を変化させ、受精率に影響を与える可能性が報告されている。
- 4.
- 電気けいれん療法との併用については、その有効性及び安全性が確立されていない。
相互作用
相互作用
- 本剤は肝代謝酵素CYP2C19、CYP2C9、CYP2B6及びCYP3A4等で代謝される。[「薬物動態」の項参照]
併用注意
(併用に注意すること)
- 1.
薬剤名等 **
メチルチオニニウム塩化物水和物(メチレンブルー) - 臨床症状・措置方法
- **
セロトニン症候群があらわれるおそれがある。 - 機序・危険因子
- **
上記薬剤のMAO阻害作用によりセロトニン作用が増強されると考えられる。 - 2.
薬剤名等 リネゾリド - 臨床症状・措置方法
- セロトニン症候群の症状(錯乱、協調運動障害、血圧上昇等)があらわれることがある。このような症状があらわれた場合には、本剤と併用薬の両方あるいはいずれか一方の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 機序・危険因子
- リネゾリドは非選択的、可逆的MAO阻害作用を有する。
- 3.
薬剤名等 5-HT
1B/1D受容体作動薬
スマトリプタンコハク酸塩
ゾルミトリプタン
エレトリプタン臭化水素酸塩 - 臨床症状・措置方法
- 脱力、反射亢進、協調運動障害、錯乱、不安、焦燥、興奮があらわれることがある。
- 機序・危険因子
- 相互に作用を増強させるおそれがある。
- 4.
薬剤名等 トラマドール
メサドン
ペンタゾシン - 臨床症状・措置方法
- セロトニン作用が増強されるおそれがある。
- 機序・危険因子
- これらの薬剤はセロトニン作用を有する。
- 5.
薬剤名等 L-トリプトファンを含有する製剤
アミノ酸製剤
経腸成分栄養剤 - 臨床症状・措置方法
- セロトニン作用が増強されるおそれがある。
- 機序・危険因子
- L-トリプトファンはセロトニンの前駆物質であるため、脳内セロトニン濃度が高まるおそれがある。
- 6.
薬剤名等 セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 - 臨床症状・措置方法
- セロトニン作用が増強されるおそれがある。
- 機序・危険因子
- セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)はセロトニン作用を有する。
- 7.
薬剤名等 炭酸リチウム - 臨床症状・措置方法
- セロトニンに関連した副作用(振戦等)が増大するおそれがある。
- 機序・危険因子
- 相互に作用を増強させるおそれがある。
- 8.
薬剤名等 三環系抗うつ剤
クロミプラミン塩酸塩
イミプラミン塩酸塩
アミトリプチリン塩酸塩 - 臨床症状・措置方法
- 薬剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されるおそれがある。
- 機序・危険因子
- 本剤がこれらの薬剤の代謝を阻害することがある。
- 9.
薬剤名等 ワルファリン - 臨床症状・措置方法
- ワルファリンのプロトロンビン反応時間曲線下面積が軽度増加(8%)したとの報告がある。
本剤の投与を開始もしくは中止する場合は、プロトロンビン時間を慎重にモニターすること。 - 機序・危険因子
- 機序不明
- 10.
薬剤名等 出血傾向が増強する薬剤
非定型抗精神病剤
フェノチアジン系薬剤
三環系抗うつ剤
アスピリン等の非ステロイド系抗炎症剤
ワルファリン等 - 臨床症状・措置方法
- 異常出血(鼻出血、胃腸出血、血尿等)が報告されているので、注意して投与すること。
- 機序・危険因子
- SSRIの投与により血小板凝集能が阻害され、これらの薬剤との併用により出血傾向が増大することがある。
- 11.
薬剤名等 血糖降下薬
トルブタミド - 臨床症状・措置方法
- トルブタミドのクリアランスが減少(16%)したとの報告がある。
- 機序・危険因子
- 本剤がこの薬剤の代謝を阻害するためと考えられる。
- 12.
薬剤名等 シメチジン - 臨床症状・措置方法
- 本剤のAUC及びC
maxの増大(50%、24%)及びt
1/2の延長(26%)がみられたとの報告がある。 - 機序・危険因子
- 本剤の代謝が阻害されたためと考えられる。
- 13.
薬剤名等 アルコール
(飲酒) - 臨床症状・措置方法
- 本剤投与中は、飲酒を避けることが望ましい。
- 機序・危険因子
- 本剤との相互作用は認められていないが、他の抗うつ剤で作用の増強が報告されている。